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風が止むとき。

風が吹いている。
安心だ。
自分が居る場所は
自分が生きる場所。

日頃気にもせず、
淡々と生きすぎて 
変化に気付かず
立ち尽くす。

道を歩く。 
いつもの事。
この黄色いハイカラな家
を曲がり駅へと進む。
今日仕事を頑張れば
明日は土曜やっと休める。
だから頑張ろう。

土曜日天気も良いし
洗濯日和だ。
狭いアパートの 
狭いベランダに。

洗濯物を干そうと
一歩進む
そして気付く。
あれ?音がしない?
住宅街に囲まれて
いるから、
毎日何かしらの音が耳に入る。
ベランダの横は普通の道路。
大型トラック。
人の声。 
散歩中の犬のワンの鳴き声。
布団を叩く音。
さっきまで風も吹いていた
はずだった。
部屋の中に居ても
ヒューヒュー音がしていて
まっ、洗濯物が飛ぶ事は
なさそうだからとベランダへ。
変だ?
音どころか全て消えた。
えっ?車が走ってない。
えっ?風もとまった。

周りに変化はない。
しかし誰もいない。
だいたい誰かしら
歩いてる人、 
散歩してる人、
駅に行くのが
一番近い道だから
結構見かけていたのだ。
それが日常のはずだったのに。

立ち尽くす

そして異様な物を私は見た。
ソレは浮いていた。
違和感なく。 

私が見た物は、きっと誰かも
見るだろう。 
私から言えるのは  
気をつけて!ソレが姿を
現す時は
風が止む
音がきえる。
自分の居るべき世界に  
いたいのならば
先へ行かないで
進まないで
ソレに近づかないで。

その場で目に焼き付けたら
下を向いて目をつぶって
音が戻って来たら目を開けて
大丈夫。又普通の日常が
やって来るからね。

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