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2021シーズンレビュー 打者編①

 ファイターズの選手のシーズンレビュー企画第1弾。今回は打者編のPart1として、近藤、髙濱、淺間、野村、王の5人の2021年を振り返っていく。

近藤健介

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 打率3割の常連だっただけに、今季打率が3割を切ったことで調子が悪かったという見方をされがちではあるが、本塁打、長打率はキャリアハイ、Run ValueにおいてもNPB全体の9位につけており、文句のつけどころの無い成績と言えるだろう。
 ボール球を振らない選球眼は健在でボール球スイング%はNPB全体で西川に次ぐ2位。追い込まれても打率.264を残しているのは流石の一言だが、強いて言えば、右投手の変化球への対応にやや感覚のズレがあったのか特に2ストライク時に空振りはしないが内野ゴロに終わるケースが多かった。
 後半戦、9月あたりからはかなり長打を意識したスイングが見られるようになり、長打が増加。来季本塁打20本を目標にするという発言もかなり現実味があるように感じさせる。

高濱祐仁

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 今季野手の中では最もブレイクした選手といっても過言ではないだろう。どんなボールに対してもスイングプレーンを綺麗にボールの軌道に入れてライナー性の強烈な打球をどんどん飛ばす姿は、2016年まで在籍していた陽岱鋼を彷彿とさせるものがある。後半戦に入り9月あたりには、初のフルシーズンの戦いに疲労の色が見え、バットがボールに全く当たらないということもあったため、シーズンの成績としてはやや物足りない数字に見えるが、それでも一軍の舞台で十分やっていける実力を証明した。
 来季は活躍した翌年ということもあり、やや苦しむかもしれない。しかし、一塁守備もシーズン当初と比べて見違えるほど上達しており、そう簡単には他の選手にポジションを明け渡すことはないはずだ。ファーストというポジションは全てのポジションの選手がライバルと言っても過言ではないが、現実味があるところだと新外国人のレナート・ヌニエスやファームの本塁打王を受賞した清宮幸太郎、来日4年目の王柏融あたりが挙げられる。仮に、ヌニエスが活躍を見せ、一枠が埋まったとしても、髙濱は左投手に強いため、対左のプラトーンとして王や清宮との差別化を図ることができるだろう。

淺間大基

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 髙濱とともにブレイクした選手の一人。センターの守備はイメージほどの派手さはないものの、身体能力の高さから守備範囲、スローイング、即時の判断力全て文句の付けようがない。打撃については、ボールゾーンへの変化球と球速の速いストレートに弱いことは明白であり、そこに対する改善が喫緊の課題だ。 
 タイプとしては、スピードがあるため1,2番のイメージが強いかもしれないが、追い込まれてからは打率.165(230-38)、特にストレートには打率.126(111-14)とツーストライクアプローチに大きな欠点を抱えているのが現状。実はイメージとして、西川遥輝のような打者ではなく大田泰示のような打者を目指す方が向いているのかもしれない。
 兎にも角にも来季のセンターのポジションには、韋駄天の五十幡、5ツールとしての片鱗を見せる万波というライバルがいるため、そことの差別化をいかに図っていくかがテーマとなるだろう。


野村佑希

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 まず、高卒3年目で怪我もあったが、394打席をこなしてこれだけの成績をしれっと残すのは末恐ろしいの一言だろう。しかし、長距離砲として期待されながら、本塁打が結局7本で終わってしまったことは物足りなさを感じる。プロの投手との駆け引きに慣れ、そして適応しようとしたときに、少しスタイルが小さくなってしまった結果、当てるだけの当たりや上手く逆方向へ打ち返すような当たりが増えていった。
 NPBでは単打を量産する選手は多く存在しても、本塁打を量産することができる選手は一握りであり、野村にはその素質がある。タイプとしては鈴木誠也のように確実性と長打力を両立することができるとは思うが、まず自分を見つめ直し、自分がどのような選手になることが自己プロデュースとして最適なのかを考えてほしい。
 来季はダイヤモンドをゆっくりと一周する野村の姿を何度も見られることに期待したい。

王柏融

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2018年オフに結ばれた3年契約も今季で最終年を迎えた。ここ2年は思うような成績を残せず背水の陣で臨んだ一年だったのだろう。開幕はファームながら、5月頭から長打を打ちながら打率も残すという好調期が続いた。しかし、交流戦でDHがない試合があったことや軽い負傷もあってか、徐々に調子を落としていってしまった。
 左投手に対しては、全くと言っていいほど合わず、打率は.083(24-2)。大きな課題となっている。右投手に対しては、調子を落とした時期があってもなおかなりの好成績を残しており、少なくとも右投手に対するときのスタメンとして起用する価値は確実にある。フォークやチェンジアップなどの抜き球系へのアプローチが改善されれば、相手先発が右投手のときにスタメンから外せない存在となるはずだ。
 DHの枠に特にライバルの多い来季は本当の正念場だろう。

サムネイル:近藤健介(北海道日本ハム)©報知新聞社

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