「ピッピ船にのる」(1969年 スウェーデン・西ドイツ) 原作:アストリッド・リンドグレーン 監督:オッレ・ヘルボム
《あらすじ》アストリッド・リンドグレーンの名作「長くつ下のピッピ」シリーズピッピはゴタゴタ荘で動物と一緒に気ままに暮らす、世界一強い女の子。金貨の鞄を盗んだ泥棒をやっつけたり、ガミガミおばさんをやりこめたり、痛快で楽しい毎日を描いた物語。
学に入ったばかりの頃、「お洒落を楽しめるから、僕は冬が一番好きなんだ」と、いかにも“都会の私立高校出身”という感じの小沢健二みたいな男子が、マーガレットハウエルのシャツをお洒落に着こなしながらさらりと言うを聞いて、地方の県立高校出身の私は「世の中にはこんな思考回路の男子もいるんだ」と、かなりのカルチャーショックをうけたものです。
「ピッピ」シリーズのDVDは4作あるのだけど、その中でも私が一番好きなのが冬の場面が多く出て来るこの「ピッピ船にのる」です。
トミーとアニカ兄妹の暖かい色のニットや、ガミガミおばさんのゴージャスなファースタイルなどももちろん素敵なんだけど、つい私が注目してしまうのが警官や泥棒など、北欧のおじさんたちのおしゃれな冬ファッション。特に警官の制服のジャケットが白いファーなんてのは寒い国ならでは。「あぁ、おじさんがお洒落な国って、いいなぁ」なんてことを思いながら、あの時「冬が好きだ」と言っていた男子も、今頃はお洒落なおじさんになっているのかなぁなんてことを、ふと思ったりするのです。
「自由気ままに暮らして、自分で使えるお金もたっぷりあって、馬を持ち上げるほど力持ちなピッピ」に子どもの頃は単純に憧れていたけれど、大人になってみると、ピッピはその自由さの裏で自分に対する全ての責任を、子どもながらに一人で引き受けていたのだなぁと思うと、ピッピの健気さにキュンと切なくなって、痩せっぽっちのピッピをギュッと抱きしめてあげたくなるのです。
対する全ての責任を、子どもながらに一人で引き受けていたのだなぁと思うと、ピッピの健気さにキュンと切なくなって、痩せっぽっちのピッピをギュッと抱きしめてあげたくなるのです。
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