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今度の沼は深い

 私のヲタ歴は長い。幼少期から週刊少年ジャンプを嗜んできた。クラスメイトがなかよしりぼんマーガレットを読んでいる中で、かっこいいキャラクターだらけのジャンプに夢中だった。
 私の推しはいつも「脇役」や「敗者」だ。主人公は物語の中でみんなから愛され、なんか知らないけど主人公パワーという他の人にはない力をもち、最後は勝ってしまう。勇気があり、やさしく、僻みや妬みとは無縁のヒーロー。そんなジャンプの主人公はどうしても好きになれなかった。私は多分生来の天邪鬼で、主人公ではないライバルキャラや二番手キャラに心奪われる。ドラゴンボールではピッコロさん、スラムダンクでは三井寿、テニスの王子様では海堂薫が大好きだ。どんどん減りゆく出番と落ちてゆく強さランキングにしおしおしながらも、自分の好きなキャラを応援し続けた。

 今私は「オクトパストラベラー」のスマホゲーにハマっている。もともとオクトパストラベラー(以下オクトラ)が好きで、クリアした後にスマホゲーで発売されると知り、スマホゲーがなんだかわからないけどとりあえずダウンロードをしたのが始まりだ。このオクトパストラベラー大陸の覇者がとんでもなく面白かったのだ!!!

 コンシューマーでは4人だった戦闘が8人になり、前後衛で交代しながら戦闘を進める。回復アイテムはなく、後衛にいるとHPとSPが回復する。戦闘順が速度によって確実に決まり、バフデバフにも曖昧さがなく戦略を立てやすい。トラベラーと呼ばれるプレイアブルのキャラクターがたくさんいて、容姿も能力もそれぞれ違うので好みのトラベラーに出会える可能性が高い。ストーリーは3つの中から選ぶことができ(最終的に全部やれる)、気持ちいいくらい人でなし(失礼)の悪役を倒していく。オクトラで楽しかった街の人へのFCもそのままでき、先頭に置いたトラベラーがおねだりしたり戦いを挑んだりする。また8人パーティは指輪の導きというガチャで引いたキャラから選んでいくシステムだ。ソシャゲでは普通だろうが、私は覇者が初めてのソシャゲなのでとても新鮮だった。

 ゲームシステムやバトルにウキウキしながら進めること数日、私は出会ってしまった。この深い深い沼の主、星4盗賊クレスに……!

盗賊クレス(cv.竹内英治)

なぜこの…!
ちょっとくたびれた鬚おじさんに心を奪われているのか…!
明らかに今までとハマり方が違う
彼のことで頭と心はいっぱいで
ファンアートを描きまくり
本気で喜び、本気で泣き
今世紀最大で最深の沼である…!

 何が違うのだろう。
 海堂だって三井だってピッコロさんだって本当に大好きだ。その時のナンバーワンだし、ザファだって4回見に行った。ファンサイトの運営もしていた。この差はなんなのだ。ちょっと自分なりに分析してみようと思う。


1   推しのトラベラーズストーリーが良い


 覇者はトラベラー一人一人に個別の物語が用意されている。オクトラ主人公の各章がぎゅっと凝縮されたようなものだ。
 我が推し盗賊クレス、推定アラフォー。誰も寄せ付けない、どっちかと言えば疎まれている酒場の常連のおっさんに隠された過去の秘話。「放っておいてくれ」と言いつつどうみても放っておけないオーラを漂わせながら立ち去るドット絵。大抵のトラベラーは「助けて」「手伝ってくれない?」と寄ってくるのに、彼は異色だった。
 そして推奨レベルや街の人から推測される彼の真の敵。これはボス戦か?と思わせるような最終章ボス手前の音楽演出。思わず「つ、続きはーーーー!?」と叫びたくなるラスト。元々アウトローでちょっと刹那的な盗賊ジョブが大好きな私には、このお話はど真ん中ストライークバッター三振スリーアウトォである。
 トラベラーズストーリーを終えて私は彼に思いっきり感情移入してしまう。先頭キャラも彼に交代し突入した全極シナリオ。今までとは段違いの厳しい戦い、かの邪智暴虐の王を除かねばならぬストーリーは、まさに「この世に蔓延る闇を払う」と誓ったクレストラストの第四章では!?と思った。(幻覚)


推しが、推しが主人公…!?


 これは言い過ぎかもしれないが、クレスの旅立つ理由が他のトラベラーとは違い、闇を祓うという「世直し」なのだ。それが主人公性とマッチして、メインストーリーの全てが『トラスト後のクレスの物語』に見えてくるのである。面白くないわけがない! はい、ここは沼の一丁目〜。


2  推しを自分で動かせる


 今までは作者が描いた漫画の中で動く彼らをただ眺めていただけだったし、それが当たり前だった。しかし、クレスは動かせるのだ!!
 フィールドを移動し、街ではFCを仕掛け、バトルで技を繰り出す。何を当たり前のことを言っているのだと笑われそうであるが、これまで推しの出番をひたすら待つだけの日々を送っていた私がハマらないわけがない

町人におねだりする推し お礼もちゃんと言う(イケボ)

 推しの行動を選択できる!?え、どういうこと!?右に行ってほしいと思ったら右に行ってくれる!?バトルスキルを繰り出してカッコよく決めてほしいと思ったらそういうふうにしてくれる!?しかも好みドンピシャイケボ……! 
 余談になるが、前ジャンルはドラクエ11でカミュというキャラに大ハマりしていた。かなり出番の多い大事なキャラであるが、やはり彼もサブであり、ぽぽぽぽぽ(誤解があるかもしれないが私はぽぽぽぽぽに慣れていて、クレスの声が自分にハマった方が珍しい)であり、主人公を支える側で圧倒的主人公ラブなキャラだったので、今と状況が違う。ドラクエ11はカミュの話ではなく、やはりイレブンの話なのだ。
 推しを動かせる、ということは誠に素晴らしい。これはいつでもどこでも悶えてしまう。萌のわんこそばだ。おかわり、という前に公式から燃料が投下される。これは夢か幻か。

3  憧れの主人公補正

 とにかく旅団全員クレスが好きだ。後輩義賊のカルツには「お前と一緒なら!」と、無印からいる学者のオデットには「今はアンタが最高のパートナーだ」と言われる。各トラベラーの物語をほぼ全てクレス先頭でクリアしたので、もれなくみんなクレスを頼り、クレスに好意的になる。ハニトラを仕掛けられ、動物にもなぜか好かれる。そして最後は必ず勝つのだ!!我が推し総愛されゲームの爆誕である

先頭キャラ中心に進むストーリー  誰を先頭にしても楽しいが私はもちろんクレスだ


 主人公推しの人たちはずっとこれを味わってきたのか。みんな推しのこと好きじゃん!世界の中心じゃん!!サブキャラスキーとしては自分が推しているキャラが大切に扱われ、みんながそのキャラに関わってくるような展開は味わったことのない“粉“なのだ。え、これなに?二次創作??夢??いや現実だ。これは簡単にはやめられない。そしてどんどん沼は深くなってゆく。ここは沼地の3丁目…。望むところよ!

まとめ


  実はクレスは星4といういわゆる低レアで、皆が課金をして手に入れるようなキャラではない。相当の推しではない限り、正直メンバーとして使ってもらえないだろう。私だけでも応援したいという気持ちが強くなっていったのも事実である。この2年は特にそのレア差のことで苦しんだ。今回はそこには触れないが、とにかくこの沼は深く、私は今日も元気に沼の底で沈んでいる。ここまで読んでくれた方がいたら感謝の意を述べたい。

「ありがとう」(cv竹内英治)  


おまけ 
だいぶ前にXに流したコミックエッセイもどき。今日の記事について描いてあります。ポストを見つけることができなかったので画像として添付しておきますネ。


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