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92歳 三石巌のどうぞお先に 25

三石巌が1994年から産経新聞に掲載していた「92歳 三石巌のどうぞお先に」の記事を掲載させたいただきます。(全49回)


スポーツ

40歳を過ぎたらほどほどに

 ここまできたら、この連載のタイトル『どうぞ、お先に』の意味がはっきりしたんじゃないかな。寿命をちぢめる犯人がうきぼりにされたんだから。そいつをやっつけるスカベンジャーの紹介もすんだじゃないか。
 スポーツがからだにわるいっていう話があるけれど、それもからんでくるんだ。ジョギングを考え出して本をかいたフィックス先生(米国人)も、老年学のオーソリティーだった金子仁先生もジョギング中に死んでいる。医者はしきりに、ジョギングのまえにはドクターチェックをやれといっていたが、このごろはそれもいわなくなった。ホントのことがわかったからだろう。
 ジョギングにはエネルギーがいる。エネルギーをつくるのには酸素がいる。その酸素の二%ほどが活性酸素になるんだな。酸素をたくさんとりいれるエアロビクスっていう体操があるだろう。あれはわざわざ活性酸素をふやす方法なんだ。若いものむきってことだ。
 あたりまえのことだが、われわれのからだはスカベンジャーを用意している。野菜を食わなくてもだいじょうぶなんだ。だがそれは若いうちの話だ。
 四十をすぎたらその量がへってくる。これはふつうのドクターチェックじゃわからない。金子先生は六十をこしていたし、フィックス先生は五十をこしていた。これじゃ活性酸素にやられてもおかしくないんだな。
 そんなわけで、活性酸素はエネルギーづくりにともなって発生する。
それだけじゃない。ストレスがあると活性酸素がでてくる。なぜでてくるかっていえば、ストレスにまけないために、からだは抗ストレスホルモンをつくる。このとき活性酸素が発生するんだな。抗ストレスホルモンは、れいのステロイドホルモンだ。これが分解するときにも活性酸素はでてくる。
 心配ごとがつづくと体調がくずれるだろう。これはしょっちゅうステロイドホルモンをつくったりこわしたりしているから活性酸素がたえずでてくるからさ。これじゃかなわないよ。
 若いときならまだいいさ。中年すぎたらスカベンジャーが不足だからたまらないよ。
 尿酸ってものがあるだろう。血液検査でこれのことを医者になんとかいわれることがある。尿酸値がたかいと痛風になるばあいもあり、ならないばあいもある。ところが、これがスカベンジャーなんだ。もうれつ社員には尿酸値のたかいのがおおいっていうんだよ。

三石理論研究所


三石巌
1901年 東京都出身
東京大学理学部物理学科、同工学部大学院卒。
日大、慶大、武蔵大、津田塾大、清泉女子大の教授を歴任。
理科全般にわたる教科書や子供の科学読み物から専門書にいたる著作は300冊余。
1982年 81歳の時、自身の栄養学を実践するために起業を決意し、株式会社メグビーを設立。
1997年 95歳で亡くなるまで講演・執筆活動による啓発につとめ、
生涯現役を全うした。


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