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江戸時代に学ぶお金 その24:得意なことは、時に身を亡ぼす。


巻5④ 朝の塩籠夕べの油桶

鹿島大明神様の御託宣のなかに、人の身代について「ゆるぐともよもや抜けじの要石、商い神のあらんかぎりは」と申す御詠歌がございまするが、その心は、すべて生業の道は、稼ぐに追いつく貧乏はなしということでござる。

と、鹿島の言触がいってまわっているが、これを正直に受けとっておいて、一文の銭でも無駄にしてはならないのである。

ここに常陸の国に、その身一代のうちに分限となった人がいて、十万両の金を持ち、その名もこがねが原という所にすんでいた。

下々の村人たちを憐み、慈悲の心が深かったので、この人は土地の宝だと、村の草木までもなびくほどであった。

若い時から一刻も安閑としていたことがなかった。それで毎年暮らし向きがよくなって、五十余歳までに銭三十七貫文を、倹約して貯めた。

この人が頼もしい人柄であることを聞き伝えて、厳しい浪人の取締りのあった時代のゆえ、長い浪人の暮らしで身の置きどころのない者たちが、この人にゆかりのある方からの招待状をもらって、このこがねが原の里に行ってひたすら庇護を頼んだところ、受け入れられた。

(しかし、時がたち)公儀の浪人改めが行われた際に、皆、そこを追い出されてしまった。

「めいめいの家業をおそろかにして諸芸を深く好んではならない。これらの浪人たちも日頃好きな道で世を渡る身の上となってしまった。人にすぐれる器用といわれる事は、必ずその身の仇となるものだ。公家は和歌の道を、武士は弓馬の道をはげみ、町人は算用をこまかにして、天秤の量り方を間違わわぬようにし、手まめに出納簿を付けるのがよい」と、この町の長者は、大勢の子供に言いきかせたのだった。

『新版日本永代蔵』(著 井原西鶴、訳 堀切実、KADOKAWA)より

300年たってもお金については何ら変わっていない。

本日の学び
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・自分の好きなことを追求するのはいいが、本業を忘れないように。
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