『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。』

『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。』(今井誠 酒井豊貴 上野雄史 星野崇宏 安田洋祐 山口真一 日経BP)
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/04/09/00051/

経済学者と実務家6名による、ビジネス課題に使える経済学の本。経済学者が役に立つということをいろいろなトピックで述べている。第1章のサイエンスとエンジニアリング、マーケットデザイン、プライシングの話や、第2章のオンライン市場、スナイピング、市場設計の話はなかなか面白かった。第3章のFSP-Dモデル(F:フリー、S:ソーシャル、P:プライス、D:データ)は長かったが、単なるお話なのでは?と感じた。第4章のCRM(Consumer Relationship Management)は、顧客獲得のための販促などのややドライな戦略の話であり、これはこれで面白かった。第5章は会計とESG(環境・社会・ガバナンス)についてで、もう少し丁寧に説明してほしいと感じる部分だった。第6章は会議のベストな人数などに関する話だったが、いろいろ参考論文を引用してはいるが、これは経済学なんだろうかという内容だった。最終章はビジネスサイドの実務家による、経済学者とビジネスをしていくための心がまえに関する話だった。
経済学に関する本をあまり読んだことがなかったので新鮮な部分もあったが、多くの著者による本であるため、少しまとまりに欠ける感じがした。本のタイトルは『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。』だが、事例ごとに調整する必要があったりして、あまり解決していないのではないかと思った。インパクトを高めて本を売るためのタイトルかなと思った。

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