Valkan Raven #3-6

 3-6

 魅姫は、ジイジイと音を立てるランタンを掲げながら、自身を呆然と眺めてくる探し人を不安な表情で見ている。
 黒ずくめの殺戮魔は狂気が溢れる作り上げた笑顔で新参者にリボルバーを向けながら、全身を舐めるように観察する。黒いワンピースでも存在感を露わにしている豊満な胸には興味を示さず、眉をへの字にして怯えている顔を見て気味の悪い笑みを浮かべると、大きな焦茶色の瞳に涙を浮かべている少女に、再び口癖のような質問をした。
「You are number?」
「え?あ、世鷹君……」
「魅姫さん。何で此処に……?」
「0000. 」
 照明器具を持つ左手に添えられた右手の甲の4つの”0”が淡い光に照らされている。少年が加えた鉄パイプの一撃を軽々かわした0294は、数字で呼んだ少女に向けている殺戮兵器の撃鉄を引き、引き金に指を掛けた。
「0000.Let’s turn off the light.(明かりを消そう)」
「Go fuck yourself.You idiot.(お前が消え失せろ。阿呆)」
 色気のある高めの声が暗闇から聞こえると、キツい煙草の臭いが鼻を刺激する。魅姫の背後で赤い点が小さな鬼火のように揺れ動くと、
 甲高い銃声と共に、0294の腕が跳ね上がった。

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