見出し画像

【エッセイ#6】友達のお金を取ってしまった娘

 いつものように保育園にお迎えに行ったある日のこと。長女(当時年長)の荷物置きのあたりで帰りの支度をしていると、チャリーンというお金の音が聞こえました。

 「今のは何?お金の音?」と私が聞くと、長女が10円玉を3つ持っているではありませんか!それもなぜか出席シールの手帳のカバーについている内ポケットの中に入っていたのです。本人は悪気もなく「お金だよー」と言いシール帳を振って音を鳴らしながら見せてくれました。

 当然、保育園にはお金を持って行っていませんし、当時はまだお小遣いもあげていなかったので自分のお金ではありません。訳を聞くと、女の子のお友達(Aちゃん)が30円を持ってきていたのを、こっそり見ていたようなのです。その30円をAちゃんはロッカーのかごの中に入れていました。長女はふとした隙にかごから10円玉3つを取っていた、という経緯でした。

■ 10円玉と折り紙5枚の違いは?

 人のお金を勝手に取ってしまったのはいけないこと。でも子どもたちの間で折り紙やお菓子、ファミレスでもらったプラスチックの指輪を交換したり、プレゼントしたりするのは日常茶飯事のことでした。

画像1

 10円玉と折り紙5枚が同じ値段・価値だとします。では、なぜ折り紙5枚はお友達にあげたりもらったりしても良いけれど、10円玉1枚はお友達にあげたりもらったりしてはいけないのでしょうか。皆さんは説明することができますか?私にはこの課題をうまく子どもに説明をすることができませんでした。

 そこで考えついたのが、何をお友達にあげても良いのか、あげてはいけないのか、というルールを家族で決めよう、というものです。詳細については下記のnoteにて説明をしているので、ぜひご覧ください。

 このルールを家族で決めてから4ヶ月ほどが経ちました。長女が親が見ていないところでも約束を守り続けているのか、やや不安もあります。でも時折、「本当はもらっちゃいけなかったのに、忘れてもらっちゃったの。ごめんね」と言ったり、妹にも「これはあげちゃダメだよ」と言ったりする場面があるので、本人も納得し、うまくルールを守れている様子です。

 ちなみに冒頭のAちゃんのお母さんには、後日保育園で会ったタイミングで長女が勝手にお金を取ってしまったことをお話しました。Aちゃんもお兄ちゃんのお小遣いを勝手に取っていたようで、保育園まで持ってきていたことをお母さんも気付いていなかったそうです。

 まだ小さいから、小学生ではないから、という思い込みでお金について何も教えないでいると、想像もしないトラブルが起こる可能性がある、ということを身をもって経験しました。今回はお金の音がしたので早期に気付けました。でも、知らない間に自分のお金にしていた、なんてことが起きていたら・・・と思うとぞっとします。小学校に入ると、今よりも更にお友達間での物の受け取りが見えにくくなりそうなので、入学前の早いうちからルールを家族で作り、運用してみることが大事なのではないでしょうか。

(文:Mari Kamei)



この記事が参加している募集

たくさんの家庭や子どもたちに届けるため、可愛いイラストを使ったお金の紙芝居、海外事例の翻訳など、さまざまなコンテンツを作っていきたいと考えています!