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読者に媚びない雑誌だと思う

雑誌「暮しの手帖」が好きで、購入する。
写真の素朴さ、紙の素材感が良い。少し懐かしい感じのする写真は、どうやって撮影され、印刷されているんだろう。いい意味でキレイな感じでなく、そこにある感じ…?そう、身近に感じられる、傍にいるような感じがする。

好きな記事は沢山ある。

萩上チキさん・文、ヨシタケシンスケさん・絵の「みらいめがね」。クスッと笑える絵と、視点が少しずれていて社会を縦横無尽に考えて、文章に変えているところがスゴイと思う。
あとは武田砂鉄さんの「今日拾った言葉たち」。沢山の文章に目を通して、そこからワンフレーズをピックアップし、さらに自分の考えを述べる。しかも砂鉄さんの文章がピリッとしていて、そう来たか!という驚きと、そうだよねーと共感できる文章が混在していること。ピックアップしたフレーズの背景なども分かりやすく書いてあって、勉強になる。その言葉を覚えておきたいけど、すぐ忘れてしまう…。

少し前、最新号を購入した。
表紙は、いわさきちひろさんのイラスト。朝顔を思わせる淡くて優しい花と、愛らしい目をした子どもたちが描かれている。
…少し話は反れるが、いわさきちひろさんの絵との出会いは絵本「おやゆびひめ」。私が習い事をしていた教室に並べてあった。なんて優しい絵なんだろう…と何度も何度も眺めていたのだ。大人になって、同じ絵本を購入して、子どもに読み聞かせたけど、子どもはあんまり関心を持たなかったな…。

最新号、特集のひとつは「白髪を生かすヘアカラー」。今の私にピッタリな特集。
年々、増える白髪を私は隠すことはしないけど、たまにヘアマニキュアを楽しむ。白髪はよく目立つ前髪に集中しているので、青や緑、黄色と色々とやっている(職場では誰も気がつかない…)。これまでやって、明るい茶色が一番映えた。
特集の中にオーダー方法が載っていて、気に入った色があった(茶色じゃない)。このままお店に持って行けば、伝わりやすいだろう。

読み進めて行くと、澤地久枝さんのインタビュー記事があった。インタビュアーは14歳の中学生。
澤地さんは、Eテレ特集ミッドウェー海戦に関する番組にお出になっていた。ノンフィクション作家として活動されているのは、その時はじめて知った。最近も報道番組にお出になっていた。
インタビュー内容はテレビ番組の内容と重なることもあった。が、自分のペースで読み進めていくので、映像と違って、インタビューの文章が頭の中で、立体的に理解できた。その上、番組で聞いた澤地さんの声が重なって聞こえて来るようでもあった。
14歳の中学生が平和学習にきちんと向かい合っているのも、うれしく感じた。

そういえば、暮しの手帖は戦後刊行された雑誌だ。二度と戦争が起きないよう、戦争記憶を忘れないよう、戦争関連の出版物も多い。
出版業界は経営が大変だと聞く。売れるように楽しい記事や読者が好むような記事ばかり掲載する出版物も多い。
「暮しの手帖」は読者に媚びず、読者に提案する独自スタイルがある。これからも信念を曲げず、一本筋の通った雑誌でいてほしいと思う。

コメントいただき、ありがとうございます。すっかり、忘れていましたが、「暮しの手帖」は広告収入がないのです。暮しの手帖以外に、巻末に独自目線でセレクトした通販コーナー、出版物の売上が主な利益と思われます。広告主の意見に左右されないことが、独自スタイルが貫ける理由のひとつですね!

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