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【連載】大山峻護のポジティブ対談 第3回 井上裕之さん

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大山峻護のポジティブ対談
~コロナ禍を乗り越える為のメッセージ〜
第3回 井上裕之さん


『自分が変われば、すべてが変わる。
成長こそ人生の醍醐味』

この対談は元総合格闘家で『ビジネスエリートがやっているファイトネス』の著者・大山峻護が各界で元気に輝きを放ち活躍しているこれはと思う人達をゲストに迎え、コロナ禍の今だからこそ必要なポジティブメソッドをみなさんにお届けするもの。第3回は国内外で注目を集める歯科医師でありながら、著書累計130万部のベストセラー作家であり、成功哲学の講演家としても活躍する井上裕之さんです。プロセスを大事にし、不安な今をチャンスととらえ、人生を変えるような大きな波を起こすための準備に充てる……。そんなお話です。


■不安やプレッシャーを感じるときはプロセスに注目

大山峻護(以下大山) この連載はいろんな方にコロナ禍の過ごし方のようなものをお聞きしているのですが、井上(裕之)先生は今のコロナ禍をどう感じて過ごされましたか?

井上裕之(以下井上) 新型コロナウイルスが流行し始めた4月はウイルスそのものがどういうモノかわからなかったので不安になっていました。また、緊急事態宣言が出て、世の中自粛ムード一色だったので治療のキャンセルもずいぶん出ました。私がクリニックを開業して26年になりますが、最もキャンセルが多かったんじゃないかと思います。
ただそのような中で、周りに煽られて不安や恐怖を持ってしまうというよりは、情報を収集し、状況を分析して、自分たちのすべきことは何なのか?ということを明確にすることが大切だと思っていました。

大山 ネガティブな感情に飲まれてしまう人と、先生みたいに積極的に情報を取りにいってポジティブに変換しようとする人と行動は分かれますよね。

井上 情報に対して半歩先しか、モノを見ていくことができないという人は、コロナという問題にだけ目を向けてしまっているのではないでしょうか。そんなときはプロセスに注目するのがよいと考えています。

大山 プロセスですか?

井上 はい、プロセスです。僕は、人生はプロセス管理だと思っていて、プロセスにしたがって淡々とやり続けるということが何事も大事だと考えています。
それはどういうことかというと、物事には「達成すべき」ミッションや目的があって、そこには「どうなりたいかという」ビジョンがあり、それらに対して「どうやって行くか?」というプロセスがあります。

私は歯科医師ですが、手術でたとえて言えば、理想の手術を成し遂げていくにはどうしたらいいかというのをプロセスとして考えています。
インプラントの手術で多いときは2日間に24症例(一般的には1日2~3症例)をオールナイトで行ったこともあります。そんな状況下で手術の時間がずれるといこうことは許されません。
その許されない状況を想定通りにやるというのがプロセスという取り組みになります。

大山 かなりのプレッシャーですね。

井上 そうかもしれません。ただ、この時に大事なのは感情に左右されないことです。
手術を感情でしているのではなく、プロセスとして淡々としています。そこに感情が入ると、感情は楽しいことは時間を短く、辛いことは時間を長くしたり、自分の状態を左右するので、たくさんの手術を寝ずにやる場合などは特に感情を排除したプロセスとして行うことが求められます。そうすることで僕の中でムダなエネルギーを放出しない習慣が出来上がっているのだと思います。

■物事がうまくいかないときはプロセスを中断する

大山 やるべきこと、プロセスに集中していくと、感情の入り込む余地がなくなっていくということですかね。

井上 そうです。感情を入れずプロセスに集中すると同時に自分を俯瞰することも大切です。これは常に自分の今の状態を映画のスクリーンに映し出した状態をイメージしたものです。

大山 俯瞰って、物事を客観的に認知するメタ認知みたいなことですよね。一流の俳優さんや芸人さん、アスリートもそうですけど、やりながら自分を俯瞰しているということをインタビューなどで聞きますが、まさにこれですよね。

多くの人が完全に情報に左右されて、動けなくなってしまっているという中で、プロセスに集中しながらも俯瞰して自分を客観視していくというのが、冷静に前に進むために必要だと。

井上 そうです。そこで自分の中で俯瞰ができなくなって、上手くいかないというときはプロセスを中断します。
その場所から一度離れて、他の作業をすることで自分の頭を切り替えたり、エネルギーの流れを変えたりしてから、もう一度その中に入っていく
そうすることで泥沼の中にハマっていくのを避けることができます。
時代や状況の波、流れに乗るということもすごく大事ですが、そこから少し離れるというのも大事なことです。

大山 格闘技の選手でも強い選手というのは試合中に流れを変えることができます。(自分の)勘にその場で対応できるというか……。
僕なんかは真っ直ぐすぎてしまって「自分の決めてきた作戦を貫かなきゃいけない」と決めつけていたところがあって上手くいかなかった分、流れを変える、中断するというのはすごく面白いなと思いますね。

流れの話でいうと、これは『ファイトネス』の本にも書かせてもらったロンドンオリンピック卓球女子団体の銀メダリストの平野早矢香さんが言っていたことなのですが、平野さんは「流れというのは時間帯だ」と仰っていて、自分の流れが来たときは一気にラッシュする、でも自分の流れじゃないときは徹底的に待つらしいんです。
その発想が僕にはなかったのですごく新鮮だったのを覚えています。

井上 流れというのは自分のエネルギーが生み出す波だと僕は思っていて、自分のエネルギーの状態が悪い時に行動すると状況を悪くしてしまいます。
ですから少し体調が悪いと感じ、気持ちが乗らないなといったときは「ぼちぼち」やるようにしています。この「ぼちぼち」という感覚は次の波に乗るうえでとても大切な考えです。

ただ、気をつけたいのは「自分状態が悪い時に何もやらない」ではない、という点です。自分の状態が悪い時に何もやらないのは「しない習慣」をつけてしまいます。そして、「やめてしまう」という選択を自分のなかにつくってしまいます。すると人は、続けることをしようとしなくなります。だから「ぼちぼちやる」ということも意外に価値がある行動なんです。

■理想と現実のギャップを埋めるのが人生の醍醐味

大山 僕が前に先生に伺った話で強烈に印象に残っているのが、先生は「自己管理ができていない人の言葉は信じない」ということなんですが、先生は本当に自己管理が徹底しているというか、スゴイですよね(笑) 
57歳にして今でも肉体を進化させていこう、成長していこうとしているというか? 
漠然というのが全くないですものね。

井上 最初にも言いましたが、僕はミッションというのがやっぱり大切だと思います。ミッションというのは価値や目的、それと同じぐらい大事なのがビジョン、理想です。
そのミッションやビジョンと今の自分とのギャップを埋めるという楽しさが人生の醍醐味だと思っています。

そのビジョンをより高めていくためには、実は時間管理が重要です。ただ、みなさんは時間管理と聞くと、仕事の時間管理ばかり考えてしまうんです。でも、仕事の時間管理を考え選択と集中するほど、人の価値観が固まってしまい、より視野の狭い人間になってしまいます。もちろん生産性を高めるために仕事の管理はとても大切なものです。
ただ、それよりも重要なのは、これまで4時間かかっていた仕事のやり方を工夫して1時間で仕事が済んだとすると、そのできた3時間の余白に何をするかなんです。

大山 何をすればいいんでしょう?

井上 その3時間でやるべきことは、自分の今まで取り組まなかったことや、興味関心がなかったことをやる。そこに時間を費やすことで、人間の思考が柔軟になっていき、新しいものをどんどん取り入れていけます。そうすると、未来の中に自分の可能性が新たに見えてきます。
僕にとってそれが大山さんとのボクシングのトレーニングであったり、体づくりのトレーニングであったりするわけです。自分と違った世界観を持ちそれを実体験してきた大山さんとボクシングを通して、モノに対する考え方、見方、大山さん普段経験していること、感じていることを共有する。これが私の人生の可能性を大きく広げてくれるんです。

大山 なるほど、先生が年を重ねるたびに進化しているところはそこなんですね。

井上 あと「あせらない」ことも大事だと思います。もっと上手になるためにあせらない。僕は「人生は終わるまで楽しめなくてはいけない」と思っているので、少しづつ進化してもよいと考えています。誰かと競争しているわけではないので、人生を楽しんで進化させていきたいと思っています。

大山 そう言われてみると先生はすべてを楽しんでいますよね。

井上 ボクシングも「左のパンチを出すときにわきを締めるとか、手首の角度を変えるとか、肩を回すとか」、一つひとつ大山さんに言われたことを思い出しながら、丁寧に自分の中で補正して癖をつけていって、少しづつ楽しみながら成長していけばいいかと思っています。

■会うべきは人は「自分を成長させてくれる人」

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大山 少しでも成長する自分を感じるところが楽しかったりするんでしょうか?

井上 そうですね。僕は誰と会いたいかというと、(自分を)成長させてくれる人と会いたいと思っています。それは、成長が自分の人生を作っていく大切なものだと考えているからです。

大山 こういう視点で生きていくと人生って変わってきますよねー。

井上 成長という視点で見ていくと、この人の、この先生の、ココが嫌いという評判がたとえあったとしても、まったく気にならなくなってきます。
僕は成長したいだけなので、みんながその人をどう見ているかなどには興味がありません。その人の卓越している才能や魅力に触れ成長がしたいというだけなんです。

もっと言うと、その人が何か問題であると周りが見ているのならば「その問題がその人の素晴らしさ、魅力を作っているかもしれない」。そう思うとその人を暖かく見ることができますし、自ずといいお付き合いになっていきます。

大山 すごいですね。

井上 人を不快にさせる人は、「どこに行っても嫌だな、癖のある人だな」と思われているわけですから、逆にやさしくしてあげるといいんです。
「辛いんだろうな、生きづらいんだろうな」と思っていることを聞いてあげようというぐらいの気持ちで接するように心がけています。

大山 その辺が先生の新刊『本物の気づかい』にもある「気づかい」の大切さですよね。

井上 よく「あの人は成功しているから優しい」なんてことを耳にしますが、実は「優しくて気づかいができるから成功した」なんです。でも多くの人はこの逆を理解できないんです。

大山 それだけ気づかいの重要性に気づいてない人たちが多いんですね。

井上 日本って平和な国ですからバランスが多少悪くたって歩いてこられたんです。でも、コロナ禍のような困難な時は視野を広く持ち、バランスが取れていないといけないと思います。
陰陽の関係、正負の法則、プラスとマイナスの考え方、全てが取り入れられる、物事を冷静に見られる自分でなければ困難な時代を生きていけないと思います。

■自分が変わればすべてが変わる

大山 これは俯瞰することにもつながるのかもしれませんが、周りの目を気にしすぎたり、周りに気を使いすぎたりして、逆に動けなくなる、自分のやるべきことができなくなるという人もいると思うんです。そんな人はどうしたらいいでしょう?

井上 それは何か困難に直面した時に、自問をしてみるといいかもしれません。
例えば会社の上司に嫌なことを言われたとすると、「なぜあの人はそんなことを言うんだろう」と考えるわけです。
そこで「家庭で何かあったのかな?」とか「さらに上の上司のから何か言われたのだろうか」というふうに見方を変えることで、「そのような人たちに今の自分は何ができるのか?」と考えられ、積極的な対応ができるようになります。

何かうまくいかないことを、環境のせいにするのではなく、自分自身の捉え方が変わったときに周りの人も環境もすべてが変わるということです。
そのことに気づけたときに、実は周りの目というものが気にならなくなります。もっと言えば、周りの人全員が自分の素晴らしいパートナーとも言えます。
自分との価値観の違う人、不快になる人などは、受け入れなくてもいいんです。受け止めればいい。

受け入れるということは共感すること。すると辛くなるという人は、ただ受け止めて、そうなんだなと思うだけでいいのです。何もその人と一生を共にするような関係でもないのであれば、そうなんだなと受け止め、その環境でいかに自分の役割を果たしていくかということに集中していくのでもいいと思います。すべては自分次第ということです。

大山 なるほど。確かに。自分が変わると周りも変わるということは多くの人が体験していないというか気づけていないことなのかもしれないですし、そこを知るだけでも本当に心の持ち方がかわるかもしれませんね。

井上 そうですね。ここはすごく大事なところでみなさんに気づいてほしいところでもあります。僕が海外のプログラムなどいろいろと自己啓発を一億円以上投資し勉強をしていったときに、最終的に行き着いたのは「自分が変わればすべてが変わる」ということでした。

今はコロナ禍でマイナスな思考になりがちな時期ですが、マイナスなままで終わる人生なんてありません。バイオリズムでも、運命学でも必ず波があります。人生には必ず波があるんです。
だから波の悪いときには、次に来るいい波に乗るための準備をしておく。つまり、今コロナで社会全体が沈んでいるときは、大きなチャンスをもらっていると思えばいいんです。

ただ、次の波が来た時に乗るだけではいけません。しっかりと準備をして、次に来た波を2倍、3倍に変えて、時代の人になるぐらいに準備をしなければいけません。
よく80対20の法則なんて言われますが、その意味からいうと80%の人は準備をしていない。だからただ準備をするだけで必ず人と違った波がくると僕は信じています。

繰り返しますが、自分が変わればすべてが変わります! 
今のコロナの時期を、ぜひ人生を変えるような大きな波を起こすための準備に使ってほしいと思います。

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井上裕之(いのうえ・ひろゆき)
いのうえ歯科医院理事長。歯学博士、経営学博士。1963年、北海道生まれ。
東京歯科大学大学院修了後、世界レベルの技術を学ぶためニューヨーク大学、ペンシルベニア大学、イエテボリ大学で研鑽を積み、医療法人社団いのうえ歯科医院を開業。自身の医院で理事長を務めながら、東京医科歯科大学、東京歯科大学非常勤講師、インディアナ大学客員講師など国内外の6つの大学で役職を兼任している。その技術は国内外から評価され、特に最新医療・スピード治療の技術はメディア(情報番組「未来世紀ジパング」)に取り上げられ、注目を集めている。
世界初のジョセフ・マーフィー・トラスト(潜在意識の権威)公認グランドマスター。本業の傍ら、世界的な能力開発プログラム、経営プログラムを学んだ末に、独自の成功哲学「ライフコンパス」をつくり上げ、「価値ある生き方」を伝える著者として全国各地で講演を行なっている。
著書累計は130万部を突破。実話から生まれたデビュー作『自分で奇跡を起こす方法』(フォレスト出版)は、テレビ(「奇跡体験! アンビリバボー」)で紹介され、大きな反響を呼ぶ。近著に『本物の気づかい』(ディスカバー・トゥエンティワン)など著書多数。



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