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ミュージカル『ハミルトン』歌詞解説4―The Story Of Tonight 和訳


はじめに  

ミュージカル『ハミルトン』は、ロン・チャーナウ著『ハミルトン伝』(邦訳:日経BP社)をもとにした作品である。  

物語の舞台は18世紀後半から19世紀初頭のアメリカ。恵まれぬ境遇に生まれたアレグザンダー・ハミルトンは、移民としてアメリカに渡り、激動の時代の中を駆け抜ける。アメリカをアメリカたらしめる精神がミュージカル『ハミルトン』には宿っている。  

劇中では、友情、愛情、嫉妬、憎悪など様々な人間ドラマが展開される。ここでは、そうしたドラマをより深く理解できるように、当時の時代背景や人間関係を詳しく解説する。  

 ”The Story Of Tonight" 

 ※歌詞の和訳はわかりやすく意訳。

※歌詞の原文は『Hamilton the Revolution』に準拠。『Hamilton the Revolution』は歌詞だけではなく、オールカラーで劇中の写真が掲載されている。英語が読めない人でも眺めているだけで嬉しいファン・ブック。

解説:ミランダによる注釈

私はこの歌詞を16歳の時に書いた。 4人の友達と私はドゥーワップ(1950 年代から 60 年代前半に米国で流行したリズムアンドブルースのグループコーラス)を結成していた。

HAMILTON: 

I may not live to see our glory! 

「栄光をつかまずに生きていられようか」

LAURENS, MULLIGAN, & LAFAYETTE: 

I may not live to see our glory!

「栄光をつかまずに生きていられようか」

HAMILTON: 

But I will gladly join the fight!

「では喜んで戦いに参加しよう」

LAURENS, MULLIGAN, & LAFAYETTE: 

But I will gladly join the fight!

「では喜んで戦いに参加しよう」

HAMILTON: 

And when our children tell our story... 

「そして、子供達が我々の話をする時に」

解説:建国の父祖達には強烈な歴史意識があった。それは何か。自分達の功業が後世まで残るという意識である。そのおかげで現代の我々は建国の父祖達が残した文書群を今でも見ることができる。もちろん逆に後世に伝えたくないと彼らが判断した文書は抹消されているかもしれないが・・・。

LAURENS, MULLIGAN, & LAFAYETTE: 

And when our children tell our story...

「そして、子供達が我々の話をする時に」

HAMILTON: 

They’ll tell the story of tonight.

「今夜の話をするだろう」

MULLIGAN: 

Let’s have another round tonight.

「さあ今夜のお楽しみはこれからだ」

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