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「外国語をつかって働きたい!」

「外国語をつかって働きたい!」(小島さなえ 左右社)

大学で中国語を専攻し、卒業後に翻訳・校正や大学職員等の語学を使う仕事をした後にイラストレータになった著者による、語学力を生かした仕事についての自身の経験談および8名の方の事例を紹介したマンガ本。非常に面白い本だった。冒頭で、本来は語学は手段でそれを使ってどのような仕事をするかが目的なのに、外国語を専攻した学生にとっては仕事が手段で目的が語学力を磨いてお金を稼ぐという逆の考えになりがちであることを「言語はツール」問題と呼んでいる。これは、語学に限らず何か得意なことがある人が陥りがちなことであり、面白い視点であると思った。
翻訳会社や大学での著者の仕事内容の紹介も具体的でわかりやすかった。さらに、8名(実務翻訳者、翻訳文学編集者、司法通訳者、日本語教師、通訳ガイド、製造業の工場SE、商社の海外駐在員、製造業の人事担当者)のインタビューとメッセージのマンガも、語学力を生かしたさまざまな仕事を知ることができて非常に良かった。
言われてみれば当たり前だが、語学力だけで良い仕事ができるわけではなく、それぞれの仕事の中で語学力をどう生かすかが重要であることがよくわかった。「OKY」(O(おまえが)K(ここへ来て)Y(やってみろ)の略で、企業の海外駐在員たちの間での一種の隠語)という言葉も初めて知った。面白い。

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