見出し画像

「未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること」

「未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること」(河合雅司 講談社現代新書)

作家・ジャーナリストの著者による、日本の人口減少による社会変化の指摘と、それに対応するための指南書。人口が減り、かつ高齢化で消費が落ち込むという「ダブルの縮小」を指摘し、整備士不足、IT人材不足、ドライバー不足、生活インフラの維持困難など、さまざまな業種における問題の発生をデータと共に予測している。それに対する対策として「戦略的に縮む」必要性を述べ、「未来のトリセツ」として以下のことを述べている。気の滅入る話題だが、ほぼ確実に来る未来であると思う。

第2部 戦略的に縮むための「未来のトリセツ」(10のステップ)
ステップ1 量的拡大モデルと決別する
ステップ2 残す事業とやめる事業を選別する
ステップ3 製品・サービスの付加価値を高める
ステップ4 無形資産投資でブランド力を高める
ステップ5 1人あたりの労働生産性を向上させる
ステップ6 全従業員のスキルアップを図る
ステップ7 年功序列の人事制度をやめる
ステップ8 若者を分散させないようにする
ステップ9 「多極分散」ではなく「多極集中」で商圏を維持する
ステップ10 輸出相手国の将来人口を把握する
(178-228ページ)

 人口減少対策とは「夏休みの宿題」のようなものである。いつかはやらなければならないと頭では分かっていても、ついつい後回しにしがちだ。その変化は日々の暮らしの中では目に見えないほど軽微なためである。「まずは目の前の課題をこなすことが先だ」と言い訳しながら、時だけが過ぎていく。
 だが、それでは日本社会は遠からずタイムオーバーとなる。人口が減るだけではなく少子高齢化を伴うため、いざ取り掛かろうと思ったときには社会が老いていて手遅れとなっていることだろう。人間だって物事を進めるのに適齢期というものがある。気力体力が衰えてからでは、にっちもさっちも行かないということになりかねない。日本は瀬戸際にあり、いま取り組まなければ永久にチャンスを失う。(229ページ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?