フィルム・コミッション直送便(75)【第7回JFCアウォード開催】
基本的にフィルム・コミッションは撮影誘致支援という業態なため、支援作品より表に出たり、表彰されることはありません。しかし、撮影誘致や支援は多くの協力者との賜物であり、支援ノウハウや実績は他のFCなどにも参考になること、また公開に合わせた創意工夫のPRや地域での盛り上げなどは、交流人口や関係人口が求められる中でFCだからできるという価値と定め、FCの認知度や存在意義などを発信しよう!と「JFCアウォード」が創設されました。
第7回はノミネートされた19団体から最優秀賞1団体、優秀賞4団体を選出しました。資料から抜粋すると以下の通りです。
【最優秀賞】浜松フィルムコミッション(映画「弱虫ペダル」)
【受賞理由】緊急事態宣下かつ天候の悪い季節の中、市街地の道路を2日間封鎖しての大規模なゴールシーンなど、計8か所で撮影。
そのため地域としっかり連携してトリプルスタンバイで状況にあわせて準備を行い撮影に至った点が高評価に繋がった。
また作品のテーマがロケ地巡りに結びつきやすいという利点を活かして、サイクリストと映画ファンの両方へ響く質の高いロケ地めぐりを企画し、サイクリングの聖地へと加速させる要因を作ったことも大きかった。
【優秀賞①】岡山県フィルムコミッション協議会(映画「名も無き世界のエンドロール」)
【受賞理由】作品の最もキーとなる『交差点』での撮影で、県警や地域を巻き込んでしっかりと準備を行い、撮影を実行したことで、撮影時には、地元警察が交代制で現場に待機し、信号機を手動で変える等の対応をしてもらうことができ、撮影隊も警察へ非常に感謝していた。
審査会でも岡山県警に特別賞をという声も上がるほどの評価を得ており、それもFCの継続的な取り組みが警察を動かしたといえ、岡山県FCの日頃の活動の積み重ねが表彰の決め手となった。
【優秀賞②】千葉県フィルムコミッション(映画「弱虫ペダル」)
【受賞理由】自転車レースということで、ありとあらゆる坂を提案してロケ地を決定し、九十九里有料道路ではまる二日間の道路封鎖など、積極的にロケ地を提案し撮影を成功させた点は大きい。
また緊急事態宣言で撮影だけでなく、プロモーションも変更や中止となるなど大打撃を受ける中、コロナの影響により大会出場の夢を絶たれた高校生自転車競技部員などを招待し、リモートで出演者と会話ができるなど、代案をたててしっかり地域に貢献したり、劇中衣装&ロケシーン写真パネル展を、ロケ実施周辺の県内各地で開催するなど、地域観光にしっかりと活用できている点が評価に繋がった。
【優秀賞③】神戸フィルムオフィス(映画「スパイの妻」)
【受賞理由】歴史的建築物の旧グッゲンハイム邸では、撮影準備の美術装飾を利用しない日にもそのまま置くことで、一般利用者にも楽しんでもらうようにしたり、旧加藤海運本社ビルは、これまでの美術装飾をそのまま置いていくことで撮影が増えるたびに装飾が増え、一般客にも喜んでもらえるという撮影と活用の継続性によるものであり、他の地域も見習うべき点である。
制作視点からは、FCがロケ場所を見つけることで作品のクオリティが上がる典型例で、セットでは出せないリアリティがあり、作品の世界観にもマッチして素晴らしかった。
また、オンラインロケ地巡りなど新しい取り組みや、配給に舞台挨拶を断られても手段を考えあきらめなかったところが素晴らしい。FCの活動に対する意地を感じたなど、高評価を得た。
【優秀賞④】富山県ロケーションオフィス(映画「大コメ騒動」)
【受賞理由】富山出身の本木監督も知らなかったロケ地を開拓して紹介したり、作品を左右するほど素晴らしい役者の演技に繋がったロケ地の発掘し、撮影を行ったことが評価に繋がった。また時代物ということで、ロケ現場の工事の延期や、草刈り、船の移動など、FCと地域、スタッフが一体となって準備を行い、成功させた点が評価された。
作品の活用に関しても、東京のアンテナショップでの監督のトークショーや、映画館の無い地域でのサテライト上映会の実施などアイディアが光っている。
私から全体の講評として述べたのは「受賞理由を通して作品の魅力が一層増したこと。」「事例をグッドプラクティスとして次回以降のJFCアウォードにエントリーしてほしい。」でした。
当日は内閣府、東北経済産業局、いわき市長らにも臨席いただき、FCがFCによるFCや地域への発信に行った祭典は大いに盛り上がりました。
ジャパン・フィルムコミッション
https://www.japanfc.org/
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?