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坂本 龍一 を聴く Vol.1

千のナイフ

故坂本龍一氏 のファーストアルバム。
かなりテクノ色の強い作品だが、同時にアカデミックなバックグラウンドを感じさせる傑作と言える。

タイトル曲の ” Thousand Knives " は初期YMOのライブ演奏等でファンにはお馴染みの楽曲。
リズムを構築するシーケンスフレーズが全編通じて繰り返され、その上に次々とオリエンタルで美しいメロディが奏でられていく。
極めつけは2度に渡り披露される渡辺香津美氏のギターソロ。テクノと超絶ギターの組み合わせは今聴いても色あせることはない。
なお冒頭の語りは、ボコーダーを通じて毛沢東の詩を朗読しているとのこと。

そしてYMOファンにはお馴染みに曲がもう1曲、アルバム最後を飾る " The End of Asia " 。
こちらも後半は、渡辺香津美氏の超絶ギターソロがフェードインしてくるが、とにかく様々な音(メロディ)が重なりあっており、この迫力ある音圧に口あんぐり状態。
エンディングはテープの逆回転っぽく、心に染みるあのメロディが奏でられ、やや不気味な雰囲気で幕を閉じる。

なおこのアルバムの最高傑作は2曲目の " Island of Woods " と断言したい。ホイッスルとシンセサイザーの競演で自然界の音(例えば風、波、もちろん鳥の鳴き声等)が再現され、緻密なアレンジで10分近くに渡るドラマティックな空間を構築している。質の高さがここまで来るとぐうの音も出ない。

Release : 1978
Total Time : 45:44
Category : Electronic
Country : Japan

B-2 Unit

凡人にはとても生み出せない最高傑作。

ポピュラーなスタイルに背を向けて、大胆にストレス発散か。
かなり尖がったサウンドでダブというスタイルの影響が強いようだが、やはりそのサウンドメイキングは神がかっている。

どの曲もとてつもないレベルに到達しており、捨て曲というものが存在しないが、特に際立っているのが、YMOの第二次ワールドツアーで演奏されていた " Riot in Lagos " だろう。
いくつもの摩訶不思議な音が飛び交うそのサウンドは、ライブヴァージョンよりも数段カッコよい出来である。

そして外せないのが、アルバムラストを飾る " The End of Europe " だ。
暗く、激しい重低音がひたすら鳴り続ける何とも不気味な楽曲で、ラストは振り子時計の鐘の音と共に終焉する。
とても憂鬱な雰囲気であり、その絶望感は最高である。

ここまでハイレベルのエレクトロニクス・サウンドには未だお目にかかったことがない。ロシア構成主義の影響を受けたアートワークのセンスも含めて、強烈なインパクトを与えてきた作品である。

Release : 1980
Total Time : 37:23
Category : Electronic
Country : Japan

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