短編小説「波紋族」

荒れた大地。謎の少女は今日も歩いていた。

少女が歩いた跡には波紋が広がり、緑が生い茂る。

少女はただ歩く。荒れた荒野を。

2つの月が現れた。夜のようだ。

少女は空を眺める。

見渡す限りの黒い世界と2つ月、流れる銀河の光景が少女は好きだった。

彼女は何者なのだろうか。

人気はない。生き物の気配もない。

彼女は再び歩きだした。

「あと少し‥」

孤独に歩き続ける少女はどこへ向かうのか。

何千年も昔、この星は「アース」と呼ばれていた。

自然が豊かで栄えていたこの星は寿命を迎え荒れた大地となってしまった。

人々は母星を捨てきれず、歩くことで自然を取り戻す術を身につけた。

何万人が歩くことで自然は保たれていたが、生命は終わりを待ってくれない。

「波紋族」と呼ばれた一族の末裔が彼女なのだ。

彼女は「最期となる場所」を探していた。

彼女が最後となる場所に選んだのはー

銀色の花が一面に咲く、「アース」で唯一自然が残っている場所だった。

花の名前は「エチュード」。銀色の髪をなびかせる彼女と同じ名前だ。

ついに花畑にたどり着いた彼女は、風と共に自然と一つになった。






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