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名士様 変われぬままに迷士様

 大物政治家が引退して息子に地盤を譲ると公表し、それに対して著名人が「地元はあんたのものか?」的なことを言ったという話を見聞きしました。

 かつて政治家はその土地の名士様がなるという伝統染みた慣習がございました。そして、そのまま世襲するのが常でございましたが、世の中だいぶ変わって参りました。なのに世の先を見通し、対策を講じて、国や地域、社会を牽引すべき政治が、現実の世の在り方から2、3周ぐらい遅れている感じがあります。
 古いものがすべて悪いわけでも、新しければいいというわけでもありませんが、現実と大きなズレを生じたままの感性に国の舵取りをまかせるのは、ちょっと怖いです。

ところで、以前は名士様が政治家になるというイメージは、末のタレントがなるものというイメージに変わってきておりまして、もはや定着しつつあります。これもまたいかがなものかとは思いますが。

 デジタル社会の今は、票集めも政策の発信場所もオンラインに移行してきました。そのうち場末のインフルエンサーが政治家の大半を占める世が来るかもしれません。それはそれで、別の方向にうさんくささが増す気がいたします。

 ところで、冒頭の引退して息子に政治家の椅子を相続すると言ったお方ですが、引退の理由が健康上と言われております。でも、それだけが理由か?とつい勘ぐってしまいます。某名家から某名家に政治家になるために養子となったお方ですから、今、世間を騒がせている某団体と何か関係があるのでは? と勘ぐってしまうのは愚民の習性でしょう。

余談ですが、「家名の存続」のために養子に入る(出される)という感性も、今の世には違和を覚える若い人は多いでしょうね。
 伝統の技や技術を継ぐためとかならば、まだわかりますが、「氏名」を存続させるためだけというのは、個人的にもやっとするものがあります(実は、子供の頃、養子に出されかけたので複雑な思いがあります)。ましてや、政治は継ぐもんなんでしょうか。中世までの時代じゃあるまいし。あ。まだ現代でもありますか。ご近所の某北の国とか。実質世襲王政。

 政治の世襲は、地盤――つまり支援者の方々にしてみれば、やり方も変えなくて良いし、他に自分たちの要望を背負ってくれる人を探す手間も省けますし、その方が楽なのかなとも思います。が、世情どことか地球規模で気候変動している昨今をサバイバルしていくのに適しているのかどうか疑問ではあります。
 でも、それじゃあ、どうしたらいいの? 他に方法しらないもんって、リンダ、困っちゃう状態になりますわな、きっと。そして、ただただ、「どうしたら? どうしたら?」「 問題なんです。どうしますか」「問題意識を持って頂きたい。考えていただきたい」の問いばかりがオンラインでもオフラインでも溢れるだけで、答えは出てこない。だって問題提起を一生懸命しとけば、とりあえずカッコつくから、そこまでで自己満足が得られる。答えまで行き着かない。素人ならそれでもいいけど……。(まあ、オレみたいな?) 政治玄人さえも受けだけ狙って素人芸化してるような気がする。
そんなこんなで、考えずに、ずっと踏襲と受け狙いばかりしてきたツケが今、この国を襲ってきているような気がします。

ところで、この大物政治家のお方ですが、きっとかなりご高齢かと思いきや、あらかん――アラウンド還暦。
えー、これ、本当に健康状態が相当悪くて、焦って息子に相続って発想になったのかしら? それで何かを残したいっていう気持ちが働いたのか?
 ……たぶん、私の勘ぐりすぎ。考えすぎ。迷士様の話題で、自分が迷走愚民になっちゃった。


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