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セカジャガ 第4回・フランス編

セカジャガ、楽しんでいただけてますでしょうか。

第4回はおフランス。

フランス語でじゃがいもは「ポムドテール」

意味は「大地のリンゴ」

リンゴについての記事はまだ書いていないが、私は天と地両方のリンゴを愛している。

海を渡る悪魔の植物


カタカナが覚えられない致命傷ゆえ世界史を放棄して久しいのだが

せっかくの芋研ゼミ、せっかくのセカジャガなので

芋の歴史を少し語ろうと思う。

こういうのを友人に早口でわーってしゃべってあとで一人反省会するはめになるんだぞ!

興味のない人は「デブマンティエ」の見出しまで読み飛ばしてもらってもかまわない。

こほん、ゼミ長っぽくしゃべろ(説明のときは敬体の方が書きやすい)

第1回のセカジャガで、じゃがいもの起源はアンデスだという話をしましたね。

ペルーとかボリビアとかの南米

あのあたりはインカ帝国という国、文字を持たない文明が栄えていました。

世界遺産にもなっている空中都市マチュ・ピチュは、その時代の遺跡です。

「インカのめざめ」のインカはここから来てるんですね。

16世紀、スペインがインカ帝国を征服します。

……お土産、持って帰るじゃん?

それによってじゃがいもはヨーロッパに渡ることになりました。

フランスにじゃがいもが伝わったのは1600年頃。

(日本の長崎にじゃがいもが伝わったのも実はこの頃のようです、へぇー)

いまでこそおいしくてめっちゃ使える食材としてヨーロッパ中で重宝されるじゃがいもですが、

伝わった当初は奇妙な植物として見られていました。

ほら、ジャガイモって種芋で増えるクローンのようなものなので

雄と雌なしに子孫を残すなんて不純

聖書に載っていない悪魔の植物よ!って魔女裁判にかけられて真面目に火あぶりにされたり(ベイクドポテト)

植物園でお花の観賞用に植えられたり、家畜の餌にするくらいで、食べ物としての認識は薄かったんですね。

そんな偏見にまみれたヨーロッパの中で、

第2回のセカジャガで紹介したアイルランドに比較的早く栽培が定着し主食化したのは、

厳しい植民地支配のおり、寒冷地でもよく育つじゃがいもが貧しい農民の胃袋の味方となったからのようです。


パンがなければお芋を食べればいいじゃない


じゃがいもは歴史上の有名な人物とも絡んでいきます。

フランスでは

じゃがいもは病気を起こす原因なんじゃないかと考えられ、

なかなか広まりませんでした。

じゃがいもはすっげぇんだぜ!飢饉の時の救世主になるんだってば!と頑張って普及に努めたのは

パルマンティエという人物です。

薬剤師であり農学者でもある彼は、

1754年から始まった七年戦争に参加した際、プロイセン(ドイツ)の捕虜になってしまいました。

プロイセンではフリードリヒ大王が自ら毎日じゃがいもを食べ

「お前ら全員芋を食え、栽培しなきゃ耳鼻そぎ落とす」キャンペーンを展開していて、

捕虜にもじゃがいもが与えられました。

おいもしゅごい~

と感じ入ったパルマンティエはフランスに戻った後、

有名人を夕食会に招いてジャガイモフルコースでもてなし、「磯野ー、芋やろうぜ」と王様にも提案します。

与えられた砂地で肥料もなく手間をかけて育てたじゃがいもに初めて花が咲いたとき、

パルマンティエは嬉しくなって王宮までダッシュして王(ルイ16世)に見て見てしに行きました。

ルイ16世はその労をねぎらい、自らの胸元と王妃マリー・アントワネットの髪にその花を飾りました。

その場にいた取り巻きは驚いたと思いますが、マリー・アントワネットが付けてるんだからおしゃれじゃーんということになり、

上流階級で栽培が流行ります。イモフルエンサーアントワネット。

王は国営農場に「これはすごくすっごく良いものだから盗んだら厳罰」とお触れを出して、仰々しく見張りをつけました。

一見独占して普及させる気はなさそうなこれが、ルイ16世の策略です。

ダメと言われるとくすぐられるのが好奇心

人々は深夜こっそりと忍び込み、じゃがいもを盗み出します。

立派な見張りは、夜はぜんぜんいなかったの、ふっしぎ~。

こうして庶民にもじゃがいもが広まってゆきました。

そのエピソードを300字SSにまとめたのがこれ

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デブマンティエ


……ついてきてる?

おまたせ料理写真の時間だ。

美食の国フランスなので、

ポムドピューレだの

ポムフリットだの

マッシュもフライもひと手間かけていくのだが

私のお勧めは

①アッシュ・パルマンティエ


パルマンティエ……聞き覚えがある?

そう、あのじゃがいも普及に努めた彼の名前を冠した家庭料理があるのだ。

概要は

ミートソース、マッシュポテトを重ねてピザ用チーズをたっぷりかけてオーブンで焼く

以上

簡単で美味しい、間違いない、この字面を見ただけで食べ過ぎてデブになるのがわかる。

セカジャガ公式テキストでは

おしゃれアレンジがごりごりされていたので、完全に無視した。

②グラタン・ドフィノワ


フランス・ドーフィネ地方の郷土料理、ようするにポテトグラタン

③ポムアンナ


セカジャガ公式テキストでは

澄ましバター作っての1枚ずつ揚げての型にはめてのオーブンに入れての……ええーい、性に合わん。

完全に無視した(2回目)

フランス料理監修部分のシェフがそういうタイプなんだと思ふ。

バターの量がすごいのは踏襲した。

プロイセンの話題が出たが、じゃがいもといえば、

フランスよりもドイツのイメージが強い人が多いかもしれない。

そのへんはまたおいおい。

セカジャガ バックナンバー

第1回 ペルー編

第2回 ベラルーシ編

第3回 アイルランド編


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