王レス

『王様のレストラン』(1995年フジテレビドラマ)脚本:三谷幸喜 主演:松本幸四郎

天才オーナーシェフの死去によりすっかり寂れてしまったフレンチレストラン「ベル・エキップ」。 そこに新しいオーナー原田禄郎と伝説のギャルソン千石武がやってきて、従業員たちの反発を受けながらも次第にお店を立て直していく物語。

三谷幸喜さんの作品の好きなところは、アクの強い性格の人物を「嫌なヤツ」で終わらせずに、そのアクの強さをギャグにして愛すべき人物に描いているところです。

逃れられない人間関係の中でどうしようもなく嫌な人物に出会ったら、心の中で「この場面を三谷さんが脚本にしたら」と考えることにしています。
そうすれば「またあの人はあんな小ずるいことをしてるよ(苦笑)」とか「またあの人が出しゃばってるよ(苦笑)」と、なんかプププと笑えてくるのです。
そして自分のこともそんな風に観察してみると、自分の欠点も「プププ」と受入れられるような気がします。

このドラマは、当時としてはかなり画期的なドラマだったように記憶しています。
まず、レストランの中だけで物語が進んで行く舞台のような設定。
当時はまだ無名の小劇場出身の個性的な役者さんがたくさん出ていること。
「月9といえば筒井道隆」と言うくらい、かっこいい役ばかりしてきた筒井道隆さんがかなりのぼけぼけキャラでしかもそれがぴったりハマっていることなどなど。
そして当時はまだ「パティシエ」とか「ソムリエ」とか「ギャルソン」などという言葉も一般的ではなくて、ドラマの中でそういう言葉を聞くこともまた新鮮でした。

“オマール海老のびっくりムース”や“サーモンの臓物パイ”“フルーツのグラタン”などなど、レストラン「ベル・エキップ」の名物料理は絵本の中の食べ物のように私にとって永遠の憧れなのです。

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