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福岡決戦~CS Finalステージ展望~【F】

 初戦を落とし後がない第2戦1点ビハインドの9回1アウトから、チームを中心選手として引っ張ってきた万波中正の一発で蘇り、見事に第2戦、第3戦と逆転勝利を収めて、福岡行の切符を手にしたファイターズ。
 待ち受けるはここ7年間の12球団で最高勝率となる.650を記録した最強軍団ホークス。

 そんなホークスの今季の戦力分析、直接対決における傾向、1勝のアドバンテージを持つホークスとの戦い方について考えてみよう。

 ファイターズの2024年シーズンの戦力については、前回の1stステージの展望の方で書いているので、そちらをぜひご一読ください。

1 2024年シーズンの両チーム

 今季の両チームの成績は以下のとおり。

※pDRS
 守備に依存しないイベントのみから投球能力を評価するifFIPから実際の失点率を差し引き、そこに守備イニング総数をかけ合わせ、投球能力以外の部分で何点抑止されたかを示す。
 運の要素やフレーミングなどは考慮外のため簡易的だが、一定の相関関係はある守備の独自指標。

 ホークスは打・投・守全てにおいてファイターズを上回る成績を残しており、ファイターズも打力と守備力のチームだが、それを大きく上回る打力と守備力を有している。

2 ホークス

・打者

 球界No.1打者の近藤をコアに、柳田、栗原、山川と、他球団に行けばチームNo.1の打者でもおかしくない選手が名を連ねる。特に相手投手が右投手の場合は、4選手全員がwOBA.380超と手がつけられない。
 また、パ・リーグ平均を超える打撃成績を残す近藤から牧原までの10選手で、チームの野手総打席数5414打席のうち、4154打席を消化することが出来ており、打力的に穴のポジションがないのも大きな強みの一つ。
 現実では正木が柳町を差し置いてスタメンで出るケースがほとんどだったが、両者ともに相手投手の左右で大きく成績に差があるため、プラトーン起用をすることでさらに強力な打線となる可能性も秘めている。

・先発投手

 投手陣は際立ったエースはいないものの、無難に試合を作ることができる投手が集まっている印象。
 ファイターズと同様にホーム球場が本塁打の出やすい球場ゆえに被本塁打は多め。

・リリーフ投手

 リリーフ陣は、驚異のK%37.1を誇るリーグNo.1リリーバーのヘルナンデスを中心に非常に強力。藤井、松本が故障のため離脱しているが、そこに続く又吉、津森、長谷川も平均以上の成績を残している。
 K%は高いが、BB%も高い傾向にあり、四球が攻略の糸口になるケースが多いか。

3 直接対決の傾向

 直接対決は、5月6日から7月12日までホークスが7連勝したが、8月24日から9月28日までファイターズが7連勝し、最終的に12勝12敗1分の五分。

・F打線vs.H投手陣

 ホークス戦ではファイターズ打線は通算よりもやや成績が良い。ホークス投手陣が平均よりも良い成績を収めていることを踏まえると、相対的には強力なホークスの投手陣を苦にしていないと言える。レイエスと万波を中心に本塁打が多く、チーム長打率がパ5球団のホークス戦の長打率と比較して5分以上高い。
 個々で見ると、コアのレイエスと清宮がしっかり打っている上で、他にも上川畑、野村、淺間、万波と相性が良い選手が揃っている。
 他方で下位5選手はからっきし。特に水谷は古巣相手になかなか結果を残すことが出来ていない。

 大津が2試合先発で好成績。
 大関とモイネロは万波、レイエス、マルティネスといった右打者の一発に苦しめられている。

 リリーバーかつ継続的に登板している中では杉山がファイターズにとってはもっとも難敵。その他の投手は三振を取られるが四球も多いため、食らいつける印象。
 F打線は、マリーンズの益田と同様にクローザーのオスナに非常に相性がいい。

・H打線vs.F投手陣

 近藤がとにかく天敵で、他のレギュラー陣も柳田を除き軒並みそれなりに打っている。セカンドは牧原、川瀬と成績を残していないが、終盤に出てきたダウンズは要警戒。

 エース伊藤が奪三振、与四球、被本塁打全てにおいてシーズン通算成績よりも好成績を残している。また、北山はコントロールが安定しなかったGWの登板で成績を悪化させたが基本的には好成績。
 左腕の二人は被本塁打が多いため、打たれるとしてもソロで食い止めたいところ。

 マリーンズ戦同様河野が好成績。
 山本や生田目といった投球内容に関する指標が良い投手に加え、齋藤や柳川、田中正といった高出力の投手が好成績を収めている。

・まとめ

 マリーンズ戦とは異なり、両チームともに強力な打線による打ち合いの展開が多い傾向。
 中軸の打者の本塁打リリーフ投手の四球が鍵を握るように思う。

4 キーマン

 打のキーマンは、万波中正レイエス

 万波は、ここ3年間のホークス戦68試合に出場し19本の本塁打を放っており、清宮、レイエスと3人で強力なクリンナップを形成してほしい。
 1stステージ敗退の危機を救う一発を放つなど、いい意味で空気を読まない活躍ができるのも長所。完全アウェイの福岡が静まり返る活躍に期待したい。

 レイエスは1stステージも2試合マルチ安打を記録するなど活躍したが、読みを外され続け、長打が出ず、要所でなかなか打てないことで責任感が強いゆえに鬱憤が溜まっているように見える。
 福岡でホークスの圧倒的な打力に対抗するためにはこの男の活躍が必須であり、早い段階で本塁打を1本出してほしいところ。

 投のキーマンは、伊藤大海田中正義

 伊藤は、ホークスに勝つために1stステージでは温存されており、初戦に勝って1勝1敗のタイに戻すことが至上命題だろう。伊藤は温存したが、加藤、金村、北山と2番手から4番手は使っている以上、初戦を取れなければ、2戦目のマッチアップは非常に厳しいものとなる。それだけに初戦の重要性は一段と高い。
 また、第6戦までもつれた際には、中4日で運命のラバーマッチを任せられることも考えられる。 シーズン終盤は間違いなく12球団トップクラスの投球を続けており、フル稼働でチームを日本シリーズに導く活躍に期待したい。

 田中正は、1stステージで間違いなくもっとも状態の良いリリーフ投手だった。他球団の打者が見逃してくれた甘い球をホークス打線は見逃してくれない。そんな中で今ホークス打線と力勝負できるのは田中正しかいないだろう。
 クローザー不在という問題を抱えた中で突入したCSで、クローザーに返り咲き圧倒的な姿を見せる田中正義に期待したい。

6 戦いのポイント

 打者陣は、シーズン中と同様にホークス投手陣の150キロ超のストレートをしっかりと潰すことができるかがポイントだろう。ストレートを潰すことで、配球に関する心理戦では間違いなく優位に立つことができ、また、四球を出してくれる可能性も高まる。

 投手陣は、誰と勝負するのかを明確にし、特に近藤と対峙する際には単打OK、四球OKの考えを常に念頭に置いた組み立てをすることが重要になるだろう。
 短期決戦では、回跨ぎ、ワンポイント、連投を解禁し、ピンチでは徹底的に相手打者を抑える可能性を高めることが重要だが、先発投手がリリーフ投手よりもその場に馴染んでおり、実力があるケースが多い中で、どこまで先発投手を引っ張るかの見極めも非常に重要になってくる。

 最後に、ホークスは間違いなくここ数年で最強のチームだが、ファイターズにも個々では見劣りしない選手がたくさんいる。
 1stステージでの信じられないほどのホームでの声援を胸に、完全アウェイの福岡で胸を張って戦ってきてほしい。

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