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FIGHTERS Biweekly Review 2023 #05(交流戦)

1 Team

期間:5月30日~6月21日

戦績~
 10勝8敗 勝率.555(12球団中5位)
 得点 59(8位)
 失点 45(1位)
 得失点差 +3(4位)

得失点差プラスを継続(本企画4回連続)。
カープ戦、ベイスターズ戦は厳しい試合となったものの、その次のカードのタイガース戦、ドラゴンズ戦で見事に立て直し、12球団最少失点。

チーム打撃成績~

・打率こそそこまで高くないが本塁打数が全体で2位になるなど長打力で得点力をカバー。
・投手陣が打率.208(24-5)と奮闘。

~チーム投球成績~

・RA9(失点率)、防御率が12球団トップ。
・本拠地が狭くなっているにもかかわらず被本塁打を少なく抑えられている。
・加藤と鈴木という特殊な投手がスターターにいる影響でストレート平均球速は低いが、2投手以外で計算すると147.4で平均以上に。

2 Biweekly MVP(2週間MVP)

この2週間で最も活躍した選手を紹介。

野手:アリエル・マルティネス 

アリエル・マルティネス 交流戦打撃成績

・左投手に対しては圧巻の成績。
・選球眼が非常に優秀なため、追い込まれてから根負けした投手の甘い球を捉えるケースも多い。

ここ一番でとにかく頼りになったアリエル。
総合すると右投手の変化球に対する成績が悪いが、得点圏では一味違う。

アリエル・マルティネス 交流戦得点圏打撃成績

得点圏になると、ストレートをライト方向に弾き返すイメージで待ち、スライダーやスプリット系の逃げる球をことごとく見逃し、ゾーン内のボールも空振りしない見事な集中力を見せる。
結果的に打率 .700、OPS 2.286というとんでもない成績を残した。

得点圏打率を筆頭とする得点圏での成績はセイバー上は年度間での相関性が認められず疑問視される指標とされているが、私は0か100かで考えるべきではないと考えている。
少なくとも通常時と比べて明らかにアプローチが異なるアリエルのような選手であれば、通常時よりも打つことについて一定程度「根拠がある」と言ってもよいのではないだろうか。

投手:上沢 直之

上沢直之 交流戦投球成績

・交流戦前に復活したストレートはボールゾーンで打者に手を出させ、空振りを奪えている(ボール球スイング% :32.3、空振り奪取%:24.4、ともに先発投手中4位)。
・救援投手の負担が大きい中で3試合全てで8回を投げ切ったのは立派の一言。

軸であるストレートが復活し、序盤の乱調が嘘のような安定した投球が続いている。
昨季まではストレートを軸として球速帯の似たカットボールやフォークで芯を外す/空振りを取る投球がメインだったが、今季はカーブを中心に緩急を上手く活かした投球にマイナーチェンジ。

上沢直之 2022年投球成績

とはいえ、決め球にやや欠けている点には気になる。

上沢直之 交流戦2ストライク後左右×球種別投球成績

まず、右打者に対する2ストライク後のフォークは空振りを取りにいって取れており、しっかり機能している。
そうであれば、なぜチェンジアップを右打者にフォークに次いで投げ込んでいるのだろうか。最終的な結果はいいが、空振り・ボール球スイングともにゼロだ。
昨季はフォークは右打者に、チェンジアップは左打者にという使い分けをしていた。左右の打者のスイングの軌道の違いとの兼ね合いでそういった使い分けをすることは理解できる(現に北山や上原はこの使い分けをしている。)。
ただ、スライダーやカーブ、フォークといった優秀な球種も持ち合わせながら、チェンジアップにどのような役割を持たせているのか現時点では分からない(もしかすると加藤貴のフォークとチェンジアップの使い分けにヒントがあるかもしれないので要研究。)。

次に、左打者に対しては、フォークでもチェンジアップでも空振りを取れていない。ここが非常に苦しい。
その分カーブを決め球としてチョイスする機会が多くなっているが、フォークやチェンジアップといったストレートとの見分けがつきづらく、かつ、空振りを奪える球種がやはり一つ欲しい。
左打者に対するチェンジアップの復活は一つ明確に改善したいポイントといえるだろう。

3 Stats

野手個人成績

ファイターズ交流戦個人打撃成績(15打席以上)

・ファイターズで長年ウィークポイントとなっていた捕手のポジションの2人がOPS 1.000超を記録。
・加藤豪、万波、マルティネスの3選手によるコアは非常にバランスがよく、加藤豪のところを調子次第で松本や清宮が務めることができれば理想。
・松本、野村にとってはやや苦しい交流戦となった。

投手個人成績

ファイターズ交流戦個人投球成績(対戦打者15人以上)

・先発投手が試合を作っていたからこその12球団トップの防御率、特に北山はリリーフの頃のストレートとフォークで三振を取る良さも活かしつつ、ナックルカーブやスライダーでカウントを整えることもできており、先発として更なる進化を遂げている。
・宮西と河野は両者とも空振り奪取%(Whiff%)が40%超でそれぞれ全体の2位と4位(1位:モイネロ、3位:松井裕樹)。

4 Summary

交流戦を勝ち越せた最大の要因は確実に先発投手陣の安定感だろう。
交流戦でのチームQS%は77.8%(14/18)、QS不達成の4試合のうち2試合も鈴木と北山が6回まで投げられなかったがそれぞれ2失点、1失点に抑えている。
交流戦前までQS%が47.9%だったところから考えれば、見違える数字だ。

それに加えて、僅差のゲームを信頼して任せられるリリーフが着実に増えていることも好材料だろう。
勝ちパターンの宮西、田中正に続く形で、池田と河野が三振を奪えて四球が少ない投手として安定した投球を見せたことで、リリーフの層が格段に厚くなった。
勝ちパターンに負担が一極集中することを防ぐような起用も今後は増えていくだろう。

野手陣は万波とマルティネスのコアが確立し、加藤豪が本格始動したことで、打線の完成度が着実に高まってきている。
松本や野村、清宮といったシーズン前に今季のチームを打撃で支えていくと予想されていたメンバーが、万波とマルティネスが不調・不在のときにカバーするような形が出来てこればもう心配はないだろう。

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