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「ソニー技術の秘密」にまつわる話

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ここでは、ソニー株式会社の研究技術開発の要を果たし、「ソニー創成期の基礎技術」を確立させた 木原信敏 (きはら のぶとし) の著書『ソニー技術の秘密』に記された研究開発の歴史を振…
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ソニー創成期の基礎技術を確立した、伝説の技術者が残した名著 〜 『ソニー技術の秘密』 にまつわる話を

■ ソニー創成期の基礎技術を確立した、伝説の技術者1946年 (昭和21)年に井深大、盛田昭夫により創設され、現在では世界的な大企業としてその名を世界に轟かせている ソニー株式会社(Sony Corporation) その創業期より数々の「世界初」「日本初」の製品を誕生させ、ソニー創成期の基礎技術を確立した、伝説の技術者がかつて存在していました。 1950 (昭和25) 年に発売された、国産初のテープレコーダー『G型テープコーダー』。 1955 (昭和30)年に、ト

ソニー創業者井深大の欧米土産、感激を味わったステレオ録音 ~ 日本初の2chステレオの生録のお話

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (20) 今では当たり前のように私たちの生活に浸透している技術も、半世紀以上前の日本ではそのほとんどが存在していませんでした。例えば、ステレオ。今では音響と名の付くものでステレオでないものはありませんが、日本で初めてステレオ録音が実施されたのは1952 (昭和27) 年のことでした。 1952 (昭和27) 年4月、 東通工 (現ソニー)で開発していたテープレコーダーの輸出に伴い、欧米の新しい技術情報を視察調査するため、同年3月より約1カ

飛び出す映像と動き回る音響! 〜娯楽の殿堂として親しまれた「日劇」でのステレオ録音風景

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (21) ソニー創業者の一人井深大が欧米視察旅行の土産に持ち帰り、東通工 (現ソニー)の技術者・木原信敏の手によって開発された、立体録音機『ステレコーダー』によって録音された「ステレオ音響」にすっかり魅了された井深大、盛田昭夫は、熱心な普及活動を開始します。 「ステレオ音響」はたちまち世の中の注目するところとなり、1952 (昭和27)年9月13日付の朝日新聞夕刊には、 「立体録音時代来る? 〜 十数年来の課題に解答」 という記事が掲

ステレオ音響の素晴らしさと迫力を伝える 〜 「ニコライ堂の鐘の音」

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (22) ソニー創業者の一人井深大が、1952 (昭和27) 年の欧米視察旅行の土産に「ステレオ音響」を話を持ち帰ったことをきっかけに、東京通信工業 (現ソニー、以下 東通工) は2チャンネル (ステレオ) 録音が可能な『ステレコーダー』を誕生させ、熱心な「ステレオ音響」の普及活動を開始していました。 マイクロフォンの専門家・中津留要を先頭に、ステレオ録音のネタ探しに奮闘、会社の前にあった運動場にチンドン屋を呼んで歩き回らせたり、自転車で

世界初! NHKによる立体放送番組スタート 〜 全国一斉二元立体(ステレオ)ラジオ試験放送

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (23) NHKが1952(昭和27)年に放送した世界初全国一斉の『二元立体 (ステレオ) ラジオ試験放送』は、同年12月4日〜6日の深夜12時35分から、NHKの第1、第2放送の2つのチャンネルを使用した放送を、同時に聴くことで立体 (ステレオ) 録音を体験するというもので、「ステレオ音響」が一般に浸透するきっかけとなった放送でした。 この放送に使用されたのが、アメリカ視察旅行中だったソニー創業者の一人井深大から依頼され、東通工 (現ソ

舞台演出の新しい可能性を広げた 〜 芥川也寸志と俳優座 第27回公演 『赤いランプ』

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (27) 1954年 (昭和29)年6月に公演された 俳優座 第27回公演『赤いランプ』(作:眞船豊 演出:千田是也) の音楽では、ステレオシステムが採用され反響を呼びます。 音楽を手掛けたのは、作曲家の 芥川也寸志 (あくたがわ やすし)。 演劇の新しい演出としてステレオ効果を取り入れ、公演が行われる俳優座で芥川也寸志が指揮するオーケストラの音録りを、東京通信工業 (現 ソニー) の技術者・木原信敏が担当。 ソニー創業者の一人・井深