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「住んでみたドイツ8勝2敗で日本の勝ち」

「住んでみたドイツ8勝2敗で日本の勝ち」(川口マーン惠美 講談社)

ドイツに30年以上住む作家の著者が、日本とドイツの様々な側面における
違いについて紹介する本。最近、コロナのせいか、日本が貧乏になってきたせいか、海外の話題を目にする機会が減っているような気がするので、海外についての本を読んでみた。

第1章「日本の尖閣諸島、ドイツのアルザス地方」は、いきなり尖閣諸島に船て行く話から始まってやや面食らったが、美しい島であること、ドイツもフランスやロシアと領土問題を抱えていて、実効支配とそれを裏付ける軍事力が必要であることを述べている。

第2章「日本のフクシマ、ドイツの脱原発」は、東日本大震災で多くのドイツ人が帰国したり関西に避難したことから始まって、福島第一原発のメルトダウンがドイツの脱原発の大きな原動力になったことを述べている。ただ、脱原発の風潮は大分弱まってきたと(2013年出版のこの本に)書かれている。今となってははウクライナとロシアの戦争でエネルギー問題が深刻になっているだろう。ただ、ドイツの電力の4割以上は昔もいまも石炭と褐炭でまかなっているとのことである。

第3章「休暇がストレスのドイツ人、有給を取らない日本人」は、このタイトルの通りの内容である。

第4章「ホームレスが岩波新書を読む日本、チャンスは二度だけのドイツ」は、ドイツは10歳の時点で、大学に進学する進路、職人になる進路、その間の実業学校の進路に分かれているがそれに対して日本の義務教育は優れており、たとえホームレスでも義務教育は受けられていること、一方で討論や論述で実力をつけ、インターンシップなどで実務経験を積んでから就職するドイツと、画一的なスケジュールとまるで隠し芸大会のような面接で就職が決まる日本とを対比して述べている。

第5章「不便を愛するドイツ、サービス大国の日本」は、ドイツの鉄道のひどさをとにかく述べている。エアコンが故障して車内が60度になったことや、時間通りに走らないことなどが書かれていた。ドイツはヨーロッパの中でもまともなのではないかと思っていたが、相当ひどいようである。

終章「EUのドイツはアジアの日本の反面教師」は、ユーロによる通貨統合、ギリシャ危機、脱税大国イタリア、皆でドイツを悪者にするEUなどが書かれ、TPPで日本はドイツと同じ立場であると指摘している。

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