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春眠や 王子のキスでも 姫覚めぬ

 眠くて堪らない。
 春の眠りに勝てるものは、この地上にはいない気がする。

 王子様のキスで目が覚めたお姫様だって「もうちょっと、あと10分……5分でもいいから……」と速攻で二度寝するに決まってる。それも、ちょっとで住むわけない、ない。涎垂らして爆睡だよ、きっと。王子様に興ざめされなきゃいいけど。

 思うに、電車の中で居眠りこいて、うっかり寝過ごす率が高いのも春のような気がする。

 白雪姫を起こすはずの王子様が、馬上で居眠りしてお姫様のいる場所を居眠りこいて通り過ぎちゃったり、落馬して怪我してそれどころじゃなくなったりしそう。
 眠り姫の王子様なら、姫の眠る城がある茨の森の入り口で「ちょっと茨森突入前に一眠り」とうたた寝。ちょっと一眠りのつもりが爆睡、その間に別の王子様に先を越されたり……。

 マラソン競走中に居眠りしたウサギがカメに負けちゃうという、イソップ物語の『ウサギとカメ』のお話の季節も春だったのかもしれない。
 もしそうなら、ウサギの居眠りは冬の疲れが出たせいだったのかな。厳しい冬を越えて、気持ちはほっとしていて体は疲れ果てていた。だから居眠りしちゃったんだよ。
 カメはウサギと違って冬眠するから、冬の間たっぷり寝てたから春は眠くなかったのかもしれない。
 そう考えるとウサギがちょっと気の毒になってくる。ただし、ウサギがカメを甘く見て調子こかなければ、疲れているところは通常より速度を落としてペース配分していけば勝てただろう。
 やっぱり負けたのはウサギの「甘さ」「慢心」か。

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