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声優相手の恋愛に出口戦略はあるのか

皆さんこんにちは。
noteではたいへんご無沙汰しております。

先日、声優の竹達彩奈が脅迫される、ファンの暴走事件が起こりました。

脅迫被害の声優・竹達彩奈、ブログで吐露 「メールだけなら何万、何十万」「報道されていないことも」

さて、この事件、記事単体では「ただの許しがたい事件」に過ぎません。しかしこの事件の本質は別のところにあると僕は考えました。好きになったのがたまたま声優だったのはどうしようもなく、アプローチの方法に何か鍵があるのではと思ったので、今回はそれを考察しようと考えた次第です。


捕まったオタクの行動は本当に間違っていたのか

ところが今回の件、"いつものオタクの暴走"で片付けられると思いきや、衝撃的な事実があとから出てきました。

なんということでしょう。さらにこんな衝撃の報道まで。

竹達彩奈脅迫犯は事務所入社を試みていた! タレントに近づこうとする、度を越した“悪質ファン”を排除する芸能界

記事タイトルに悪意がありますが、事務所入社を試みたのなら彼の行動は正攻法です。そして行動力はたいしたものです。噂にある婚姻届を渡すというのはまぁいきなりすぎるというのは誰が見てもわかるものですが、確かに声優やアイドルのファンはいい人ばかりではないので、そういう人は排除しなければなりません。しかしこの記事のように事務所への応募もしていたのなら、彼が竹達彩奈に本気で恋をしていたといってもいいでしょう。
それに、婚姻届以前の行為はそれほど悪いことなのでしょうか。この記事は「実際に彼が竹達彩奈を脅したのだから、彼がもし事務所に入社したら悪いことをしたはずだ」という論調を用いています。しかし本質はそうではない、元々は真面目なファンだからこそ正攻法に出たのです。それがなぜ脅迫に至ったのかという部分は今回は省きますが、この記事に関しては、彼の本気の恋愛に対する業界の不誠実さといっても良いほどの内容だと感じます。

有名人との恋愛について検索すると、方法として仕事で近づくというのが代表的とされているようです。仕事を通して交流すれば親密な関係になれるかもしれません。これについて声優の植田佳奈は、

こう言っています。
ところが現実はそうはいかなかったわけです。

「特にアイドルを擁する事務所では、入社希望者の名前とファンクラブ会員名簿を照らし合わせ、過去に入会履歴があった場合は、不採用とするというのが基本となっているようです。ジャニーズ事務所や、ハロー!プロジェクト擁するアップフロントなどは、そうしていますね」(芸能事務所関係者)
また、芸能事務所の社員ということではなく、別の形で好きなアイドルに近づこうとするファンも増えているという。ある雑誌編集者はこう話す。

「カメラマン志望の若い子たちに話を聞いてみると、実は乃木坂46とか欅坂46とかのファンなんですっていう子が多い。もともとアイドルのファンで、彼女たちに近づきたいからカメラマンを目指しているというんです。正直、そういうアシスタントは、アイドルの撮影現場に連れていくわけにはいかない。ちょっと困りますね」

社員ばかりかフリーランスですら正攻法は完全に封じられている。つまり、声優ファンは植田佳奈に騙し討ちを喰らったわけです。捕まったオタクは正々堂々と竹達彩奈に近づこうと試みた…しかし仕事で近づくことすら封じられている。有名人に近づくこと自体があたかも犯罪行為であるかのような徹底ぶりです。

ただ、「声優ファンを辞めること」というのはその通りかもしれません。「声優・竹達彩奈」が好きなのか「竹達彩奈という人間」が好きなのかというのはだいぶ違うように思います。どちらが好きなのかを見極めた上で行動する必要があるという点で、声優ファンという立場は不必要なのでしょう。


第一人者になるというもう一つの方法

植田佳奈の言った声優と結婚するもう一つの方法「その声優さんの趣味業界で誰もが知るような第一人者になること。」について考えてみましょう。
これについては声優でなく有名人でいくつかの実例があります。御伽ねこむと結婚した藤島康介先生、ポタガールさおりんと結婚したキクミミさん等、一般人でも有名になれば有名人と結婚できる可能性はあるようです。

ただし植田佳奈の言ったことには、大きな欠陥があります。それは第一人者がそのように名前が知れ渡るようになったのは結婚とはなんら関係ないということです。
キクミミさんはさおりんと結婚するためにママチャリで山を登ったわけじゃないし、藤島先生はねこむと結婚するために逮捕しちゃうぞを描いたわけじゃない。つまり元々第一人者だから有名人と結婚できたのであって、特定の誰かを好きになった時点で第一人者になる意味がないということなのです。そもそも趣味は結婚の道具じゃないし、そんな目的でやっても苦しいだけでしょう。純粋に趣味を楽しむこととは程遠い結果になります。

直近では声優の三森すずことプロレスラーのオカダ・カズチカ熱愛報道がなされましたが、有名人の目につく可能性が高いのはやはり元々第一人者でしかないというのが冷酷な現実であるということになるでしょう。


有名人を好きになることは破滅への第一歩

捕まったオタクがなぜ婚姻届を渡すに至ったのか、もはや考えるまでもないでしょう。正攻法も通じないし第一人者にもなれない。つまり、有名人を好きになってしまったら、自分は彼女らにとって何者でもない、何者にもなれない存在となってしまうことは想像に難くありません。イチかバチか、勝負を決する以外にはないと考えるでしょう。それが婚姻届を渡すことだったのかもしれません。
この閉ざされた関係の中にあって、他に代案など存在するのでしょうか。残念ながら僕には思いつかないし、もし仮に僕が彼と同じ立場だったとしても、おそらく同様の手段を取るでしょう。つまり、有名人を好きになってしまったら逮捕覚悟で恋愛をしなければならず、言い換えれば有名人と合法的に恋愛する手段は存在しないということになります。出口戦略は有り得ないのです。

人を好きになるという素晴らしいことが、誰を好きになるかによって善悪を判断され、社会から裁かれて破滅することにまでなろうとはどんなに酷いことでしょうか。アイドルにしろ声優にしろ、偶像崇拝ビジネスが諸悪の根源のような気がしてなりません。彼女たちは言い換えれば、オタクの恋愛を食い物にしているとも言えます。アイドルや声優は、最初から失恋の確定したオタクという屍の上に立って活躍しているのです。

そう考えると、竹達彩奈への恨み節もある意味当然のものなのかもしれません。それを相手に対して言っていいことにはなりませんが、救済措置がないのはあまりにも不憫ではないでしょうか。人生破滅が最初から確定した恋愛などあってはならないのですから、国はこれを社会問題として扱うべきだと思うのです。

この負け戦を戦う手立てを解明するのも面白いのではないでしょうか。
それがオタクにとっての希望になるかもしれません。

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