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非公式小説 仮面ライダー555×リバイス×BLACK SUN 第1話「羽化」

人体灰化現象。ここ数ヶ月で増加し、国内を震撼させている謎の現象である。人間の体が突如として灰と化し、完全に崩れ去ってしまうと言われているこの現象は、誰にも原因がわからず、科学者たちを困惑させていた。ニュースの報道では、連日増え続ける被害者の数と、悲しみに暮れる家族の姿が映し出される。
 
 青い隊服を身にまとった好青年は、連日報道されるニュースの記録と検証を日夜行っていた。彼は五十嵐大二。政府特務機関「フェニックス」の代わりとなる新たな組織「ブルーバード」の一員で、平和を維持するための戦いを続けている。
「また犠牲者が……。」
 大二は深いため息をついた。彼の目の前には、灰化現象の被害者たちの写真が並んでいる。いずれも無差別に襲われた人々の姿だ。

 その時、ブルーバードの副隊長である田淵竜彦が部屋に入ってきた。彼の表情は険しく、大二に何かを告げる準備ができているようだった。
「五十嵐。現場から戻った門田だが、今回の事件の解析が今終わったらしい。」
 竜彦は言った。「灰化現象の痕跡の中に、被害者のものとは異なるDNA検出されたんだ。」
「異なるDNA?」大二は疑問を抱きつつも、すぐにその意味を理解し始めた。「まさか……容疑者の証拠が?」
「そうだ。」
 竜彦は厳しい表情で頷いた。
「さらに、そのDNAパターンが過去のデータベースと一致した。以前門田や五十嵐の兄が邂逅した、オルフェノクのものに非常に近しいらしい。」
「オルフェノク……。」
 大二は驚きと共に、かつて兄である五十嵐一輝と、先輩の門田ヒロミから聞いた話を思い出した。
「オルフェノクが関わっていることは他の研究者たちは解明しなかったんですか?」
「五十嵐も知っているだろうが、例のペンションの一件は照井警視と追田警部、そしてフェニックスと間でしか情報共有がされていない秘匿案件であった。だから研究者も追及するに至らなかったのだろう。」
「なるほど……。」
 竜彦は深く頷いた。「まずはこのDNAの出所を追うことが重要だ。オルフェノクの痕跡を辿れば、何らかの手がかりが得られるかもしれない。」
 その時、ブルーバードの通信端末が鳴り、門田ヒロミから緊急連絡が入った。
「大二、竜彦、緊急事態だ!新たな灰化事件が発生した。現場に急行してくれ。」
 大二と竜彦はすぐに装備を整え、現場へと向かった。現場に到着すると、そこにはまたしても灰と化した被害者の遺体があり、周囲は警察や救急隊員で混乱していた。大二は慎重に現場を調査し、周囲を見渡した。
「もしかして、ここにもオルフェノクの痕跡が……!?トレーサーでスキャンしてみよう。」
 大二は低く呟いた。
 竜彦は周囲を警戒しつつ、大二に近づいた。
「この痕跡を解析すれば、犯人の居場所が特定できるかもしれない。早急に本部に持ち帰ろう。」
 大二は同意し、証拠を慎重に回収した。現場から離れ、本部へ戻ると、即座に解析作業が始まった。ブルーバードの研究施設は最新鋭の機器で揃えられており、迅速かつ正確なデータ分析が可能だ。
 
 数時間後、解析結果が表示された。大二は画面を見つめ、驚愕の表情を浮かべた。
「やはりペンションのオルフェノクのDNAと近しい結果だ……。しかも、以前の灰化事件で確認されたものと非常に類似している。」大二は呟いた。
 その時、ドアが開き、白衣を着た奇抜な男性が現れた。彼はジョージ・狩崎、ブルーバードの科学顧問であり、かつてフェニックスの天才科学者として名を馳せた人物だった。
「やあ、みんな。解析結果はどうだい?」
 狩崎は興味津々といった様子で質問した。
「狩崎さん、やはりオルフェノクの痕跡らしきものが確認されました。」
 大二はすぐに答えた。
「これでオルフェノクが関与していることはほぼ確実です。」
 狩崎は顎に手を当て、考え込んだ。
「なるほど……。この灰化現象、やはりオルフェノクの仕業だったか。しかし、なぜ彼らが今になって再び動き出したのか……。」
「オルフェノクは一体どのような実態を持つのでしょうか……。」
 大二は狩崎に尋ねる。
「ふむ。オルフェノクは今から20年ほど前、“仮面ライダーファイズ”と対立した怪人で、動植物を彷彿とさせる能力と形態を持ち、銃弾も通用しない強靭な肉体を有し、普段は生前の姿を引き継いだ人間態をとって生活しているんだ。とても低い確率だが、人間が死亡した際に人類の新たな進化として誕生する可能性もあるようだね。彼らが人間を殺害すると、被害者の体は灰になってしまうんだ。」
 狩崎は答えるが、大二は怪訝な表情を浮かべる。
「てことは、根本的には人間なんですね……。」
「ああ、悲しいことにね。だが、いくら元々人間であったとしても、犯罪行為を看過する訳にはいかないだろう。」
 
 
 その夜、大二と竜彦、狩崎はヒロミを始めとしたブルーバードのメンバーを招集し、本部で作戦会議を開いた。狩崎の解説をもとに、オルフェノクの活動を追跡するための戦略を練る。
「オルフェノクが関与していることが確実ならば、彼らの行動パターンを分析し、次の標的を予測する必要がある。」
 竜彦が言った。
「そうですね。これまでの被害者の共通点や、事件の発生場所を改めて詳しく調査して、彼らの狙いを突き止めましょう。」
 大二も同意した。
「まずは過去の事件を洗い直そうじゃないか。」
 狩崎は手元のコンピュータを操作し、過去数ヶ月の灰化現象のデータを表示した。
 
 一同は被害者のプロフィールや事件の詳細を詳しく調べ始めた。被害者の職業や住居、事件発生時の状況など、あらゆる情報を集めて分析する。
   
 一人目の被害者は、山下明里、20歳。
 都内の大学に通っている大学1年生だ。天真爛漫な性格で友人も多い彼女は、ビル街にて灰と化していた。身に着けていた衣服から身元が特定されたらしい。
 
 二人目の被害者は、高瀬果歩、こちらは26歳の会社員だ。
 こちらは都内の緑地公園で発見され、同じく灰と化しており、身元は持ち物で特定された。
 普段は口数少ないが、彼女を慕っている後輩は多く、ニュースではよく同僚や後輩がインタビューに応じていた。
 
 三人目の被害者は、河田帆夏。
 18歳の高校生で受験勉強に勤しんでいたが、友達と遊んだ帰り、一人になったところを狙われたらしい。制服の中央には鋭利なもので開けられた穴があり、武器のようなもので怪人に一突きされたのだろう。傷ましい事件だった。
 
「いずれも、都内の事件、女性と単純なことだが、共通項としてあるようだな。」
 ヒロミは手元の資料を見ながら呟く。
「これだけじゃないようだよ。いずれも3人はアルバイトや職に就いている経歴を持つが……これを見てくれたまえ。」
 狩崎は手元のパソコンを操作し、1つの資料を投影した。
「これは……。」
 大二の疑問符に呼応するように狩崎は答える。
「そう、3人とも、とある企業に関与、または出入りしていた。その企業の名は……。」
「スマートブレイン……。でも世間では名の知れた大企業のはずだが……。」
 竜彦を始めとした一同は驚愕している。というのも、スマートブレインは世間では知らないものの少ない、大手デバイスメーカーであるからだ。
「そうだが、この企業には何か裏がある。」
 狩崎は険しい表情で続けた。
「かつての仮面ライダーファイズの時代、この企業はオルフェノクを支援し、彼らの活動を裏で操っていたと噂されている。件の仮面ライダーファイズもスマートブレインの技術を用いて作られたみたいだしね。」
「そんな……。でも、それが本当なら、今回の灰化現象とどう関係しているのでしょう。」
 大二は疑問を投げかけた。
「それをこれから調べる必要があるんだ。」
 狩崎は深く頷いた。
「まずはスマートブレインに出入りしていた被害者たちがスマートブレインで何を行っていたのか、詳しく調査しよう。そして、彼らが何に関与していたのかを突き止めるんだ。」
 その時、ブルーバードの通信端末が再び鳴り響いた。今度は別の部隊からの緊急連絡だった。
「また新たな灰化事件が発生しました!場所は都内のビル街です。急行をお願いします!」
「分かった、すぐに向かう。」
 大二は応答し、素早く装備を整えた。
「Heyヒロミ、留守を頼むよ。証拠は直接この目で見ておきたい。」
「おい、狩崎!」
 ヒロミの声も聞かずに、狩崎も大二の後を追う。
 到着した二人は冷静に現場を調査し始めた。
「ブルーバードの五十嵐です。被害者の名前と職業を教えていただけませんか?」
 大二は遺体の検証を行っている鑑識に話しかける。
「はい、被害者の名前は“影山海月”。都内のIT企業に勤める会社員で、スマートブレインに寄った帰りを襲撃され……」
 そう言った鑑識は大二の肩をつかみ、体の力を預ける。いや、もう彼には体の力がないのだ。鑑識の胴体には大きな空洞が空いており、辺りは赤く染まっている。
「え……?」
 状況を把握できていない大二は、ある違和感を感じ取った。突然周囲の空気が変わったのだ。何かが近づいてくる気配がする。
「警戒しろ!」
 竜彦が叫んだ瞬間、影から現れたのは、灰色の装甲に身を包んだ異形の存在だった。



「あれが……オルフェノク……!」
 大二は即座に構えを取り、戦闘態勢に入った。
「いくぞ。」
『バット!』
 大二は手元にスタンプ型のアイテム“バイスタンプ”を構え、腰に巻いたドライバーへ押印する。
『Confirmed!』
 そして、スタンプをドライバーにセットし、剣部分を上に回す。
『Eeny, meeny, miny, moe!』
「変身!」
 そう叫び、大二はライブガンをドライバーから引き抜き、トリガーを押した。
『バーサスアップ!』
『Precious!Trust us!Justis!バット!仮面ライダーライブ!』
 大二は白色と金色の装甲を纏う、コウモリの仮面ライダー、仮面ライダーライブへと変身した。



「大事に、決めようか!」
 彼は戦闘への覚悟を決め、青く発光するオルフェノク……「ローズオルフェノク」と対峙する。
 ローズオルフェノクは静かに立ち尽くし、彼らをじっと見つめていた。そして、不気味な笑みを浮かべながら口を開いた。
「仮面ライダーですか。あなたたちの介入は計算外でしたが、これで少しは楽しめそうですね。」
「何を企んでいる?」
 ライブは鋭く問いかけた。
「それはあなたたちには関係のないことです。」
 ローズオルフェノクは冷たく笑った。
「だが、1つ言うなら。我々の計画は既に始まっています。人間どもがどう抗おうと、無駄なことです。」
「貴様あああ!」
 ライブは目の前の敵へ、銃口を向け、銃弾を放つ。だが、ローズオルフェノクの装甲には傷ひとつ付かないようだ。
「何!?」
「愚かな。」
 ローズオルフェノクはそう呟き、念動力を放ち、ライブを吹き飛ばした。
「ぐああああ!くそ、強い……!」
 ライブは苦戦しながらも、諦めることなく戦い続けた。
「すぐに消してあげましょう。」
 ローズオルフェノクは光輪を発生させながら、ライブに近づく。その前に、狩崎が立ちはだかった。
「仮面ライダーは一人だけではない。」
 そう呟き、彼もドライバーとスタンプを取り出す。
『ジュウガドライバー』
『ジュウガ!』
 狩崎はバイスタンプをベルトにセットし、叫ぶ。
「変身!」
 ベルトに装填したスタンプを倒すと、彼の体は虹色の光に包まれる。
『スクランブル!』
『十種の遺伝子、強き志。爆ぜろ、吠えろ、超越せよ。仮面ライダージュウガ!Go Over……!』


 彼の体は金色と黒色の鎧を纏う仮面ライダー、仮面ライダージュウガへと変身した。
「面白い。」
 ローズオルフェノクは攻撃の矛先をジュウガに向け、光輪を放った。
「HeyHeyHey!」
 ジュウガは華麗にかわしながら、ローズオルフェノクと距離を詰める。そして素早くローズオルフェノクに接近し、その拳を繰り出した。しかし、ローズオルフェノクもまた俊敏に動き、彼の攻撃をかわしつつ反撃する。二人の間で激しい格闘が繰り広げられる中、ライブも再び立ち上がり、援護に向かった。
「狩崎さん!」
 ライブはライブガンを構え、目前の敵に向けて連射を始めた。しかし、ローズオルフェノクはその攻撃を受けながらも、装甲で弾き返し、さらに力強い攻撃を仕掛けてくる。
「この程度で私を倒せると思うな!」
 ローズオルフェノクは嘲笑しながら、強力な念動力を放った。ジュウガは素早く回避し、ライブもまたその攻撃をかわした。
「狩崎さん、協力して攻撃しよう!」
 ライブは叫び、ジュウガに合図を送った。
「OK、大二!」
 ジュウガも応じ、二人は連携攻撃を開始した。ライブが遠距離からの攻撃を繰り出しながら、ジュウガが接近戦でオルフェノクを追い詰める。
「これで終わりだ!」
『バット!ジャスティスフィニッシュ!』
 ライブはライブガンを最大出力に、一撃を放った。その攻撃がオルフェノクに直撃し、彼の動きを止める。
「今だ!」
 ジュウガはその隙を突き、全力でオルフェノクに突進した。彼の拳がオルフェノクの装甲に深く食い込み、その力でオルフェノクの体が揺らぐ。しかし、オルフェノクはすぐに体勢を立て直し、反撃に転じた。
「愚かな……。」
 ローズオルフェノクは冷たい笑みを浮かべ、強烈な一撃をジュウガに見舞った。その一撃は予想以上の力で、ジュウガの装甲を傷つけ、彼を地面に叩きつけた。
「ぐああああ!」
 ジュウガは苦しげな叫びを上げ、その場に倒れた。
「狩崎さん!」
 ライブは叫びながら、オルフェノクに向かって攻撃した。しかし、オルフェノクはライブの動きを見切り、素早く回避すると同時に、強烈なカウンターを放った。
「この程度の力で私を倒せると思ったのですか?」
 ローズオルフェノクは冷たく言い放ち、ライブの胸部に強烈な一撃を叩き込んだ。その衝撃でライブは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「くそ……!こんな……ところで……!」
 ライブは必死に立ち上がろうとしたが、体が言うことを聞かない。装甲が破損し、力が抜けていく。
「終わりです。」
 ローズオルフェノクはライブに向かって歩み寄り、止めを刺そうとした。
 
 その瞬間、何かがオルフェノクに衝突し、動きを止めた。煙が立ち込める中、赤い光が現れた。
「何だ……!?」
 ローズオルフェノクは警戒しながら、光の方向を見つめた。その光は徐々に形を取り、銀色の装甲を纏った仮面ライダーが姿を現した。
「仮面ライダー……!?」
 ライブはかすれた声で呟いた。
「まさか、ファイズか!」


 ジュウガは自身の記憶を頼りに叫ぶ。その声はどこか高揚していた。
「ここから先は俺が相手だ。」
 黄色の複眼に銀色の仮面ライダー、仮面ライダーファイズは冷静な声で言い放ち、ローズオルフェノクに向かって歩み寄った。

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