2022.3.25 新生ファイターズの船出【F】
名護・国頭でのキャンプが始まってから53日目。
キャンプ、オープン戦とユニークな持論を展開し、具現化してきた新庄剛志ビッグボスの初陣が約１時間半後に迫った。
今回は開幕戦のプレビューをしていこう。
１ 開幕投手・北山亘基
昨日の午前10時半頃、Twitterでビッグボスが発表した開幕投手はルーキーの北山亘基。
SNSでの投稿がニュースになるような現代においては、マスコミを集めて発表するよりもSNSの投稿で発表する方がより直接的であり、ファンに直接発表する形をとったのはファンサービス・ファーストの新庄剛志らしさなのかもしれない。
北山の話に戻ろう。ドラフト８位指名、全体でも76番目の指名ながらキャンプから球威のあるストレートで存在感を放ちアピール。オープン戦では５試合に登板し、６イニングを被安打３四死球０、13奪三振無失点という圧倒的な内容だった。
ストレートとフォークのコンビネーションは凶悪で、2スイングに1回の割合で空振りを奪うフォークはもちろんストレートの空振り奪取％を取れるのはモイネロや栗林といった球界を代表するリリーバーに肩を並べる。
初対戦で伸びあがる高めへのストレートと落差の大きなフォークを捉えることは困難だということは、この数字を見れば言うまでもないだろう。
数字を見ると右打者に比べて左打者に打たれているが、これもサンプルが少ないためだと考えられ、現に左打者からの方が空振りをとれている。
世間的には無名のルーキーを開幕投手に抜擢したというような見方だろうが、1イニングの内容で考えれば間違いなくオープン戦のチームでトップのパフォーマンスを見せていた。
オープン戦を見る限りさすがに北山は1イニングか2イニング。そうだとすれば残り7イニングの継投も重要となる。予想としてはとにかく良い投手からつぎ込み、終盤を逆に本来先発投手の伊藤又は根本が務めるのではないだろうか。つまり、北山、宮西、堀、杉浦らで序盤を繋ぎ、残りの5イニングを伊藤又は根本が投げるという勝ちパターンを後ろから出す形だ。
２ ラインナップ
オープン戦からガラポン打線やポジションシャッフルなど打順、守備位置ともに柔軟な姿勢を見せてきたビッグボス。
守備位置については以前の記事で述べた複数ポジション守れることのファイターズのチーム運用上のメリットはもちろん、様々なポジションでの動きや景色を経験することで本職においてもメリットがある。公式戦に入ればそこまで突飛な守備位置での起用はないだろうが、石井ら内野手の外野起用や捕手の一塁起用などは十分あり得るだろう。
打順については、前提として組み方によって打線全体の得点能力が左右されることはほとんどないとされている。どれだけ考えて打順を組んでも、イニングごとに先頭打者が変わるため、打者の役割のようなものを打順に持たせることにあまり意味はない。
開幕戦のスタメンがガラポンで決まる可能性もあるだろう。ただし、スタメン落ちの赤玉を入れるとメンバー自体が変わってしまうため、そこをどうするのかは気になるところである。
さて、メンバーを組むとした場合の予想がこちら。
開幕戦、初回の1球目から圧力をかける意味でも1番に打線で最も信頼の置ける近藤を置くと予想。4番には開幕投手北山と同じくルーキーの水野。ヌニエス、アルカンタラの両新外国人で水野を挟む形でクリーンナップを構成。7,8,9番にもオープン戦調子の良かった左打者3人を起用。
３ 千賀滉大攻略のカギ
千賀と言えば、剛速球とお化けフォークのコンビネーションで三振を量産するイメージだろう。しかし、千賀は進化を続け、ここ2,3年でモデルチェンジを図った。
これは2021年の千賀のスタッツである。84.2イニングを投げて被本塁打はわずかに２。本拠地がホームランの出やすいPayPayドームであることを考慮すれば、かなり優秀な数字だ。
2019年に習得したカットボールの質を2020年に向上させたことで、奪三振能力を維持しながらグラウンドボーラーへと変貌を遂げた。
かつての一発に沈む千賀はおらず、攻略するのもより困難になったといえる。唯一の弱点は四球の多さだが、今季のファイターズのオープン戦からのスタイルは早打ち。追い込まれる前にどんどん振っていくことになれば、必然的に四球で出塁する機会は少ないだろう。
やや左打者の方が千賀のストレートを捉えていることから、淺間や石井あたりがどれだけ食らいついていけるかも重要になるだろう。
ここまでの話を総合すると、ファイターズ打線が千賀攻略のために狙うべきは
追い込まれる前の千賀のストレートとカットボール
どんどん振っていくファイターズ打線がカットボールでサクサクと打ち取られていく、もしくは、捉えきれずに追い込まれれば千賀のペース。浅いカウントのカウント球を捉えきれればファイターズ打線のペースとなるだろう。
ロースコアの試合になることは間違いないが、その中で光を放つ野手のニューヒーロー誕生に期待したい。
また、公式戦に入り、オープン戦から変化する点・変化しない点に注意してみると、ビッグボスの真の狙いが見えてくるかもしれない。
サムネイル：北山 亘基(北海道日本ハムファイターズ)©株式会社時事通信社
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