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aikoガチ勢おじさん

先日、aikoライブツアー「Love Like Pop vol.23」に参戦してきた。

人生初のaikoライブである。

昔からaikoの伸びやかな歌声がたまらなく大好きである。すべての曲をおさえていながらもライブは行けてなかった。  

「死ぬまでにaikoの生パフォーマンスを観たい」と常々思っていた。
念願が叶いワクワクドキドキウキウキで会場入りをする。

私はライブ会場でアーティストごとのファンを観察するのが好きだ。
アーティストごとにファンの様相は全然違う。
過去参戦してきたワンマンライブの記憶をたどる。

ゆずは、会場で弾き語りをしてるファンが必ずいる。これが最大の特徴。老若男女幅広い客層で活気がある。 
Official髭男dismのときも老若男女の客層だった。
スピッツやレキシは、年齢層が高めで落ち着いた雰囲気。レキシは公式グッズのINAHO(稲穂)を持っているからなんとも独特で愉快である。
Vaundyはトレンド感のあるナウなヤング率が高め。はしゃぐノリではなく静かに落ち着いて小さく縦ノリで聴き入る、今どきマッシュお兄さんが多かった。
マキシマム ザ ホルモンは上記と一線を画していて、いかつい雰囲気が漂う。「アッ、コアファンしかいねえ」って一瞬でわかる感じ。グッズ着用率の高さに「調教されてる感」がある。全身黒ずくめパンツスタイルにスニーカー。ライブT+スポーツウェアが鉄板。暴れに来ているからだ。私はうっかりスカートを履いてきてしまい見事に浮いてしまった。

どのアーティストをとっても、客層として一番多いのはアーティストの同世代の人たちだった。

さて、aikoはどんな感じだろう。
やっぱりaikoの歌詞世界に共感する、恋愛に悩める女性が多いのではないか。aikoは40代だから、40代女性あたりが結構多いんじゃないかな。私は30歳目前の女であるが、同世代もいるだろうか。家族連れもいそうだな。男性ファンも結構いるんだよね。aikoと同世代の40代あたりがボリュームゾーンだろう。 aikoっぽいファッションの人も多そうだ。ラフなTシャツにダメージジーンズに、ポップなネイルを施した指先にファッションリングを重ね付けしている。アイメイクは赤系を使って、シューズはスニーカーかドクターマーチンか。

開場してすぐに手続きを済ませ、着席してしばらく待っているとあることに気づく。

アレッ……?おじさん多くない………?!!?!
しかもおじさんの年齢層たけえ……50代、60代多くね………!?

私は、四方をおじさんに囲まれた。

右には、一人参戦の60代くらいの白髪気味のおじさん。

そのさらに右にはaikoの手作りうちわを持ち一人参戦しているおじさん。アイドルファンが持ってるアレである。aiko界隈にもいるんだ。アッそのaikoの写真いいよねわかる〜〜〜おじさんチョイス理解ってるジャン……。

前には全身すべての服と持ち物をaikoのライブグッズでバチバチに固めまくってる50代60代くらいのおじさん3人組がいた。ずーっとそわそわキャピキャピしていてかわいい。

後ろのおじさんは一人で会場内に点在するおじさん仲間のところへ忙しなく出歩いておしゃべりしていた。前にいるおじさん3人組のところにも行く。そこ友達なんかい!連番の枚数制限であぶれたかリセールで運良く買えたのか。

開演直前にもう一度お手洗いが不安になりホールの外を出ると、そこではaikoトークに花を咲かせて固まっているおじさんたちがいた。ギリギリまですげえ粘るやん。なかなか着席しない。マジかよ。ずっとaikoの話をそわそわキャピキャピしていてかわいい。

そして定刻となりいよいよaikoのライブが開演された。

いや、声援野太めだな!

前では、aikoのトーク中の引用間違いを親切に叫んで指摘するおじさん。

足腰たぶん弱めなのに、はしゃぎ過ぎるあまりちょこちょこバランスを崩し転倒まったなしのおじさん。

後ろからは「aiko楽しいよ〜〜〜〜〜!!!!」とおじさんのでっけえ声援。
意外となくない?「楽しいよ」というありのままのどストレートな声援。めちゃくちゃ良いじゃん。まごう事なき、この会場の全ての人間の共通の気持ちである。楽しいね、本当に楽しいよ。

みんながaikoーーー!!って叫んでる中、一人だけ「aiko〜〜〜〜〜??」と疑問系で叫んでるおじさんがいてウケた。急に語尾あげるな。

本編が終了し、暗転してaikoがはけると、おじさんたちは即座にaikoコールをする。初動がはやい。鍛え上げられている。
aikoライブのガヤはおじさんたちのよく通るでっけえ声によって作り上げられていた。

職場や親戚とか身近な同年代の人でaiko仲間はそんなにいないだろう。やっぱりネット経由で集った仲間と仲良くなるのだろうか。

昔のaikoライブは、往復ハガキで申し込みをして当落発表の前に振り込みをしないといけなかったそうだ。

しかし時代は令和。

ファンクラブ先行チケットは、ネット経由で取ってカード引き落とし。受け取りもアプリだから、老眼だろうとWEB操作が苦手だろうと現代のシステムに適応してがんばるしかない。

50代60代は、年齢的に職場では管理職などの責任重めの役職を経験してきた世代だろう。aikoを励みに、上層部の圧力に耐え、部下の管理も尻拭いも請け負い、精神的に削られる仕事をこなしてがんばっていたのかもしれない。

五十肩でも身体のあちこちにガタがきて湿布まみれでも、常備薬が増えても日に日に体力が落ちても、曲中のベストタイミングで拳を振り上げビートに合わせて飛び跳ねる。

自分の老後の不安、家族の介護の不安、自分の家族に関する不安、資産形成の不安。30歳目前の私には想像もつかないような重たい現実が無限にあっても、aikoのライブ中は全てを置いて無心になれる。

aikoのライブはとにかくサービス精神に溢れていた。チケットが取りづらいという噂を聞いていたから、コアファンとリピーターが多いイメージがあった。
ライブに行くと納得する。
これは何度でも行きたくなるわけだ。
年齢層高めファンが多いのも、aikoと一緒に歳を重ねてきたファンがずっといるということなのだろう。

aikoはMC中「ぜひともグッズを買って金を落とせ(意訳)」と言っていた。終演後のaikoガチ勢おじさんたちは、グッズや円盤を買い足していた。全身グッズでかためているのにそれ以上何を買うのか。

そんなaikoガチ勢おじさんを目端に捉えつつ、圧倒的多幸感と満足感に包まれながら会場を後にした。

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