見出し画像

モーツァルトのレクイエムを歌う 5

本番前日は、午後5時半会場集合で、オケ合わせがあった。今回は西本さんプロデュースのイルミナートフィルハーモニーオーケストラが演奏を担当する。この日は実際の演奏会場での練習だ。社会人の私が、その会場に平日5時半に集合することはできないので、師走で忙しいさなかではあるが、会社に事情を伝えて、その日は早退する。

ステージ上には、ベートーヴェンの第九の時などに使用される、階段上の合唱席が設けられていた。
実は11月末からは、実際の並び順で、並んで歌う練習が始まったのだが、呆れるほど毎回毎回並び順が変わるのだ。音のバランスなどいろいろな事情で試行錯誤しているようなのだが、とにかく同じ並び順で歌ったことは、一度としてなかった。
さすがに本番前日なのだから、今回決まった並び順こそ最終決定であって欲しい。
集合するとまず、並びの練習をして、そのまま本番のステージに、軍隊みたいにみんなで並んだまま、長距離行進する。

今回の会場は、私はかつて何度も立ったことのある舞台なので、さすがに緊張しない。まあお客さんも入っていない状態で、緊張も興奮もないのだが、場慣れしたものだと我ながら驚く。
オケに合わせての演奏は、とても気持ちがいい。西本さんの指揮は、見やすいしわかりやすい。
今回の公演では楽譜を持って本番に臨むものの、実際は、楽譜に齧り付いていたら指揮は見られない。だから結局、暗譜に近い状態で臨まないと無理なのだ。
家にレクイエムのCDがあることを発見して以来、私は折に触れてそれを聞き、しばしば歌ってもいたため、最終的にはほとんど暗譜していた。だから問題はなかったが、ちゃんと歌うためには、そういう準備もした上で本番を迎えないといけないのだな、と思った。

火曜日の稽古で、先週マエストロに言われたことはさらったのに、忘れているところも、できていないところも結構ある。加えてマエストロのほうも、先週おっしゃっておられたのと振り方を変えてこられたところがあり、目が離せない。もっとも、西本さんの指揮ならむしろ見ていたいので、そこは問題ないのだが。

マエストロ稽古で指摘されたところでできていないところは、オケ合わせでもやり直すことになるし、それ以外にも新しい注意点が加わって、音楽的な完成度が増す。
いよいよ明日は日中、公開ゲネプロで、夜が本番だ。気持ちが高まっていたので、夜9時に及んだオケ合わせも、疲れは感じなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?