擬似大陸浮遊

テーマ:「街を歩く」
<本文>
明洞で買った偽物のナイキのスニーカーを履く。
この街を歩くのに、偽物はちょうどいい。
ナンプラーの匂いが鼻につく。中華料理屋が並ぶ通りに出た。
大陸系の調味料や食材が売っているスーパーマーケットもある。
横浜中華街なんてモノは、本場ではない。
日本人向けに作られたモノに過ぎない。
ただ本場中華が、日本人にとってうまいかはわからない。
「欢迎光临」
「いや日本人。アイムジャパニーズ。」
相変わらず、中国語で話しやがる。この店員。
「ゴメンネゴメンネ。ナ二にスル?」
「餃子と青島の黒と緑。」
「ハイよー。」
青島ビールの黒と緑をグラスに注ぐ。
本物と偽物って、何だろう?ふと考えてしまう。
「オマチ!」
餃子をほおばる。
「美味い!」
本場かどうかわからないが、ここの餃子がうまいってことはわかる。
自分の感じたモノは確かだ。
<了>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?