見出し画像

個人出版の新しいモデル(紙×電子)

このモデルについて何か質問があったら遠慮なく質問を送ってください。より多くの人に自由に出版してほしいと願っています。Mail:nishikawa@american-presidents.info

 専門性の高い書籍やニッチな分野の書籍などは需要の絶対数が少ないせいで商業出版が難しくなっています。出版社に企画を送っても見てもらうことさえ容易ではありません。そうなると残された道は個人出版です。個人出版とはすなわち自費出版のことです。ただ出版社の手掛ける自費出版と区別して個人出版と呼んでいます。

 個人出版で問題となるのは主に二つの点です。

①製作費を自腹で捻出しなければならない

②販路を独自に確保しなければならない

 この二つの点をうまく解決できなければ個人出版はうまくいきません。解決のためにそれなりの工夫が必要になりますが、それでも作者が高い自由度を得られるという大きな利点があります。また作者が全工程を管理するので他者の都合に振り回されることはありません。

 ではどのように二つの問題点を解決すればよいのか。まず①製作費を自腹で捻出しなければならないという問題点ですが、やはり初期投資はどうしても必要になります。したがって、重要なのは初期投資をいかに効率的に回収するかです。それは②販路を独自に確保しなければならないという問題点にも関わってきます。

 試行錯誤した結果、現時点で最適解となっているのが、①noteで連載して②BOOTHで受注販売、③POD出版で一般販売する方式です。販路を複数にすることでより多くの読者を確保するという考え方に基づいています。①+②、①+③など状況によって組み合わせを変えるとよいでしょう。

 BOOTHは「創作物の総合マーケット」です。書籍の原稿ができたらまずBOOTHに登録して注文を集めます。以下は私が実際に販売のために設けたページです。

 注文が集まったら印刷所でまとめて印刷して販売します。先に注文を集めるのはまとめて印刷すると1冊あたりの印刷費が安くなり、1冊あたりの利益が大きくなるからです。

 刷り上がった本が印刷所から届いたらBOOTH経由で決済と発送をおこないます。BOOTHは決済手数料が非常に安く、発送の管理も簡単です。発送は郵便局が提供しているクリックポストが便利です。安価なうえに追跡番号もつくからです。

 ここで重要なのが注文を集めるにはどうすればよいかということです。勝手に注文が舞い込むことはまずありません。そこでツイッター広告を使います。

ドイル宣伝用

 このようなPOPを添えて宣伝ツイートします。書籍内容のサンプルPDFをnoteやBOOTHでダウンロードできるようにするのも効果的です。さらに宣伝ツイートをツイッター広告に課金して拡散します。ツイッター広告は潜在的な購買層に訴求できるようにターゲッティングをしっかり設定したほうが効果的です。ツイッター広告は個人でも気軽にできるのがメリットです。 

 広告費にどれくらい投入すべきかですが、売上の15%以下に収めるべきだと思います。すなわち、2,000円の本を100冊売る場合、売上は20万円なので広告費は3万円までに抑えるとよいでしょう。

 個人出版となると、どうしても認知度が低くなるのでそれなりの数を売る場合は広告が必須になると思います。それなりの数が売れると製作費に余裕が出てクオリティーの向上に使えます。それは読者の満足度につながります。

 ただBOOTH経由の販売にも問題点があります。まず購入者が非BOOTHユーザーであった場合、新規登録をしてもらう必要があります。また一度注文を集めると、また大量に注文を集めることが難しくなり、たくさんの冊数を刷って1冊当たりの印刷費を抑えることができなくなります。

 そこでBOOTHによる先行販売が完了したら、POD出版を利用してAmazonで一般販売します。POD出版とは、注文を受けるたびに1冊ずつ印刷して発送する形式です。したがって、1冊あたりの利益はBOOTHによる先行販売よりも減ります。その代わり、受注や印刷、決済、発送などはすべてAmazonが代行してくれます。作者はPDFデータをアップロードするだけです。

 ほかにもAmazonで一般販売する利点があります。細く長く売れることです。またAmazonに内容紹介を掲載すると検索でヒットする確率が非常に高くなります。潜在的な読者に検索で見つけて購入してもらいやすくなります。

 ただ作者個人はAmazonと直接取引できないので仲介するサービスを使う必要があります。私はNextPublishingというサービスを使っています。基本利用料はゼロです。各種オプションは有料ですが、オプションをいっさい使わなくても紙書籍をAmazonで販売できます。POD出版に関する詳細は以下にまとめてあります。

 こうした新しい個人出版モデルを採用すれば、300頁~400頁の分厚い書籍でも4,000円~5,000円程度の価格設定で100冊程度売れれば、製作費を回収できます。人数は少なくてもその内容を真摯に求めている読者がいることを前提としたモデルです。

 従来の自費出版と比べてリスクが低減されるので、あまりに需要が見込めなかったために出版できなかった書籍を出版できます。プラットフォームさえうまく利用すれば、作者は読者に書籍を直接届けられる時代です。それは読者に新しい読書経験をもたらすでしょう。紙の本はまだまだ必要とされています。

 さらに紙に加えてKindleを組み合わせることで販促効果が見込めます。Kindleを利用すれば紙×電子の併売ができます。しかもUnlimited対象作品にしておくと、すでに加入している人には追加料金なしで読んでもらえますし、未加入の人はキャンペーンで1ヶ月無料で読んでもらえます。つまり、気軽に読んでもらえる機会が増えるだけではなく、著者の手元にもお金が落ちます。

無題1

※POD書籍を作成するのに便利なテンプレートです。うまく印刷できるように設定しています。自由にお使いください。ただし横書き用なので縦書きは別の設定が必要です。


サポートありがとうございます!サポートはさらなる内容の充実によって読者に100パーセント還元されます。