「ついこの間まで大学生だったのに、4月からいきなり担任を持たされるんですよ。不安です。」
近所の女子大生の言葉だ。
彼女はこの春、近県の教育委員会で教職につく。
仕事柄、教員の疲弊をよく聞くので、彼女の不安にどう答えればよいのか思わず言葉に詰まった。
「手を抜けるところは極力抜いて、あんまり頑張りすぎないでね」とごまかすようになぐさめた私に対して、先程の彼女は続けた。
「成績表も、手書きの温かさは欠かせない、っていう校長先生もいるらしくて。だからまだまだ手書き文化も多そうで。」
新卒で真面目な彼女には「手書きなんて古い」と校長先生に言い返すのは難しそうだ。
喜入克著「教師の仕事がブラック化する本当の理由」(草思社刊)には以下の記述がある。
先日、彼女はいよいよ新天地に旅立った。
おそらく大変な毎日が待ち構えているだろう。
彼女の周囲が、「誰も反対できない正論」を乗り越えて、健康的な日常を送ってくれるのを祈るばかりだ。