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冷えた飲み物、暑い夏

人がたくさんいるカフェでこの文章を書いている。

外は驚くほどの暑さで立っているだけで蒸し焼きになってしまいそうだ。涼しむために室内へと逃げるのも当然のことだろう。

丁度よく冷えたカフェオレは夏の暑さとコントラストになって非常に美味しい。大袈裟かもしれないけど「生きてて良かった」なんて感じる。

暑いのは苦手だけれど“暑い日に飲む冷えた飲み物”は至福以外の何者でもない。なぜか分からないけど“冬に飲む暖かい飲み物”より美味しいと感じる。

横で友人と楽しそうに談笑している学生も皆に聞こえるような声量で「マジで美味え!」と感動している。素晴らしい光景だ。今は夏休み真っ盛り。どうか後悔だけはしないように全力で楽しんで欲しいものだ。

とは言っても、長期間の休みを120%満喫するのは中々難しい。どうしたって後悔は残るだろう。その後悔すら愛おしいと思う私からしたら“学生であること”自体が羨ましいものだ。とにかく刹那を楽しめよ学生くん。


違う席では仲良さそうなカップルが一緒に音楽を聴いている。分離型のイヤホンの片方は彼氏、もう片方を彼女が付けている。

音楽じゃなくて一緒に動画を見ているのかもしれない。どっちにしたって素敵な光景だ。楽しいこと・美味しいもの・お互いの感情。これらを他人と共有することこそが「幸せ」なんだと思う。

とすればあのカップルは今とてつもなく幸せなのではないだろうか。2つに別れたイヤホンで一つの動画を一生懸命見ている。ちょっとハニカミながら。動画だけじゃなく“楽しい”という感情も2人は共有しているんだ。どうか末永くお幸せにね。


ず〜っとパソコンと睨めっこしているおじさまもいる。画面が大きいから図らずも自分にまで画面が見えてしまう。

写真を選んで加工しているようだ。どうも家族写真らしい。あのおじさまがどんな人柄で、どんな人生を歩んできたのかなんて全く分からない。でも「娘さんが大好きなパパ」という情報だけは確実に仕入れることができた。

あの人がもしもこっちを向いたら「可愛い娘さんですね。育児に仕事に大変だろうけど頑張って!」と心の中で言ってあげることを決めた。出来るだけ優しい声で。


たくさんの人がいる。色んな人生がある。狭いカフェの中にだって、すごく楽しい気持ちの人もいれば、人生で一番悲しい気持ちを抱いている人だっているかもしれない。

…だからどうしたって話なんだけど。

最近はSNSや情報の供給過多で疲れてしまうことが多い。知りたくない情報まで頭にインプットされるのはただのありがた迷惑だ。ネットの中に自分を置きすぎると“何かヤバイ感じ”がまとわりついて中々離れない。

だからこうして外の世界に目を傾けると安心する。「自分が思ったよりも世の中って壊れてないんだ。」とホッとする。


カフェにお茶を飲みにきただけでこんな大層なことを考えるなんて厨二臭い。でもこんな休日があっても良いじゃないか。ね、そうでしょ?

僕が色んな人を観察しているように、自分も誰かに観察されている。自分のことを見た人が「あの人なんか楽しそうだな」って思ってもらえる人間になりたいものだ。

…あっ、せっかく冷えてたカフェオレがちょっとぬるくなってしまった。まだ少しだけ冷んやりしているうちに一気飲みして家に帰ろう。

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