「違って」「違くて」「違うくて」の使用比率を調べてみた【日本語教育能力検定試験】
はじめに
検定試験の過去問にも出てくることば
違う
皆さんはどういう論点で出題されるかお分かりだろうか?
そう、日本語のゆれ (or 乱れ)という流れである。
文法的には動詞である「違う」が、「違って」ではなく、「違くて」「違うくて」のように使われることがたびたび見られるという文脈だ。
もしかしたらこの記事を読んでいるあなたも使っているかもしれない。
((ちなみに「違くて」「違うくて」の予測変換は次のようだった。私のWindows PCでは一発で正しく変換することは難しいようだ。))
「違くて」「違うくて」の正体
「違う」には形容詞的な意味がある。
「他と一致していない、異なっている状態や様子」を表しているのだ。
つまり「違くて」「違うくて」は、「違う」を形容詞としてとらえ、形容詞のように活用させたことばだと言えるだろう。
インターネット上における使用頻度
では、本題。
「違って」「違くて」「違うくて」は実際どれほど使われているのだろうか。
実際に話し言葉での使用頻度を調べるのは難しい。しかし、インターネット上の文章における使用頻度は調べることができる。
そこで、グーグル検索のヒット数およびツイッターにおけるツイート数を調査してみた。
グーグル検索
グーグル検索でヒットした件数は以下のようになった。
なお、ノイズがヒットするのを避けるため「"違くて"」といった完全一致条件で検索している。
「違って」が大多数を占める結果となった。
しかし、ネット上とはいえ文字として記す際に「違くて」「違うくて」が用いられること4%あるのは驚くべきことかもしれない。
ツイッターのツイート数
続いてツイッター。ヤフーリアルタイム検索を用いてツイッター上におけるツイート数を調べる。
条件は2023/6/1時点の過去30日間にツイートされた件数である。
より話し言葉に近い文章が好まれるツイッター上では「違って」と「違くて」「違うくて」の差は縮まると予想されるが果たして、、
事前の予想通り、「違くて」「違うくて」の割合が大きく増加する結果となった。
特に、「違うくて」はグーグル検索と比べて全体に占める割合が4倍以上となっているのは目を見張るところである。
なお、先述したようにPC上ではすぐには変換できなかった「違くて」「違うくて」だが、iPhone上では一発で変換することができた。
<「ちがくて」と入力するも予測変換に出てこないために「ちがって」と入力直す>といった工程がないスマホ入力では、より話し言葉に近い「違くて」「違うくて」が優先されるケースが増えると考えられる。
おわりに
検定試験を過去問で学んだ「違くて」について、インターネット上における使用頻度という観点から調査をしてみた。
なかなか興味深い結果が得られたのではないだろうか。
さいごに、今回の「違って」に対する「違くて」「違うくて」というのは、言語学的にはあくまで言葉の「ゆれ」であって、「乱れ」ではないということを強調しておきたい。
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