見出し画像

推しは偶像でしかないが、尊敬の対象でもある

私は好きと推しの境界線がはっきりしている。この芸能人好きなんだよねという好きは、お金をかけるほどではないけどお茶の間で見かけたら、チャンネルを変える手を止めてしまう。この対象に私の中で入っているのが、マヂカルラブリー、トムブラウン、空気階段、ランジャタイ、インディアンスなどの芸人さんである。偶像として崇拝するほどではないが、ネタは突飛で彼らにしかできない世界観が大好きである。この芸能人推しているという推しは、お金をかけるなんて当たり前、何ならお金出すからいいおうちに住み、いいもの食べてくれという養育的視点を持ってしまっている。この対象に入るのが、SixTONES、日向坂46、Creepy Nutsの3組である。どのグループも有名であると思うが、推しになったきっかけは全く違う。今回はCreepyNutsに焦点を当てたい。推しは自分に足りないものを持っていることや自分にはできないと思うことができるからこそ、偶像としてより崇拝したいと思える能力を持っているのだと思う。


Creepy Nutsは1DJ1MCユニットである。彼らを知ったきっかけはラジオである。去年の春、改変期に伴い、新しいラジオ聞きたいなとたまたま聞いたのをきっかけに、耳から入って来る、心地の良い軽快なトークと全く聞いてこなかった日本語ラップというジャンルへの圧倒的熱量で話す彼らにただならぬ興味を持った。彼らの日本語ラップ、HIP-HOPへの熱量は半端じゃない。私は愛と情熱でしか人を動かせないと思う。ただ好きだからこそ苦しくなることもある熱量は、私の持っていたそれまでの印象を変えた。彼らの音楽に出会うまでは、日本語ラップ、HIP-HOPに不良、輩、治安が悪そうの3拍子の印象を未だに持っていたし、ラップの軽快な音は好きだが、何を言っているか1回で理解できない感じに勝手に苦手意識を持ってしまっていた。いわゆる食わず嫌いである。しかし彼らの音楽は違っていた。松永さんの作る、軽快なリズムと耳なじみの良い音楽、でもどこかJ-POPに近い聞きなれた感と、なんとなく聞いてこなかった感。Rさんの聞きやすくわかりやすい言葉遊びが、初心者である私にも楽しく聞くことができたのだ。例えば、「紙様」という歌詞の中に、お札に書かれている、野口英世、(樋口)一葉、(福沢)諭吉というワードがさらっと出てくるところがあるが、初心者でもわかる言葉遊びの楽しさと何回も聞くことで得られる、まだここにもあったのかという仕掛けに心躍らされていた。また彼らの曲は、ただのラップビートだけでなく、バラード感の強いスローテンポな曲から、ラップを見せつけるいわゆる“かます”曲までさまざまな表情を見せることができる。例えば俺たちはすごいんだぞと見せつける曲、人間の弱さを表す曲、元気をもらえる曲などバリエーションが豊かである。好きな曲について語ればきりがないのだが、毎日聞いているこの曲だけ紹介させてほしい。


「サントラ」

サントラは俳優菅田将暉を客演に招いた曲であり、様々な仕事のなかの苦悩や葛藤、でもそこから見いだされる自分たちがどうありたいか示している曲であると考えている。自分は生きている、自分らしく生きていくという決意表明のような気分になれるこのフレーズでこの文章を締めたい。


声を張り上げ、肩を震わせ、目を見開いて、赤い血をたぎらせて、生々しく書き上げていく自分だけの生きざまを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?