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とんかつの歴史

寿司、天ぷら、ラーメンの他
毎月、凡そ300万にという
インバウンドにも
いまや人気の「とんかつ」。

その名が、最初に登場するのは
明治5年に発売された戯作者
仮名垣魯文著『西洋料理通』。

この本に
「ホールコットレット」として
紹介されたのが、
日本最古の文献と
云われています。

この「コットレツト」…のちに訛って
「カツレツ」になるのですが
最初に作ったのは
東京市銀座の洋食店
「煉瓦亭」で、
明治32年、メニューに
「豚肉のカツレツ」として
載りました。

この「豚肉のカツレツ」は
本来、温野菜が
添えられるものでしたが
その代わりに
キャベツの千切りが
添えられました。

何故、キャベツを添えたのか?
実はこれには
理由がありました。

日露戦争によって店の職人が
兵隊にとられ人手不足となり
温野菜を作りたくても
作れなくなったという理由が
記録に残されています。
 
ちなみにキャベツを最初に
横に添えたのは御徒町にあった
「ぽんち軒」という説も
あります。
 
こうして「とんかつ」の基本が
出来たのですが、
日本人はひとつの料理から、
さらに新しい料理を
誕生させます。

ヨーロッパ軒というお店の
創業者である高畠増太郎氏は
東京で開かれた料理発表会で
「ソースカツ丼」を披露、
紹介しています。

のちに高畠氏は早稲田鶴巻町の
自分のお店で、
これを売り出し、
これが【カツ丼の誕生】となります。


元祖・ヨーロッパ軒のとんかつ お店のHPより


またカツカレーが生まれたのは
銀座の『グリル・スイス』
というお店。

このお店は評判の味で
学生さんから家族連れ、
経済人・映画スター、
スポーツ選手まで
幅広いお客さんから支持を
得ていたお店。

その中でも常連だったのが
“猛牛”というニックネームで
愛された巨人軍の千葉茂氏。

彼は、カレーライスと
カツレツが大好物で、
一緒に食べたいという
わがままから
「カレーにカツをのせてくれ」
と、依頼し名物の『カツカレー』が
誕生したのです。
戦後間もない昭和23年のことでした。


『銀座スイス』のカツカレー お店のHPより


 ところで「とんかつ」の名前の
由来ですが、
先にご紹介した
「コートレット」から
”カツレツ”となり
そして日本語のトン(豚)と
カツレツが一緒になって
出来上がった
昭和生まれの造語だそうです。

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