見出し画像

「夢や目標は持たない」白血病と向き合う、元なでしこサッカー選手の鈴木理紗さん

元女子サッカー選手の鈴木理紗さん。高校卒業から 28歳までなでしこリーグ(女子サッカーリーグ) に所属し、引退してからは指導者として活躍。その他にもスポーツの家庭教師や発達障がい児スポーツを支えるNEXTSPORTS代表。現在は、AKIRTI(カレー屋) のオーナーも務める。そんな中、2020年11月(35歳) に「急性骨髄性白血病 M1/FLT3」と診断。

多岐にわたる活動をされている鈴木理紗さんのご病気が発覚された時の経緯から大切にされている考え方をお伺い致しました。

■ この記事を書いた人
ナリ(Finding 代表/運営者) :家族の難病の経験から、同じ病気・治療法の人々と繋がり、少しでもポジティブになれる環境を目指す ”Finding” 実現を目指す。コンセプトは、「医療・病気に対するネガティブな感情を取り除く」です。詳しくはこちらの記事へ。

画像3

 ご病気が発覚された時の経緯

きっかけは、高熱だった。高熱が3日続き、コロナ禍であったため救急を受診。医師から血液の病気と伝えられた。血液の病気は、白血病しか知らなく「白血病ですか?」と聞くと、「そうです」の返答だった。
特に不安になったり、ネガティブな感情に侵されて落ち込んだりはしなかった。なるモノはなるモノだと。癌や白血病なんて他人事だったが自分がなることもあるんだなと俯瞰した感覚だった。

ご病気について

病名は、急性骨髄性白血病 M1/FLT3。
白血病の種類はたくさんある。例えば、池江璃花子さんはリンパ性白血病。子供さんがなるケースが多い。
検査結果は、がん化した白血球数が正常の人の6倍であった。
FLT3とは、遺伝子異常の病気。治療には、移植手術を受ける必要がある。

治療法について

- 抗癌剤治療 -
救急で検査を受け即入院となり、次の日から抗癌剤治療が開始。
最低でも3, 4回の抗癌剤治療を有する。入院中は無菌室に入り、抗がん剤の作用で血球が下がってる時は一定の範囲から外へ出られない。また、コロナの影響もあり面会はできなかった。
1回目の抗癌剤治療では寛解しなかった。
2回目の抗癌剤治療で寛解。
3回目も同じ抗癌剤治療。

*寛解:症状が落ち着いて安定した状態 [1]

- 造血幹細胞移植手術 -
実は臍帯血移植は5分ほどで終わる。骨髄移植は1時間ほど。臍帯血とは、ボランティアで赤ちゃんとお母さんを繋ぐへその緒から血液を臍帯血バンクへ提供していただいたもの。 臍帯血移植は臍帯血を大きい注射器2本分を、点滴から注入し5分程度で終わる。

病名・病気が発覚した際の気持ちの変化について

- ネガティブの感情 -
ネガティブの感情は、特になかった。治療の副作用による口内炎や味覚障害もなかった。強いて言うなら、移植治療の後、GVHDの作用により、1ヶ月くらい気持ち悪く胃がやられて、ご飯が進まなかったこと。その時に体重が10kgくらい落ちた。

- ポジティブになれた出来事 -
サッカーチームの監督をしていた際の、チームの子達がペンライトで応援してくれた。その様子を病院の4階の隙間から見れたことが嬉しかった。
また、友人などからのビデオメッセージなども勇気づけられ嬉しかった。

画像1

画像2

Twiter(SNS)での公表について

元々、選手・指導者としてTwiter の活動を行っていた。応援して下さる方々に失礼だと想い、病気についての公表を行った。たまに、病気について知らない方々から、「練習試合してくれませんか?」などの連絡もあった。
Twiter(SNS) での発信内容は、できるだけポジティブな発信を心がけている。それにより、自分が思ってもいなかったところで色々な人に勇気や元気を与えられていた。また、自分自身もメッセージを通じ、活力を貰えている。

同じ病気や治療法の方々へのメッセージ

能天気なので参考にならないかも知れないが、” 寝れば忘れる” の考え方がある。しかし...

本当に頑張ってほしい!考え込まず、想いすぎず、楽しいものを思い出すことが大切。
検索とかしすぎると悪い情報も入り込んでくるから。また、自分の病気についてオープンに言うことも大切。ここからは憶測だが、オープンに言わないと友達との繋がりも狭まるのでは?隠さない方が孤独感もないのでは?

今後の目標や夢

夢や目標を持つことは辞めた。
元々ないタイプだったが、今が大事という考え方。いくら健康でも、いつだれに何があってもおかしくない。
健康であり、元気に過ごせて、友人や家族と笑い、美味しくご飯をべ、それを噛みしめることを今は大事にしていきたい。


Finding の必要性

このサービスがあれば、病気になった際にまずそこに問いかければ、得たい情報が見つかる可能性がある。
FLT3(染色体異常の病気) が発覚した際にインターネットでかなり調べた(生存率から再発率など)。インターネットで調べても偉い学者さんの論文や難しい情報しかなかった。初めて不安を抱いた。私の場合は、Twiterで検索すると2人同じ病気の人が見つかりDMにて交流できた。
インターネットでは得れない情報があり、経験者の言葉でもあるので、安心に繋がる。

画像4

□ 鈴木理紗さんがオーナーのカレー屋 AKRITI(アケティ)

□ 参考文献
[1] 国立国語研究所「病院の言葉」委員会:「寛解について」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?