「日本人のための英語学習法」
「日本人のための英語学習法」(里中哲彦 ちくま新書)
河合塾講師の著者による、英語の学習法の本。
「9割の人は英語を必要としない」(15ページ)や、「英語を極めようとはしない。「内容重視」の英語を目指す。」(21ページ)、「「明確な目標」を持とう」(26ページ)など、英語に対する心がまえから始まって、いろいろな事柄についてコンパクトにまとめた本である。推薦する本が数多く記されているのも良いと思った。
英語学習を始めるにあたって、準備するべきことは次に掲げる3点です。
(1) 目標を設定する
(中略)
(2) 学習内容を決定する
(中略)
(3) 学習法を選択する
たとえば、スピーキングは通信ソフト「スカイプ」(Skype)、リスニングは「CNN Students News」(NHK-BS1)、リーディングは「News in Levels」(http://www.newsinlevels.com/)、ライティングは英文日記を書く、などと具体的な学習法を書き記してください。(29ページ)
「日本人の9割に英語はいらない」(祥伝社)の著者・成毛眞氏によれば、英語を必要としている日本人はわずか1割程度にすぎません(私はもっと少ないのではないかと思っています)。(38ページ)
みなさんは、まずは、英語の基本を習得するのに必要とされる3,000時間を捻出しましょう。そして、毎日、どれくらいの時間を英語に費やすことができるかを算段してみてください。(50ページ)
最初は「質」のことを考えない。質のことばかり考えていると、まとまった時間を確保しなくなり、蓄積もまた薄っぺらなものになりがちです。
とにかく時間を捻出しましょう。トレーニングのための時間は、あらかじめ用意されているものではありません。「見つける」ものでも、「見つかる」ものでもありません。みずから「つくりだす」ものなのです。(55ページ)
いかに、「多読の3原則」をまとめておきます。
興味のある本を選ぶ。
(中略)やさしいレヴェルの本から読み始める。
(中略)辞書を引かない。
(中略)
(81-82ページ)
自分の興味のあるものを読むのがいちばんですが、ここでは不特定多数の読者に気に入ってもらえそうなものをいくつか紹介しましょう。
①Seriously Silly School Jokes Tony Trimmer
初級・中級者向き。
(中略)
②All-American Girl Meg Cabot(メグ・キャボット「恋するアメリカン・ガール」
中級者向き。
(中略)
③The How Rude! Handbook of Friendship & Dating Manners for Teens Alex J. Packer
中級者向き。
(中略)
④How to Japan --- A Tokyo Correspondent's Take Colin Joyce (コリン・ジョイス「「ニッポン社会」入門---英国人記者の抱腹レポート」)
中級者向き。
(中略)
⑤How to Talk to Anyone Leil Lowndes (レイル・ラウンデス「人をひきつけ、人を動かす」)
上級者向き。
(中略)
⑥A Quiver Full of Arrows Jeffrey Archer (ジェフリー・アーチャー「十二本の毒矢」)
上級者向き。
(中略)
(83-85ページ)
「精聴」と「音読」をやってから、「多聴」へすすもう。(123ページ)
以下に、お勧めの文法書を紹介しましょう。
・初級者用
レイモンド・マーフィー「マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)」(ケンブリッジ大学出版局)
(中略)
・中級者用
江川泰一郎「英文法解説」(金子書房)
(中略)
・上級者用
安藤貞雄「現代英文法講義」(開拓社)
(中略)
(156-157ページ)
これらと同じで、英文法を身につけた人なら、「主語(you)がto不定詞以下の意味の目的語になっている」ことに注目して、
◎You'd be so nice to come home to.
= It would be so nice to come home to you.
(あなたが待っている家に帰れたら、どんなにうれしいことだろう)
と、英文を正しく理解します。
つまり、「あなたが帰ってきてくれたらうれしいわ」ではなくて、「あなたが待っている家に帰れたら、(私は)どんなにうれしいことだろう」という意味だったのです。(162ページ)
"will"と"be going to"
"will"のもっとも重要な点のひとつは、「とっさに思いついた意思」(~します)をあらわすということです。
(中略)
また、「主観的な推量に基づいた予測や判断」(たぶん~だろう)をするときにも用います。
(中略)
いっぽう、"be going to""は「~すること」(to do)に「確実に向かっている(be going)」わけですから、すでに持っている意思の表明」(~するつもりでいる)をするときに用います。
(中略)
"will"と違って、心づもりが「すでに」できているというニュアンスを感じとってください。
また、「起こることが明白である出来事をあらわす」(今にも~しそうだ)ときにも用います。
(176-177ページ)
前置詞の「コア・イメージ」を習得したければ、「表現英文法」(田中茂範/コスモピア)がおすすめです。(186ページ)
日本人は、英米人に比べると、相づちの頻度が高いことをご存じでしょうか。(209ページ)