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『意味のない点検だよ』 -自民党の統一点検について考える-

自民党が旧統一教会(統一家庭連合)との関係を持った議員の点検を行っています。
これは岸田首相の「今後社会的に問題のある団体とは付き合わない」との党方針のもと、自民党所属の国会議員に統一教会との接点に関する8項目のアンケートを配布しその回答を集計するというものです。

回答結果を巡って連日ニュースになっていますが、私自身の感想としては「そもそもこんなアンケートに何の意味もない」と思っていますので、その理由について述べたいと思います。

■やましいことを自発的に言うわけがない

統一家庭連合の問題点は連日報道されており、世間的にも批判が高まっている状況ですから、政治家として統一との関係を公表するのは当然マイナスです。
一方で報道を見る限り、今回のアンケートに素直に答える(統一と関係があったと告白する)ことで、議員個人に免責等の恩賞が与えられるわけではないようです。

素直に関係を告白しても党内でのメリットがない一方で、世間からは猛批判を食らうというデメリットが大きいこんな状況で、大の大人が統一との関係を素直に公表するわけはありません。

■組織からハシゴを外された状況

更に追い討ちをかけるように、茂木幹事長が「党としては一切関係がない」とアンケート中でも言い切っちゃっています。これでは完全に組織からハシゴを外されたような状況で、議員個人としてはめちゃくちゃ回答しにくいでしょう。

私みたいなサラリーマンと国会議員とでは感覚が違うのかもしれませんが、それでも業務に関連した問題について「組織としては何の責任も持たない、お前が勝手にした悪事という前提で事実を聞かせてくれ」と上司に言われて、素直に答えられる鋼のメンタルの社会人てどれくらいいるんでしょうか?

ただでさえ告白するメリットゼロでデメリット無限大な状況下で、組織までケツを拭いてくれないとなると、ますます統一との関係を素直に答えるはずがありません。

■自民党による点検 ≒ ロシアチームが自分で行うドーピング検査という事実

統一家庭連合は、日本の保守派の国会議員(特に自民党議員)を組織的にバックアップしており、具体的には選挙ボランティアや秘書の派遣から特定議員への組織的投票にまで至っており、少なくとも特定の自民党議員にとって大きな力になっていたのは事実だと思います。

もちろん特定の団体から選挙協力を受けること自体は問題ないのですが、それが反日的な外国団体であったり社会的に顕著な問題がある団体であると言うことで、統一家庭連合との関係が咎められています。

例えるなら、ロシアチームが(悪いと知らずに)競技に勝つためにドーピングを行なっていてそれを後から検査するように咎められた、みたいな状況です。しかも自民党自身が点検するということは、当のロシアチームが個々の選手のドーピング検査するみたいなもんで、どう考えても事実が明らかになるわけはないでしょう。
ドーピング検査ですらロシアチームはもちろんIOCからも独立した機関(WADA)が実施しているのですから、本件も国会等で第三者委員会を調査して実態解明するべきだと思います。
(※野党からの調査委員会設置の提案は、茂木幹事長が断ったようです。)

以上を踏まえると、今回の点検はまさに「意味のない点検だよ」と言うほかなく、もはや結果で一喜一憂するのもバカバカしいレベルだと思います。

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