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世界に充満する優しい空気

もしあなたが「人様の言うような幸せは掴めなかった」とか「世の人が言うようなこととは違うようにしか生きられない自分がいる」と思うとき、今日読んだ聖書の箇所は、福音、良い知らせ、としてあなたの心に響き渡るでしょう。その響きは、神はあなたと共におり、あなたも神と共にいる生活を新しく形成できるという、希望の音です。その希望の音は、銀貨が見つかる時に、かすかに聞こえる異音、です。

8 「あるいは、ドラクメ銀貨を十枚持っている女がいて、その一枚を無くしたとすれば、ともし火をつけ、家を掃き、見つけるまで念を入れて捜さないだろうか。9 そして、見つけたら、友達や近所の女たちを呼び集めて、『無くした銀貨を見つけましたから、一緒に喜んでください』と言うであろう。10 言っておくが、このように、一人の罪人が悔い改めれば、神の天使たちの間に喜びがある。」

ルカによる福音書15章8−10節 聖書 新共同訳

 エリヤという名の預言者が旧約聖書に出てきます。エリヤはとことんいじめられ、逃亡生活をします。「もうこれで終わりにしたい」と彼が身体を横たえた時、「起きて食べなさいと」言われ、エリヤは山の中へ誘われます。その山中で、エリヤは地震に遭い、炎に包まれ、絶体絶命の状況に直面します。エリヤはその恐ろしい出来事の中で、これまで人々が伝えてきたように「神は炎の中にいる」のではと、思うのですが、どこにも神を見出すことはできませんでした。エリヤが、神の声を聞いたのは、炎がおさまり、静けさが訪れた時でした。そして、その声は「静かにささやく声」でした。

7 主の御使いはもう一度戻って来てエリヤに触れ、「起きて食べよ。この旅は長く、あなたには耐え難いからだ」と言った。8 エリヤは起きて食べ、飲んだ。その食べ物に力づけられた彼は、四十日四十夜歩き続け、ついに神の山ホレブに着いた。9 エリヤはそこにあった洞穴に入り、夜を過ごした。見よ、そのとき、主の言葉があった。「エリヤよ、ここで何をしているのか。」10 エリヤは答えた。「わたしは万軍の神、主に情熱を傾けて仕えてきました。ところが、イスラエルの人々はあなたとの契約を捨て、祭壇を破壊し、預言者たちを剣にかけて殺したのです。わたし一人だけが残り、彼らはこのわたしの命をも奪おうとねらっています。」11 主は、「そこを出て、山の中で主の前に立ちなさい」と言われた。見よ、そのとき主が通り過ぎて行かれた。主の御前には非常に激しい風が起こり、山を/裂き、岩を砕いた。しかし、風の中に主はおられなかった。風の後に地震が起こった。しかし、地震の中にも主はおられなかった。12 地震の後に火が起こった。しかし、火の中にも主はおられなかった。火の後に、静かにささやく声が聞こえた。

列王記上19章7−12節 聖書 新共同訳

 静かにささやく声は、これ以上はもう無理と、ぎりぎりに立たされた時に響きます。しかも、それが神だ、と思っているのとは違う形、つまり音で、知らされるのです。その静かにささやく声は、銀貨を探している女が箒で家の中を掃いている時にかすかに聞く音と同じです。
さあ、かすかに響くその音を聞くことをめぐって、聖書は私たちに何を語ろうとしているでしょうか。

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