北海道大学での理転:総文から理学部物理学科

北海道大学の総合文系から理転することができたので、誰かの参考になればと思い、noteを書くことにしました。とりとめのない文章ですが…

移行点は3.66です。すっごい高い移行点でもなく、「高い移行点を取るための方法論」ではありません。あくまでも、3.66ぐらいを取った一個人の様子として捉えてくれると助かります。

入学時の状況

数Ⅲを独学済み

共通テスト2023の点数

757/900 (84%)
国語 151/200
数学ⅠA 84/100
数学ⅡB 83/100
・できれば9割いきたかった
英語リーディング 91/100 
英語リスニング 86/100
世界史B 97/100
地理B 91/100
化学基礎 38/50 
地学基礎 36/50
・学校の地学の授業がやたら熱かったので、そのまま地学基礎を選びました

二次試験の点数

国語 90/150
世界史 122/150
英語 108/150

前期

基礎科目を詰め込みました。取る必要がある科目は把握していましたが、例年の移行点を全く把握しておらず、「とにかく努力しないと物理学科に行くことは不可能だ」という意気込みで臨みました。しかし7月下旬頃に例年の移行点を知り、少しずつ怠け心が出てきました。

外国語

英語Ⅰ
・出席点
・授業の感想
・事前質問
・期末テスト
講師の話をぼーっと聴くだけの授業なのですが、既知の文法の解説が殆どで面白味がなかったです。Google Form で授業後の感想・次授業範囲の質問を提出しなければならないのですが、段々苦痛になってきました。

英語Ⅱ
TOEFL iTP
・マーク式のテスト
TOEFL iTPは547点でした。550点以上だと後期の英語技能別演習(必須)の受講が免除されるのですが…
テスト問題は全クラス共通なので、早く受けたクラスから貰った情報で対策しました。8割の点数でした。

ロシア語Ⅰ
・小テスト
・期末テスト
リスニングなし。

選んだ理由は、ロシアの風土や文化・理数系に興味があり、そして独学で学ぶより大学で学ぶ方が挫折しづらいだろうと思ったからです。
近い国なのに全然中身を分かっていない国ですし。いつか行ってみたい。
ロシア語はいいぞ!!

文系クラスは1クラスのみでした。進度は理系クラスよりも圧倒的に速かったです。前期で造格まで進みました。
ひとまずキリル文字を覚えていきます。ここでつまずいてそのまま教科書の理解が不可能になった男子が一人いました。
その後は名詞の性や格変化を覚えていきます。途中でつまずいて席から消えた女子が一人いました。

度々小テストがありましたが、事前に小テストに出る問題がmoodleとかで配布されるのでそれを覚えれば大丈夫です。ほぼ毎回9割以上の点数でした(ロシア語は真面目な履修者が多く、8割後半以上取っている人が多いです)
期末テストは、小テストをしっかりこなせるのなら、問題なく解けます。

95%ぐらいの履修者(=挫折者以外)は、割とロシア語にちゃんと取り組んでいる人が多かったです。後期のロシア語Ⅱにも問題なくついていけていました。
たまに、シベリア鉄道やモスクワの街歩き動画、チェブラーシカを観る機会がありました。面白かったです。
ロシア語はいいぞ!!!

古典ラテン語入門
課題のみでの評価です。教科書の練習文章(約10問)の和訳を提出します。
一限ですが、出席しなくても毎回課題を期限までに提出していればA帯を狙えます。なお出席しても、10分ほどの解説が終わった後は該当範囲の和訳作業に勤しむだけです。

情報

情報学Ⅰ
前半は情報リテラシーの講義・課題・討論、後半はPython演習。
前半は課題が多く、「だるい」という声多し。後半は人によって出来不出来の差が激しく、ついていけない人は全くついていけない模様です。自分は難なくついていけました。

私の年では、医学部以外の理系を目指す場合、移行点に必ず入りました。
(文系・医学部を目指す場合は違う)

統計学
値の推定・検定を行えることを目指す授業です。出席点と中間&期末テストで評価されました。
前半で確率密度関数、二項分布、正規分布といった概念を学びますが、ここでつまずくと期末テストもオワコンです。つまずきがなければ、一日前の対策でもなんとかなります。

数学

テストで証明を中心に出す講義もあれば、テストで計算を中心に出す講義もあります。理転する場合は、どの先生の講義にするか選ぶことができます。

微分積分学Ⅰ
講義は証明が中心でしたが、
・毎講義前に提出するWebwork問題(計算)
・中間&期末テスト(計算中心)
で評価される授業でした。計算中心だったので、数Ⅲを独学していた自分にはとても楽でした。テストの点数も8割後半で良かったです。

線形代数学Ⅰ
証明中心に講義が行われ、
・線形代数学について調べてまとめるレポート(+α課題。出さなくてもよい)
・先生が出した証明問題を解いて提出する期末レポート
の2つだけで評価されるものでした。出席数も単位に関係なく、それなりに楽な授業でした。

自然科学(講義系)

物理学Ⅰ
・出席点
・毎回提出するレポート問題
・期末テスト
の3つで評価されました。
文系も受けることができるからか、微分積分は殆ど使われませんでした。

化学Ⅰ
・出席代わりの小テスト
・中間&期末テスト
での評価。
高校物理の知識の延長です。中間試験までは電子軌道などの概念を理解、期末試験までは熱力学を用いて化学反応を理解する感じです。高校物理を習っていない理転志望者には難解です。この科目だけは予習をしました。

生物学Ⅰ
・中間&期末テスト
での評価。
高校生物は全く覗いたことがなく、完全に初習。ですが、基本覚えればいいだけなので、理転志望者には寧ろ慣れていて有利かもしれません。

自然科学実験

・出席(=実験参加)
・レポート
での評価です。まあ当たり前でしょうが…
物理・化学・生物・地学から2つ選びます。物理は不人気で、地学は人気のようです。抽選に外れて物理実験をすることになる人が多いようです。自分は物理と化学を選び、そのまま当選しました。レポートの大変さから大不評の授業ですが、自分はとても楽しかったです。レポートは手書きでもWordでもOKでした。
物理
実験では、講師とTAの計2人がつきます。1回を除き、単独作業でした。
レポートではWordを使いましたが、数式の入力に不慣れで苦労しました。考察は大変で、自分の実験の不備を書くぐらいでした。なんせ参考文献を見ても見慣れない数式ばかりで大変なんです…
化学
実験では、複数の講師・TAがつきます。基本2人1組の作業でした。試料を必要な量だけ取ったり、慣れない実験器具を用いるのにとってもとっても苦労しました。こればかりはどうしようもない
レポートは、物理ほど数式を使うことはあまりないですが、それでも数式の入力は必要です。物理ほどレポートでの要求が少なく、負担は軽かったです。

前期成績

英語Ⅰ A-
英語Ⅱ A+
ロシア語Ⅰ A
(古典ラテン語入門 A) ←自由設計科目外し忘れ
情報学Ⅰ A-
統計学 A
線形代数学Ⅰ B
微分積分学Ⅰ A
物理学Ⅰ B
化学Ⅰ B+
生物学Ⅰ A-
自然科学実験 A-
GPA 3.64

「自由設計科目」として科目を登録すると、その授業を余分に受けることができます。
「自由設計科目」は成績・移行点に入りません。
途中のある期間で「自由設計科目」登録を外すことができ、外すと成績・移行点に加えることができます。私はやり忘れてしまい、特に意味のない評定を貰いました

第二外国語・情報学Ⅰ・化学Ⅰ・自然科学実験は必ず移行点に入るので要注意です。

夏休み

自動車学校に通ったり云々かんぬんしていたらあっという間。
この年の札幌はとても暑かったです。東京の方が涼しいんじゃないかと思うぐらいです。昼間は暑さにうなだれていました。

夏の集中講義

抽選が当たれば、集中講義に参加できます。主題別科目の単位を稼げます。
つまり文系に行くのに必要な移行点算出科目を稼げます。文系か理系か迷ってる方はどうぞ。私も面白そうなものを取ってみました。

後期


前期は、学生証を機器にかざして出席確認する方式でしたが、学期末には一部の教室の機器が不具合を起こしていました。その経費の節約だからか、授業中に発表される出席コードを自分で学内サイトに入力する方式になりました。全く出席を考慮しなくなる先生や、自分独自の方法で出席を確認する先生が増えました。

一般教育演習/主題別科目など

(授業名省略)

・出席点
・授業外で取り組む課題
で基本的に評価されるので、毎回出席し、課題に時間をかければA帯です。
テストのような「一発勝負」感がなく、取り組み具合がそのまま実ります。
主題別科目は2つ取りました。

外国語

英語技能別演習 中級
・出席点
・課題提出
・中間テスト
・プレゼンテーション
みんな同じような実力で、かつ真面目だったので、A帯は結構取りづらい授業でした。他の先生の授業はどうかわかりませんが…

ロシア語Ⅱ
ロシア語Ⅰの続きです。評価方式も授業スタイルも同様。文系クラスは、教科書の最後まで終えました(期末試験範囲はもっと狭いです)
挫折者は周りにいませんでした。ロシア語Ⅰで挫折しなければ、Ⅱにも何とかついていけるようです。
ロシア語は、「仕方なく選ぶ」「楽そうだから選ぶ」「役に立ちそうだから選ぶ」人が少ない気がします。興味が実際あって、それなりに勉強する意欲が高い人が多い印象です。

古典ギリシア語基礎
・授業中の練習問題
本来は前期で「古典ギリシア語入門」を受講するのが適切なのですが、興味があったので後期から参加しました。教科書の途中からです。受講者はたった3人でした。
授業の最後に教科書の練習問題を数問解いて、授業中に提出する感じです。これだけで評価されます。

情報

情報学Ⅱ
・授業中の課題
アルゴリズムの概略とかを学びます。予習動画を見た前提で授業が行われ、授業中はもっぱらテストや演習に取り組みます。予習動画を見るのを怠らなければ、つまずきはしない気がします。

数学

線形代数学Ⅱ
・中間テスト
・期末テスト
・毎回の宿題レポート
で評価されました。計算中心で難しくはなかったのですが、ちょっとの計算ミスが痛手になりました。

微分積分学Ⅱ
・中間テスト
・期末レポート
・出席点?
テストとレポートで基本評価される…はずだったのですが、どうやら出席点の割合が多かったようです。出席コードの入れ忘れをよくしてしまったことがまずい結果を残しました。

自然科学(講義系)

化学Ⅱ
有機化学が中心なので、暇なら夏休みの間に有機化学(高校・大学)に取り組んでおくといいです。有機化学は触っていなかったので苦労しました。が、基本は覚えゲーです。

他基礎科目

心理学実験
・授業中に書くレポート
・期限付きの事前課題(5分ほどで終わるもの。たまにある)
毎回1~2限の授業に来て、ガリガリ授業中の作業に取り組むことが必要です。たまに事前課題があるので、こまめにmoodleをチェックするといいです。1限に間に合うように起きれない人・moodleを見る習慣がない人は要注意です。

聴講(成績無関係)

他にも、聴講者としていくつかの授業に参加していまた。前期で大分移行点を稼いだので、楽しむ気持ちで過ごしていました。
古典ラテン語基礎
物理学Ⅱ
生物学Ⅱ
経済・経営学入門Ⅰ
法学入門(民法 総則 後半)
魚をたべる
他 総合科目1つ

後期成績

一般教育演習 A+
主題別 A
主題別 A
英語技能別演習 B+
ロシア語Ⅱ A
古典ギリシア語基礎 A+
情報学Ⅱ A
線形代数学Ⅱ B+
微分積分学Ⅱ B-
化学Ⅱ B+
心理学実験 B+
GPA 3.69

移行点

一般教育演習及び総合科目
一般教育演習 A+

主題別科目
主題別 A
主題別 A

外国語科目及び外国語演習
英語ⅠA-
英語ⅡA+
ロシア語Ⅰ A
ロシア語Ⅱ A
外国語特別演習(古典ギリシア語基礎) A+

共通科目
情報学Ⅰ A-
情報学Ⅱ A

基礎科目
線形代数学Ⅰ B
線形代数学Ⅱ B+
微分積分学Ⅰ A
微分積分学Ⅱ B-
物理学ⅠB
化学Ⅰ B+
化学Ⅱ B+
生物学ⅠA-
心理学実験 B+
自然科学実験 A-

移行点 3.66
黒字は必ず移行点に入る授業でした(医学部除く理系を目指す場合)
他は、追い出そうと思えば追い出せます。後期に基礎科目をもっと多く取るのが移行点的には適切だったのでしょうが、正直そこまで高みを目指す必要もなかったので…

参考までに

受験と移行点は比例しない/相関はする

共通テストと二次試験の点数を見ればわかると思いますが、受験ではそれなりの順位です。しかし、移行点はトップレベルではないです。3.8とか4.0とか取っているわけではないです。あくまでも、3.66ぐらいを取った一個人の様子として捉えてくれると助かります。

サークルに入ってもいけるよ

周りの理転仲間も、殆どの人が第一志望の学科に理転できています。サークルに熱を入れすぎない限り、両立はできると思います。

数Ⅲ(微積)と高校物理はやっとくといい

微分積分学Ⅰ・物理学Ⅰ/Ⅱは高校範囲の延長に近いので、理系の人たちの中で高い成績を取るためにはそれなりの実力を備えておく必要があります。微分積分学Ⅱも、数学3の積分を勉強しておくと大分楽になります。

物理系は最低移行点上がってきてる

北大で物理を中心に学べる学科は、「理学部物理学科」と「工学部 応用理工学科 応用物理工学コース」の2つがあるのですが、
理学部物理学科:2018年度 2.1105 → 2023年度 3.4763 
応用物理工学コース:2018年度 1.7263 → 2023年度 2.5973
と物理系は年々上昇しています(途中で下がったりしてないようです)
怠けてもいけるほど楽でもなくなってきています。

理学部物理学科は素粒子・物性を学ぶようです。
時間割がよく空いていて、他学部履修がしやすいです。

応用物理工学コースでは物性を中心を学ぶようです。特に光学系が豊富です。実験の授業が多く、基礎的な手法から教えてもらえるようです。また、理学的な授業に加え、工学的な授業があります。なお「工学部」ですが、基礎研究の研究室が大半です。

ぱっと見、何が違うのかわかりにくいです笑笑

ひとまず自由度を優先して理学部物理学科を選びましたが、直前までとても悩みました。工学部の方でも後悔はしない気がします。

自分について

そもそもなぜ理学部物理学科に?

・学問の中では、物理学に最も関心があったから
・物理学科の雰囲気を体験してみたかったから
物理学に関心を持ったきっかけ自体は、311の原子力発電所事故です。なお、今の興味は物性です。実験系の研究室を見るとワクワクします。

なぜ最初から理系に行かなかった?

高校在学中は、数学の点数が安定していなかったのでひとまず現役で大学に入ることを優先して文系にしました。

いつから理転を考えたか?

・高1の3学期~高2

文理選択用紙を提出してから、勉強の効果が出始め数学の点数が安定し始めたので理転を考えました。高2までは密かに理系の勉強をしていましたが、結局その後文系の勉強が中心になりました。世界史や地理も楽しめていたので「別にいいか」と。

・共通テスト前後

北海道大学で理転できると知り、再び理転を考え始めました。

それ以前は、東京大学を志望していましたが、学力の目標として掲げていただけで、大学自体には拘りがなかったです。東京大学内で物理学科に理転するのは無理だと思っていました。(実際どうなんでしょうね???)

その後どうなったかも書いていきます

移行してからがやはり大事だと思うので、2年次・3年次・・・の終わりごとに生活の様子を書くつもりです。

門戸を開いてくれた北海道大学にはとても感謝しています。学びに励みます。

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