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ソニー創成期を辿る史料

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世界的企業となったソニー創成期を辿る、おすすめの史料をご紹介。
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#盛田昭夫

ソニー創成期の基礎技術を確立した、伝説の技術者が残した名著 〜 『ソニー技術の秘密』 にまつわる話を

■ ソニー創成期の基礎技術を確立した、伝説の技術者1946年 (昭和21)年に井深大、盛田昭夫により創設され、現在では世界的な大企業としてその名を世界に轟かせている ソニー株式会社(Sony Corporation) その創業期より数々の「世界初」「日本初」の製品を誕生させ、ソニー創成期の基礎技術を確立した、伝説の技術者がかつて存在していました。 1950 (昭和25) 年に発売された、国産初のテープレコーダー『G型テープコーダー』。 1955 (昭和30)年に、ト

「遠慮のない批評」で綴られたソニー経営史研究のバイブル 〜『S社の秘密』 田口憲一 著 (新潮社 1962)

「ソニー技術の秘密」にまつわる話 (37) 1962 (昭和37)年10月に発売された書籍『S社の秘密』 は、おそらく最初のソニー経営史研究本で、その後ソニーについて語られる多くの関連書籍の「参考文献」には、必ずというほどリストされている本でもあります。 著者は、産業経済新聞の論説委員を務めた、経営評論家の 田口憲一(たぐち けんいち)。 あとがきに自身で書かれているように、「遠慮のない批評」でやや辛口な印象を受けますが、とてもニュートラルな視線でソニーの販売面での分析

盛田昭夫の言葉から、社会人としてのあり方を学ぶ〜「学歴無用論」 盛田昭夫 著 (文藝春秋 1966)

ソニー創業20周年、銀座ソニービルが開館 (2017年に閉館) した 1966 (昭和41) 年 に文藝春秋より発刊された『学歴無用論』は、ソニー創業者の一人 盛田昭夫 が45歳、ソニー副社長の時に書かれた最初の経営書でした。 “この本が出版された頃から日本では学生運動が盛んになり始めていた。その背景の一つとして「学歴主義」の弊害が取りざたされた。学生たちは、学歴によって「日本帝国主義」の尖兵として、あちこちの企業に振り分けられることを拒否するという趣旨の発言を繰り返した。

盛田昭夫によるテープレコーダー解説書 〜 『テープ式磁気録音 - テープコーダーとはなにか? 』 盛田昭夫 著 1950 (昭和25)

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (13) 1950 (昭和25) 年当時の日本では、放送局等ごく一部での輸入された物を除いて、「テープレコーダー」の使用方法どころか、存在そのものが、一般的にはまだ認知されていませんでした。 当然、国産初のテープレコーダーとして開発された東通工 (現ソニー)製の『G型テープコーダー』も、一般消費者から見ればまだまだ「未知の機械」にすぎなかったのです ソニー創業者の一人盛田昭夫は、約40kgの大きな筐体の『G型』テープレコーダーを自ら担い