見出し画像

【連載】大山峻護のポジティブ対談 第1回 大嶋啓介さん

大山峻護のポジティブ対談
~コロナ禍を乗り越える為のメッセージ〜
第1回 大嶋啓介さん

いい習慣がいい心を作り、いい未来を作る。
困難な時期の今こそ面白がれ!


この対談は『ビジネスエリートがやっているファイトネス』の著者・大山峻護が各界で元気に輝きを放ち活躍しているこれはと思う人達をゲストに迎え、コロナ禍の今だからこそ必要なポジティブメソッドをみなさんにお届けするもの。記念すべき第1回はてっぺんの朝礼で有名な人間力大学理事長の大嶋啓介さんです。コロナ禍の今こそ成長の時。「困難は面白い」というお話です!


●朝の習慣がいい一日を作る

大山峻護(以下、大山) 僕はよく「大山さんはいつも元気ですね」とか言ってもらえるんですが、実はそんなことはなくて、グーっと落ち込んだり、むかついたりすることはあるんです。
でも大嶋さんはいつもポジティブなイメージがあるんですね。周りを照らす太陽みたいな人。そんな大嶋さんを見ていて尊敬すると同時に、なんでそんなにずっと輝いていられるのかな?と思うんですよね。実際、心のコントロールとかどうされているんでしょうか?

大嶋啓介(以下、大嶋) ぜんぜんそんなことはなくて、普通の人間なので、いつもポジティブでいられるわけではありません(笑)
でも、どうやって自分の気持ちをコントロールするかという話をすると、峻護(大山)のファイトネスじゃないけど、体を動かすことってすごい心にいい影響を与えると思うので、やっぱり朝のウォーキング、ランニングというのは私にとってはその日一日をすごくいい気持にさせてくれるものだなと思いますね。
もう少し詳しく言うと、朝の習慣は特に朝早起きする、朝ウォーキングをする、朝日を浴びるとか、いいと言われることを素直に実践することがめちゃめちゃいいなと思っていて、自分の習慣がきちっとしていることが、今の心の前向きさにもつながっているかなと感じています。

大山 朝起きてからの習慣を大切にするのはどれぐらい前からですか?

大嶋 朝のランニングやウォーキングは6~7年ぐらい前からやっていましたが、特にコロナ禍になってから充実してきたなと思いますね。それまでは(講演などで)朝移動することが多かったし、夜も飲むことが多かったんです。もちろん今でも講演があったりするとルーティンの時間帯が削られてできなかったり、ずれたりすることはあるけれど、でもこのコロナの時期は自分の朝の時間を充分に作らせてくれるいい時期になっていると思います。

大山 その前はどうだったんですか?

大嶋 それまではやっぱり仕事が居酒屋の経営なので、夜中飲むことなども多く、朝はたいていボロボロだったですかね? だからやっぱり、感情的になることも多かったし、心のゆとりもない状態だったんだろうなとは思いますね。

●できない自分を許すことも大事

大山 習慣づけたとしても「できなかったりすることもある」とお話がありましたが、できないと「自分はダメだ」とか落ち込んだりする人もいるんじゃないかと思うんですよね。その点大嶋さんはどうですか?

大嶋 それは気にしないというのが一番(笑)
やっぱり、最初から100点満点を目指さないというのは自分のなかにはあるんですね。頑張れた時は自己肯定感が上がり、頑張れなかったときはまた明日やればいいかなぐらいに思っています。これはできない自分を受け入れ、認め、許し、愛すという「まなゆい(愛結)」の考え方を教えてもらってから、ずいぶん楽にできるようになりましたね。

大山 「まなゆい」ですか?

大嶋 はい。先の四つの言葉を口に出すことで、ネガティブな自分の気持ちがずいぶん楽になります。たとえば「イライラしている自分を、受け入れ、認め、許し、愛します」とか「そんな自分がやだなと思っている自分を受け入れ、認め、許し、愛します」とか、たまに実践しています。

大山 僕なんか現役時代から結構自分を攻めてしまう癖があるので、「自分を許す」というのは大事な考えだと思いますね。日本って反省じゃないですけど、どこかそういう文化があるじゃないですか。でも、自分を許せたら、自己肯定感も保てますものね。

大嶋 そうですね。アスリートの人達は自分に対して厳しくしていかないと上に上がれないみたいなすごい世界を生きていると思いますが、僕たちの(ビジネスの)世界は結果に対する執着を外して楽しんでいるほうが結果が出るということが多いので、そこがアスリートの人たちと究極に違うところかもしませんね。
ただ、さらに究極を求めていくと、アスリートのように鍛錬を積んだ人たちも、結果への執着を外したほうがいい結果を生むというところもあるかもしれないとも思います。

大山 そうですね。やっぱり勝ちたい、勝ちたいと執着してしまっているときは、空回りしてしまいますよね。大嶋さんは最近は高校野球のメンタルコーチも務めていますが、高校生なんかはどうですか?

大嶋 この間もとある高校の野球部に行ってきたんですが、心の状態によって伸びる選手か、伸びない選手かも決まってきたりと、心ってすごい大事だと痛感させれられます。
高校生なんかは特に、技術や体のトレーニングはやってもなかなか心のトレーニングはやらないというか、知らないんですよね。じゃあ、心のトレーニングってどうするかというと、やっぱりこれは習慣なんです。
いい習慣が、いい心を作り、いい未来を作る。
ネガティブな習慣が、ネガティブな心を作り、ネガティブな未来を作る。
だからこそ、明るい習慣、元気になる習慣、ワクワクする習慣を楽しく作っていくことが大事だなと思っています。

大山 それは具体的にどのようにやっていくのでしょう?

大嶋 高校野球のメンタルトレーニングというのは「最強の心のあり方」というのがあって、それを僕は「ワクワク×感謝」だと言っているんですね。
もちろん高校野球の場合はその大前提として程よい緊張状態と、集中状態を作った上でというのがありますが、その「ワクワク×感謝」をいかに練習で引き上げていくかが大事なんです。

●ワクワクを構成する5つの要素

大山 どうやって引き上げるんですか?

大嶋 ワクワクを細分化していくと実は5つあるんですね。
まずは「志」にワクワクする。誰のためにとか何のために動くか? 峻護で言えば、日本のアスリートや日本の子どもたちのために、障がいを抱えた人たちのために、みたいに「志」にワクワクしているから自分にスイッチが入るんですね。
次は「夢や目標」です。甲子園という目標に対してワクワクしきれていない球児たちが多いので、 そこを引き上げてあげる。
3つ目が普段からの「練習」にワクワクしているかどうか?
4つ目が「困難やピンチ」にワクワクしているかどうか?
そして、5つ目が自分の「可能性や成長」にワクワクしながら練習しているか?
特に5つ目が大事なんです。「自分はこんなもんじゃない」「まだまだ成長できる」と思っている選手と、「自分はこれぐらいだろうな」と自分の可能性に蓋をしている選手では同じ練習をしていても伸び方が全然違ってくるんです。

大山 大人も一緒ですね。

大嶋 そうですね。これを朝礼という形で毎日やって、チーム作りをしているのが「てっぺん」なんです。てっぺんの朝礼はこの5つのワクワク+感謝を15分の朝礼で引き上げていくという仕組みになっていて、これが最強のチーム作りの根幹なんです。

大山 てっぺんの朝礼を経験した人が、とにかく「すごい」「人生が変わる」というのはそこなんですね。

大嶋 朝礼は心づくりです。本気の朝礼が本気の心を作るし、明るい朝礼が明るい心を作るし、元気な朝礼が元気な心を作るんです。
これが、いい習慣がいい心を作るということなんです。

●人生を充実させるには困難が必要!

大山 5つのワクワクの中で「困難やピンチにワクワクできるか?」ということをもう少し詳しくお聞きしたいのですが、今コロナ禍でみんなのこれまでの習慣が試されているみたいなところがすごくあると思うんですよね。
例えば周りを見ていると「よっしゃ、やったるぞ」という人と完全に落ち込んでいる人と完全に二極化しているような気がしていて、その落ち込んでいる人たちに困難やピンチこそワクワクで乗り越えられるんだということを気づかせてあげたいと思うんですが。

大嶋 そうですね。まず大前提として困難とは何なのかを知ること、腹落ちすることが大事だと思うんです。どういうことかというと、難しいことではありますが、「困難ってありがたい」と思えるかどうか、思えなくてもそんな捉え方があると知ることでもいいと思います。とにかく頭ではわかっているという段階を作ってあげるのが大事です。
(頭の中だけでも)困難=面白いとか、困難=成長とか、困難=感動ということがわかるのが第一段階。ではどうやってそれをやるのか?
これには福島正伸先生の人生で充実感を得る6つの要素という面白いワークがあって、まずは自分の人生の中で充実感を味わった時期を思い出してもらうんです。
たとえば峻護だったらそれはいつですか?

大山 大学4年間柔道に没頭していた時代ですかね。

大嶋 なるほどね。実はその中に6つ要素があるんです。それを過去を振り返りながら、自分で見つけていってもらうと腹落ちするんですが、ここではそれが何かを言ってしまうと……、
1.明確な目標がある
2.困難を伴う
3.自分が努力を続ける
4.あきらめない
5.自発的にする
6.仲間がいる
なんです。だいたい充実した体験を話してもらうとこの6つが入っているんですよね。逆に人生をつまらなくする6つの条件を上げると
1. 目指すものがなく
2. 困難を避けて
3. 楽をして
4. あきらめて
5. 人からやらされて
6. 仲間がいない
ということになるんです。
そう考えると困難って人生を充実させるためには必要なものなんだということが腹落ちしてくるんです。

大山 なるほどですね。

大嶋 もっと言うとこれはひすいこたろうさんの本に書いてあったことなんですが、ディスニーの映画は最初に一番大事な場面を決めるらしいんです。その場面とは主役をどこまで困難な目に合わせるか? どこまで苦しい目に合わせるか?ということなんです。そして、それを乗り越えようとしているところにクライマックスがきて、それを乗り越えた先に感動があるんです。つまり、ディズニーの映画は困難があるから面白いんですよね。
ゲームだって難しいゲームほどハマりますよね。ゴルフも難しいからこそハマってしまう。
もっと言えば山登りって間違いなく困難ですよね。僕も山に登るんですが、山登りをするとめちゃ大変だけど、その分景色がきれいだったりして、本当に感動するし、達成感があって充実するんですよね。
なので、困難がないと人間ってつまらないんだなというか、実はみんな困難が好きなんですよね。ようは困難は面白いということをみんな体験で持っているはずなんですよ。そういうところから困難は面白いということを結びつけてあげると困難に対する見方が変わる。すると突破口が開きやすくなると思うんですよね。
とはいえ、困難が来た時に面白いなと思える人はすごく一握りなので、それが思えるようになるために準備をしておくとか、習慣作りをしておくとかが大事になってくるんですよね。

大山 なるほど、普段からの心づくりをするということですよね。それが習慣作りなんですね。練習だけ頑張ればいいわけではなく、朝起きるところからスタートしているみたいなところですね。

大嶋 この話の冒頭にあるような朝と習慣の話で言うと、朝はみんな眠かったり、頭が働かなかったりで、苦手だったり、苦しかったりするからトレーニングになるんです。
朝にトイレ掃除をするのも同じで、普段から、面倒だったり、避けたいなと思うようなことから逃げないトレーニングをしておくと、ピンチや困難の時に立ち向かえるというか、苦手なものに向き合えるようになっていく。そうすると困難が面白いと思えるようになったり、そこからワクワクを見出せたりするようになるんだと思います。
その中で一番わかりやすいのが、峻護がやっているファイトネスの体の動きから心を元気にしていくということだと思うので、そういう体を動かす習慣を朝からつけてみるのもいいですね。

大山 コロナ禍の今こそ日本国民全員が習慣を見直していい方向に行ってもらいたいですね。

大嶋 そうですね。最後に困難を乗り越えるということで好きな話をさせてください。これもひすいさんから聞いた話なのですが、日本神話にある天岩戸の話はご存じですよね。太陽の神であるアマテラスオオミカミが弟のスサノオノミコトと喧嘩して岩戸に隠れるあの話です。アマテラスオオミカミが岩戸に隠れると世界は真っ暗闇になります。まさに今のコロナ禍の中で世界が真っ暗闇な状況と同じですね。
その時、説得しても、力でこじ開けようとしても、何をやっても岩戸が開かないということで神様たちは深刻になるんです。そこで、アマノウズメノミコトが自分をさらけ出し踊ることによって空気がぱっと明るくなり、みなが笑って宴会がはじまる。それが世界で最初のお祭りだといわれています。
そしてお祭りが始まるとアマテラスオオミカミが外の様子が気になり、自分で岩戸を開けて世界に光がもどった。その光が戻った時に神様の顔が白く光ったことから面(顔)が白い、「面白い」という言葉が生まれたというんですね。そして、神様たちが「アマテラスが出てきたー」と手足を広げて喜んでいる姿から「楽」しいという字が生まれた。
面白いと言葉と楽しいという字が困難な時に生まれたんです。つまり、困難な時には深刻になるんじゃなくて、面白がることや楽しむことが空気を変えた。空気を変えた=メンタルを変えた。要するに心の状態を変えたことが希望の光を取り戻したと、僕は読み取れるなと思うんですよね。
だからこそ、今は深刻になるんではなく、困難は面白いと捉え、いかにこれを成長につなげるか、何が学べるのか、何が築けるのかといった具合に楽しんで成長につながる道を探してももらいたいと思います。

大山 この困難をみんなで明るく楽しみながら乗り越える。素晴らしいですね。今日はいいものもらいました。ありがとうございます!


大嶋啓介(おおしまけいすけ)
予祝メンタルトレーナー。株式会社てっぺん代表取締役。日本朝礼協会理事長。人間力大學理事長。
1974年1月19日(『いい空気』をつくるために)、三重県桑名市で生まれる。居酒屋から日本を元気にすることを目的に、株式会社てっぺんとNPO法人居酒屋甲子園を設立。てっぺん創業15年で100人以上の経営者を輩出する。2006年には、外食産業にもっとも影響を与えた人に贈られる外食アワードを受賞。てっぺんの「本気の朝礼」は、テレビなどでも話題になり、年間1万人以上が見学に訪れる。企業だけでなく、中学生や高校生の修学旅行のコースになるほどに。2014年より、自身の学びを多くの人に伝えたいという想いのもと「人間力大學」を開校。
スポーツのメンタルにも力を入れており、オリンピック日本代表のソフトボールのチームに朝礼研修をおこない、北京オリンピックでは金メダルに貢献。2015~2019年にかけて、高校野球の約80校にチーム強化のためのメンタル研修をおこない、そのうちの22校が甲子園出場を果たしている。
企業講演・学校講演を中心に、日本中に夢を与えたいという思いで全国的に活動している。
著書に、「読者が選ぶビジネス書グランプ2019」自己啓発部門賞受賞作『前祝いの法則』(フォレスト出版、ひすいこたろう共著)などがある。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?