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母の名は。 第2回・スノーマーチ

じゃがいもの品種について語るコーナーです。

第2回は男爵かな~メークインかな~

デン!

「スノーマーチ」

いきなりマイナーなやつきた……っ!

いや、良いお芋だと思うんだが、まだ知名度がそんなにないので

ぜひ今後お見知りおきをという意味でも、スノーマーチちゃんを紹介したい。


おすすめされたんじゃが


スノーマーチを初めて知ったのは、

2019年1月

じゃがいも擬人化小説を書き始めるにあたって、

じゃがいもと真面目なお付き合いをしてみようかと思っている頃であった。

あ、これを読んでもわかるように私とじゃがいもの付き合いはまだ1年半のにわかなのである。

えらそうにこんな記事を書いていて本当にすまない。

私の言う真面目なお付き合いとは、

ひたすら食う

収集した知識も吸収しながら

でも食べ物は食べないと何もわからないからひたすら食う

というものである。

よってフィナンシェもリンゴも、ひたすら食い続けている

(短期集中とか言い訳しながらいつ飽きるんだ、おい)

Twitterでおすすめのじゃがいもあったら教えてくださいとつぶやいたところ、

マチルダ

とうや

など、声を上げておすすめしてくれる人ならではのこだわり品種の中に

スノーマーチ

があった

猫宮ゆりさんと湖上比恋乃さんの2人がおすすめしてくれたことを覚えている。

人からのおすすめは俄然試してみたくなる性格である(食べ物は特に)

調べてみるとJAきたみらいからお取り寄せできるらしい。

が、最小単位10kg

……いや、無理じゃが、そんなに食えんじゃが

と、あっさり諦めた。

私の性格上、いろいろな品種を少しずつ試したいだけで、1品種にそんなに関わっていられないわ

……諦めたのだが、

その後、様々な芋を見つけ出しては食べていくうちに

スノーマーチも食べておけばよかったな~という思いが募るようになる



ひととせののち、芋の伝道師になること


後悔しても季節はもうめぐっている。

なにしろスノーマーチは

12月~3月の

冬に甘みを増して美味しくなる品種

ということで

お取り寄せですら

冬以外は買えないのだ。

じゃがいもを食べる習慣が付いてきたこともあり、

10㎏はまだ厳しいかもしれないが

来年は絶対頼もう

と心に誓った。

そして、11月頃からそわそわし

12月にJAきたみらいのWebショップを見に行ったら

Webショップがなくなってるんじゃが

どうすると立ち尽くしたが

私は思いついたのさ

北海道の北見エリアは今後スノーマーチの栽培に力を入れていくと書いてあったじゃないか

なら、ふるさと納税になんかそういうの出してないのか

あった

https://www.furusato-tax.jp/product/detail/01208/4872569

例年、泉佐野市的ボリューム肉ばかりをチョイスしてきたが、

迷わず北見市に1万円払った。

年が明けて2020年、スノーマーチの箱が届く。

段ボールいっぱいの芋が我が家に届いたのは初めてのことであった。

そうして、その頃には

雲形ひじきが芋に狂っている

という認識が周囲にだいぶ広まっていた。

3月に発刊していたじゃがいも擬人化小説本は、当サークルにおいては謎の売れ行きで増刷が決まり、

Twitterのつぶやきも、会ったときのおしゃべりでも芋占有率が高くなってきていたからである。

「いも、いる?」

と発信したところ、10人以上が「いる」と答えてくれた。

地方発送もしつつ、

会ってごはんをする口実にしながら何日かに分けて芋を配り歩いていたら

手元には7個しか残らないほどあっという間に消えた。

皆さん揃いも揃って、このスノーマーチがどんな料理に合うのかと興味を持って訊いてくれるので

土臭くなくて、しっとり甘みがあるので

シチューやグラタンなどのクリーミーな料理に合います

と伝えると、ちゃんとそのメニューを作って報告してくれた。

などなど

えらすぎ君か

一応、私もやったけども


「形がなめらかで皮が剥きやすい!煮崩れしない!すごいね、主婦のことわかってるね」

と、テレビショッピングばりにこの芋の特徴を言い当てて、感動してくれる人もいた。

……この日記的文章の中で、さりげなくスノーマーチの特性をお伝えする手法、伝わってる?

たった1年で協力者がこんなに増えるとは思わなかった。

ありがたいことである(イイハナシダナー)

幾人もの人が私のことを「芋の伝道師」と呼ぶので、もう開き直って自分でも名乗っちゃうことにした。

(ヤクザもゼミ長も開き直って名乗ってるだかんね!)


包嚢竜と瘡痂鬼


疲れた?大丈夫?

スノーマーチの来歴を語っていいかな(いいよー)

すでにTwitterにつぶやいていた。


うん、言いたいことは大体含まれてる。

母の名は。第1回で「ジャガイモシストセンチュウ」はめちゃめちゃ怖いという話をした。

他にもじゃがいもにとって怖い病害はいくつかあって

「そうか病」

もそのひとつ。

そうか、漢字で書くと瘡痂

そうか病は、細菌のせいで芋の表面にあばたみたいな、かさぶた状の病斑が発生して見た目が悪くなってしまう。

皮をむけば普通のじゃがいもとして食べられるんだが、まあ、お店で売れなくなっちゃうよね。

これも一度発生した畑では対策が困難

発生被害は近年減少してはいるものの、そうか病に汚染された畑で作れるそうか病に抵抗性のある品種は必要。

「ジャガイモシストセンチュウ」と「そうか病」どっちも抵抗出来たら最強じゃん!

と考えるよね。

サプリは何も考えなくてもいいマルチビタミンを選ぶタイプの私だ、なんなら亜鉛や乳酸菌も入れてくれ(関係ねぇ)

というわけで

そうか病に比較的強くジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種「アトランチック」を母、

そうか病抵抗性品種「Cherokee」を父にして

交配させた。両親どちらもアメリカの品種である。

まず1999年「スタークイーン」が育成されたが、食用としてのレベルがいまいちだったのと、そうか病抵抗性が不十分だった。

2000年、ざらざらしたラセット皮でそうか病に強い「Early Gem」を母とする「ユキラシャ」が育成されて、

そうか病にはめっちゃ強かったが、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性がなかった。

で、2004年、満を持して

スノーマーチ

の登場

両親はスタークイーンと同じである。姉妹じゃん。

そうか病抵抗性の強さはスタークイーンを上回った。

これでより多くのそうか病に汚染された畑で栽培することができる。

ジャガイモシストセンチュウの抵抗性も持っていた。

これでセンチュウに汚染された畑の線虫密度をさげることができる。

名前は「雪(スノー)の降る頃から3月(マーチ)に向けて美味しくなる、雪の大地で病害虫に負けず行進(マーチ)する」の意

目が浅くて形がいいし、おいしいし、煮崩れしないし、

一般家庭だけでなく業務用にも使える

じゃがいもの安定生産に一役買うにちがいない

と私は期待しているのである。

東京の東急ストアでは、スノーマーチが少量で販売されているのを目撃したので

もっともっと目撃例が増えることを願っている。

品種厨的には

スノーマーチのことも十分新品種だと思っていたのに、もう

「ハロームーン」という新品種のお母さんになっているらしく、

親としての役割も楽しみにしているんだよね~。

追記:ハロームーンよりも前に「リラチップ」のお父さんになっている。

300字SS


はい、今回もこれまでのお勉強の復習になる300字SSがあります。

まずはユキラシャから

画像1

戦乙女、かっこいい!(個人の感想です)

それをふまえて

スノーマーチ

画像2

羅紗様との百合では(個人の感想です)

包嚢竜がジャガイモシストセンチュウ

瘡痂鬼がそうか病を表現している。


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BOOTH⇒「The Hidden Treasure われは妹思ふゆえに芋あり」

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