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奇跡のインド4

デリーに着いたら入国審査を済ませて、バスでホテルへ移動する。日本とインドの時差は3時間半だ。飛行機の遅れのせいで、デリーに到着したのが午後4時半ごろだが、日本時間にすると夜8時くらいになる。できることなら早くホテルに入って休みたい。バスは1時間ちょっとでホテルに着く予定だという。

バスに乗り込む時に、ヨガの先生に花の首飾りをかけてもらう。マリーゴールドの花だという。よい香りがする。インドに来たのだという実感がわく。
今年はインドでG20が開催されたことも影響しているらしいが、空港近辺はやたらと綺麗だ。前回インドに来た時は、未開の地そのものという印象だったのでずいぶん違う。おまけに空港近くの外資系の高級ホテルもやたら多い。いったいインドに何が起きたんだろう、と戸惑うほどだ。
道も綺麗だ。前回インドに来た時は、デリーでも街中で牛が歩いていて、赤信号で停車すると、車に物売りが寄ってきたものだった。今回はそんな気配はなくなっている。

ところが感心していたのは束の間だった。大渋滞である。
インドは昔の日本みたいに、土曜日(インド到着は土曜日だった)は出勤日であるらしい。そして夕方の帰宅ラッシュに、はまったのだった。
バスは1時間ちょっとでホテルに着くはずだったのに、バスに1時間くらい乗ったところで、あと1時間くらいかかるという現地ガイドさんからの案内。がっかりするも、こんなに混んでいるんだから、それもやむなしという気にもなる。おまけにガイドさんは、ここはインドなのだから、日本の常識で物事を考えないほうが楽しめます、と言う。そうしたくなくてもそうするしかない。
デリーには、自動車用道路みたいな、日本でいうとバイパスのようなものがやたらできているが、不思議なことに、その道路にバイクやら、オートリキシャやら、自転車さえも入り込んでいる。バイクなんか、渋滞している車で埋まったわずかな隙間を、無理矢理縫って走るので、危ないんじゃないかと思うがお構いなしだ。

しばらくバスの車内で待ったが、改めて、ホテルまであと1時間くらいかかるとのアナウンスがなされる。さっきもあと1時間、今もあと1時間なら、いったいいつになったら本当に到着すると言うのだろうか?
すると、ヨガの先生が、この時間を利用して、せっかくだからキールタンの練習をしましょう、という。キールタンというのは、要するにヒンズー教の神様の名前などを歌にしたものだと私は理解している。出国前に一度練習したことがあるが、この場で特別歌いたいものでもない。しかし、渋滞を逆手に取ってチャンスに変えるという発想は、なかなか素敵だと思った。

キールタンの練習を一通り終えてもバスはなかなか到着せず、結局空港から市内のホテルに行くだけで、3時間くらいかかったのではないか。ホテルに着いたのは現地時間夜8時近く、日本時間なら夜11時を過ぎている。そこから部屋割りが発表され(知らない人と相部屋だ!)、夕食を食べて、ようやく長い一日が終わる。きちんとしたよいホテルだったのに加えて、いろいろあって疲れていたので、割合よく眠れた。いよいよ明日はヨガ道場(アシュラム)への移動だ。



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