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大学卒業後、いきなり担任をもたされることへの戸惑い。

「ついこの間まで大学生だったのに、4月からいきなり担任を持たされるんですよ。不安です。」
近所の女子大生の言葉だ。
彼女はこの春、近県の教育委員会で教職につく。
仕事柄、教員の疲弊をよく聞くので、彼女の不安にどう答えればよいのか思わず言葉に詰まった。

 2023年12月22日に文科省が公表した調査結果によれば、2022年度に精神疾患で休職した全国の公立学校教員の数は6539人と過去最多となっている。なかでも若い世代の割合が多く、20代だけで全体の2割近くを占めている。精神疾患で休職する20代の数は、この5年で1.6倍に増えている。

 休職までいたっていない数は、かなりの数にのぼっていると想像できる。吉田さんのように右も左もわからない初任で学級担任を任され、大きなプレッシャーを受けていることが大きな要因になっているにちがいない。

 初任者に学級担任をさせない自治体も、わずかだが、でてきている。若い教員を育て、教職をやりがいのあるものにするためにも、退職する教員を減らして教員不足を解消していくためにも、初任者に学級担任を強いる制度を考えなおすべきである。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c2eb33d542f500654629aa04f24b5baceee2ceda

「手を抜けるところは極力抜いて、あんまり頑張りすぎないでね」とごまかすようになぐさめた私に対して、先程の彼女は続けた。
「成績表も、手書きの温かさは欠かせない、っていう校長先生もいるらしくて。だからまだまだ手書き文化も多そうで。」
新卒で真面目な彼女には「手書きなんて古い」と校長先生に言い返すのは難しそうだ。

喜入克著「教師の仕事がブラック化する本当の理由」(草思社刊)には以下の記述がある。

学校と教師にまつわる悪循環を、教師の仕事がブラック化していく「基本的なサイクル」としてまとめると、次のようになる。
1.一見すると、誰も反対できない正論が語られる。
2.その正論が悪循環を生み出す。
3.その悪循環によって、教師がブラック化していく。
こうした悪循環を解決するためには、基本的に、次の二点が大切になるだろう。
正論を見直すこと。または正論に対抗する教育の論理を明確にすること。
悪循環を止めるための具体的な解決策を考えること。

喜入克著「教師の仕事がブラック化する本当の理由」13ページ(草思社刊)

先日、彼女はいよいよ新天地に旅立った。
おそらく大変な毎日が待ち構えているだろう。
彼女の周囲が、「誰も反対できない正論」を乗り越えて、健康的な日常を送ってくれるのを祈るばかりだ。

教育・IT関係の情報、時々一人旅の記録や日々の出来事など発信しています。最近は生成AIにハマっているのでそっち系多め。地方在住。読書好き。犬と猫を飼っています。