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【短編小説】ただのファン

アイドル系ユーチューバー「桜井蒼の5分で簡単ストレッチでした〜!」

小さな頃からアイドルになるのが夢でした。それが、表舞台でなくても。
今は地下で活動しています。日の目を見ることは少ないです。。
ギリギリ、時代に救われて、ユーチューバーとして活動しています。

彼氏「桜井蒼ちゃんの寝起きドッキリです。(小声)」
彼氏「えーと、これが蒼ちゃんの鍵です。ふふふふぅ。(小声)」
ガチャ。
彼氏「真っ暗です。(小声)」
彼氏「これは!蒼ちゃんのパンティーです。クク。(小声)」
彼氏「すはー。いい匂い。」

寝室
彼氏「さて、それでは蒼ちゃんを起こそうと思います。(小声)」
蒼「きゃ。なになに!?」
彼氏「寝起きドッキリでーす。」
蒼「えっ!?聞いてない!聞いてない!映さないでー!」
彼氏「蒼ちゃんすっぴんでも可愛いー!」
蒼「はい、カット!」
彼氏「はい」
蒼「もっと気持ち悪い感じ出せないかなー!?視聴者飽きちゃうよ!」
彼氏「えー。やだよ。俺。結構気持ち悪感じ出したのに。。」
蒼「もういいや。とにかくアップアップ!」

数時間後
彼氏「アップしたけど、全然再生数伸びないね。。」
蒼「えー。まじかよ!もうどうすればいいの!」
彼氏「コメントもひどいこと書いてある。」
コメント”全然、すっぴんじゃないし、ガッツリ化粧してんじゃbん。”
蒼「ウルセェわ!」
蒼「どうすれば再生数稼げるの!?」
彼氏「1回事務所に相談してみれば?」
蒼「うん。。」
彼氏がスマホを置く。
ユーチューブのコメント”蒼ちゃんの大きい瞳はなんでも映す。お家の風景も”
ユーチューブのコメント”見つけたー。”
別のカメラが、蒼の部屋を映す。

事務所
蒼「もう、どうしたらいいですか?エロ系も私、おっぱいないし。。」
蒼「もうネタ切れです。。」
新人マネージャー「大丈夫です!蒼さん!僕が入ったからには大丈夫です。」
蒼「ありがとうございます。。前のマネージャーは全然相談に乗ってくれなくて。」
新人マネージャー「まずは、マネージャーは聞かないといけないですから!どんどん相談して!」
蒼「はい!」
新人マネージャー「それで、再生回数だっけ?ちょっとあまり他はやってないやつだけど。再生回数伸ばしたいなら方法があるよ。」
蒼「えっ!?どんな方法ですか?」
新人マネージャ「それは、、」

自宅
蒼「ただいまー。」
彼氏「おかえり。で、どうだった?」
蒼「うん。とりあえず、今の動画を長く続けてだって。」
彼氏「えっ!?あのストレッチのやつ?」
蒼「うん。」
彼氏「なんだよー。全然使えないじゃんかよー!」
蒼「そんなことないよ。色々相談になってくれるし。それより。」
蒼「なんか、ユーチューブで気持ち悪いコメントがあって。。」
彼氏「えっなに?」
ユーチューブのコメント”蒼ちゃんの大きい瞳はなんでも映す。お家の風景も”
ユーチューブのコメント”見つけたー。”
彼氏「気持ちわる!」
蒼「自宅、わかったってことかな?」
彼氏「えーー。そんなわけないじゃん!」
蒼「なんか、帰り道も変な人がいて。ずっと私のこと尾けてたみたいだった。」
彼氏「マジ?」
蒼「うん。」

後日・夜・帰り道
蒼「はぁはぁ。今、駅からずっと誰かに追われてます!」
蒼を黒影が迫る。
蒼「いや、怖い!助けて!」
彼氏「おーい。」
遠くから、蒼を呼ぶ彼氏。
蒼「あっ、よかった!」
黒い影が離れる。
彼氏「大丈夫だった!?」
蒼「うん!ありがとう!」
ー配信終了ー

玄関
蒼「再生回数がすごい!」
彼氏「でも危なかったじゃん!」
蒼「うん。。でも再生回数がすごいよ。」
彼氏「…」
蒼と彼氏は玄関の鍵置きに鍵を置いた。
そこには、鍵が二つあった。

別の日の配信
蒼「はい、始まりまた。」
ドンドンドン。扉を叩く音。
蒼「えっ。何!?」
ドンドンドン
蒼「怖い、なになに。」
カメラを持ち玄関に向かう。
蒼「最近、ストーカーっぽい人が。」
ドンドンドン。
蒼「ヒッ、怖い。」
しばらく時間が経つ。
蒼「行ったみたいです。」

コメント”絶対、開けないで。”
コメント”怖すぎ”
コメント”応援しています!”
コメント”ストーカーに負けないで!”

再生回数とコメントが伸びる。
蒼「ふふふ。伸びてる伸びてる。」

後日
彼氏「もうやめろよ!ストーカーをネタにするの!」
蒼「もう、いいじゃない!再生数も伸びてるし!」
彼氏「再生数ってそれしかないのかよ!死んじゃうかもしれないだろ!」
蒼「うるさいなー。配信始めるよ!」
彼氏「もう配信もやめてよ。死んじゃうよ。」
蒼「やめないよ!じゃスタート!」
ー配信中ー
蒼「はい、始まりました!葵ちゃんねる。」
蒼「今日は、彼氏も連れてきてます!どうしたの?暗い顔して!」
彼氏「…」
蒼「最近ストーカー被害で心配してくれてるのかな?嬉しい!」
彼氏に抱きつく蒼。
ドンドンドン!
蒼「ひっ!」
彼氏「えっ!」
蒼と彼氏は身構える。
彼氏「だいじょうぶ!鍵かかってるから!」
ガチャガチャ。ドアノブを激しく上下させる。
ガチャん。
彼氏「えっ」
扉が開く。
黒づくめの男が扉を開ける。
黒づくめの男「蒼ちゃんー」
彼氏「えっ」
蒼「えっえっ」
惚ける蒼と彼氏。
彼氏「お前何やってんだよ!」
一瞬惚けていた彼氏が我に返って、黒づくめの男に向かっていう。
黒づくめの男「蒼ちゃんこんな男、蒼ちゃんに相応しくないよ。」
彼氏「お前、何言ってんだよ!」
ゆっくりと黒づくめの男が彼氏に近づく。
黒づくめの男はゆっくりと、ポケットに手を入れる。
彼氏「てめー動くなよ!何出そうとしてんだ!」
黒づくめの男は彼氏の言葉を無視してポケットからナイフを取り出す!
黒づくめ「蒼ちゃん、蒼ちゃん!」
彼氏「やめろー!」
黒づくめの男が彼氏に襲い掛かろうとする。
彼氏「うぁああー。」

蒼「ドッキリ大成功!」
彼氏「えっ!?」
蒼「ドッキリです。実は、ストーカーはマネージャーです。」
黒づくめの男(マネージャー)「はい!」
彼氏「えっ!?えっ!?」
蒼「この前の寝起きドッキリの仕返しです!」
彼氏「まじかよー!もう超焦ったわ!」
蒼「めっちゃいいリアクションするじゃん!」
彼氏「えっ!?じゃあこの前のやつもそうなの?」
蒼「そうでーす!ずっとマネージャーさんにストーカー役をやってもらってました!」
彼氏「よかったー!」
蒼「はい!視聴者の方、ごめんなさい!ずっと騙してて!」
蒼「これからも、応援よろしくお願いしますー!」
ー配信終了ー
彼氏「もうめっちゃ焦ったわ!この前、何もねたないって言ってたけど」
蒼「そう!マネージャーさんに相談したら、このネタでやろうって」
マネージャー「そうです!ちょっと危険ですけど、こういうのは伸びますから。」
彼氏「もう、マジでビビった!もうやらないでよ!」
蒼「もう大丈夫だよ。やらない。やらない。」
蒼「そういえば、鍵のほう、渡してもらって大丈夫ですか?」
マネージャー「あっ、そういえばそうですね!はい」
マネージャーが蒼の借りていた鍵を渡す。
蒼「ありがとうございます」
蒼は鍵置きにおこうとしたが、鍵は鍵おきに二つあった。
マネージャーから返してもらった鍵を入れると、三つに。
蒼はマネージャーを見る。
マネージャーは彼氏と談笑している。
彼氏「もうマジで焦りましたよー」
マネージャー「ごめんなさい!蒼ちゃんのためで。」

蒼は玄関の廊下をゆっくり歩き、マネージャーに問う。
マネージャーとは少し距離をとる。

蒼「そういえば、私の家って知ってましたっけ?」
マネージャー「えっ?」
蒼「新人だから、アイドルの個人情報は知らないはずです。」
マネージャー「えっ、そんなことないですよ!今回の企画で、」
蒼「鍵が三つあったんです。」
彼氏「えっ!?」
マネージャー「…」
蒼「私と彼氏と一つずつなのに。」
彼氏はマネージャーの顔を見る。
マネージャーがにこりと笑う。
マネージャー「蒼ちゃんの大きい瞳はなんでも映す。」
蒼「えっ?」
マネージャー「蒼ちゃんのパンティーを嗅ぐようなやつは、相応しくないんですよ。蒼ちゃんの彼氏に。」
彼氏「えっ?」
マネージャーは彼氏に襲い掛かり、彼氏をめった刺しにする。
彼氏「ギャー!!やめてー!」
蒼「いやー!」
蒼は腰が抜ける。
マネージャーがゆっくりと立ち上がり蒼に向かっていう。
マネージャー「ずっとファンでした。蒼ちゃんの近くに行きたくて、マネージャーになりました。」
蒼「ヒッ」
マネージャー「覚えてる?忘れちゃった?」
蒼は玄関に向かいゆっくり這う。それを歩いて追うマネージャー。
マネージャー「大丈夫。もう僕のこと忘れないと思うよ。」
<了>

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