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世界バンタム級王座統一戦 ※試合後追記あり

サッカー日本代表がW杯でジャイアントキリング連発で世界を驚かしたり、大谷翔平が規格外の二刀流パフォーマンス米メジャーを驚かせたり、他にはテニス界の大坂なおみ、バスケ界の八村塁など、それぞれのスポーツにおいて日本人の躍進が多く見られる昨今。
ボクシング界においては世界一という評価が妥当とされる日本人選手が現在進行形で活躍している。
三階級制覇王者そして現世界バンタム級3団体統一王者の井上尚弥だ。

圧倒的なパフォーマンスでこれまで様々な記録を打ち立て、日本ボクシング史史上最高傑作と謳われ、日本だけでなく世界に衝撃を与え続けてきた井上が、本日2022年12月13日、またさらにボクシングの歴史に前代未聞の記録を刻もうとしている。

今回の記事ではその歴史的な試合について、そしてその興行について書かせていただいたが、私がどうこう言える次元ではなく、ファンとしてどれほど楽しみにしているか、そしてこの気持ちと興奮を共有できれば嬉しい。

井上尚弥の凄さ 日本人は理解が浅い

ボクシングに興味がない方でも井上尚弥という名前は聞いたことがあり、すごいアスリートであることの認識はあると思うが、その凄さ、偉大さの認識が浅いと感じる。

サッカーでは今回のワールドカップでベスト16。野球では大谷翔平がメジャーにてホームラン争い。勿論すごいことで日本人として誇れることであるが、「サッカーという分野で世界で1番か、野球で世界1の選手か。」このような問いにはお世辞にもYESと答える方はほぼいないだろう。

しかしボクシングでは「井上尚弥がボクシング界で世界1か。」という問いには自信を持ってイエスと答える方が多い。これは日本人に限らず外国の方でもそう答える方がいるだろう。
なぜそんなことが言えるのか。
それは PFPによって示されているからだ。
PFPとは、ボクシングや総合格闘技、キックボクシングなどの格闘技において全階級で体重差のハンデがない場合、誰が最強であるかを指す称号であり、権威ある米専門誌「ザ・リング」の初代編集長ナット・フライシャーによって、1950年代初期に造られた用語である。 このPFPランキング1位に井上は選出経験があるのだ。
サッカーで言うならば、バロンドール最優秀選手賞だ。メッシやクリスティアーノ・ロナウドが選出されている賞であり、これに日本人が選ばれているということだ。選ばれているということだ。

サッカーで例えると凄さを理解されやすいので例として挙げたが、その業界で世界一の選手が日本にいるということを認識されてほしい限りだ。

井上尚弥 主要4団体統一

過去に8人しか存在しない4団体統一王者だが、この人数を見てわかるように強いだけではできることではなく、タイミングやファイトマネー、団体や選手、陣営の意向など様々なことの折り合いがついた先に実現される統一戦。これを主要4団体全てでやってしまうことがどれだけすごいか。

この偉業に今回井上尚弥は挑む訳だが、今回の挑戦では多くの史上初の記録がかかっている。
これまでの4団体統一では、一気に2つ以上のベルトを奪った試合、世界ランカー同士の王座決定戦で勝った試合、判定勝ちも含まれる。
そんな中、井上は“4人の王者から1本ずつ奪取“、”4本全てKO奪取“という偉業に期待がされている。

前日計量 計量オーバー

この項目は余談であるが、昨日の計量にて井上尚弥史上初のことが起こってしまっていた。
30gオーバーで再計量にてパス。一瞬焦る場面であったが、このことが試合に影響するとは到底思えず、し前日計量から試合終了まで焦る場面は前日計量時ということになるのが予想される。
ただこの井上の軽量オーバーは体重計によるものだろう。50g単位でしか出ないデジタルの体重計に驚いたわけだが、井上本人も裏側密着の動画で驚いていた。

ボクシング世界戦一般家庭にあるような体重計での測定は雰囲気もブチ壊しでありナンセンスだであった。

歴史的瞬間を目にしよう

井上尚弥が挑む今回の偉業の偉大さを少しでも伝えられた記事となっていることを願っている私だが、あと数時間後には歴史的瞬間が目にできると思うとワクワクが止まらないところで、今回の記事は締めさせていただきます。

試合が終わって

本当に強い。
予想はしていたがここまでとは。

ただの試合ではないことを忘れてはいけない

私は知人数名と観戦していたのだが、その中で1人が放ったある一言が引っかかり思わずツッコミを入れてしまった事をここに記したい。

9Rほど経過して、「ディフェンスに徹すれば井上尚弥でも倒せないものなんですね」と知人。
これに対し、「相手も世界王者ですよ」と私。

我々に、〝相手も世界王者であることを忘れさせてしまうほど〟、〝この試合が世界タイトル統一戦であることを忘れさせてしまうほど〟井上尚弥が強かったことをこのやり取りが物語っていると感じた訳だ。

井上尚弥の凄み

攻撃の多彩さ、威力、ディフェンスの巧さ、フットワーク、全てが芸術的であったが、私が最も目をひいたのは井上の放つ殺気のようなものであった。
あそこまで顔を突き出され、ノーガードにされていても、手を出したならば自分の攻撃は当たらずカウンターを合わされてしまうという感覚だったはず。
それほどまでに井上の放つ殺気がバトラーに手を出させなくしていたと私は見ていて思った。

バトラーの戦い方に関しては批判があるみたいだが、バトラー本人としては「対峙しても同じことが言えるのか」という感じだろう。

ただ、勝てば4団体統一という試合であったのだからこそ一か八か当てれば勝てるというハイリスクハイリターンな戦い方の選択肢もあって良かったのではないかという意見も分からなくはなく、ハッキリ言って試合として面白かったかというと一方的すぎるが故にそうではなかった。

一方的すぎて面白くないという感想を持たれるからこそ井上は挑発したと考えられ、会見でも挑発の真意を答えていたが、ガードしか頭にない相手をしっかりと倒し切るところには脱帽であり、私の予想を上回り興奮したのも事実である。

「見ている人の予想を上回る勝ち方をしたい」
常に井上が口にしている言葉であり、前回は苦戦するのではないかと言われていたドネアを2RKO、そして今回は7Rあたりから判定決着の雰囲気があった中でキッチリと倒し切る。
「必ず勝つ」などのハードルを遥かに超える発言を有言実行していく姿にはカッコ良さしか感じない。

今後の井上尚弥に期待することとは

期待するという表現はおこがましすぎる程の偉人である井上。見せて頂きたいという表現でも丁寧さが足りないのではと感じるほどのリスペクトを井上に持っていることを実感した今回だったが、今後はやはりスーパー•バンタム級への殴り込みだろう。

バンタム級でもそこまで体が大きいというわけではない井上が、階級を上げることでどのような変化が生まれるのか。

そして、現在のスーパー•バンタム級は2団体統一王者が2人。ムロジョンとフルトン。
この2人との対戦に期待が寄せられているわけだが、井上を含めたこの3者ともにプロ戦績無敗。無敗の選手に土が付く瞬間、必ずどちらかが堕ちるという試合はどんなカードであれワクワクするのが人間の性だろう。
井上はロドリゲスとの無敗対決を圧勝した過去があるが、この2人とはどうなるのか。

個人的にはフルトンとみてみたいが、井上尚弥という選手が見られる時代に生きていることにありがたみを感じながら井上尚弥の試合をまた見たい。

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