見出し画像

【性感染症】尖圭コンジローマの診断

皆さんこんにちは

産婦人科医の内田美穂です。

皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。

今回は、「尖圭コンジローマの診断」についてお話したいと思います。




尖圭コンジローマとは?


尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスという人にのみ感染するウイルスによって引き起こされます。

性交渉などによって、このウイルスが皮膚や粘膜にある小さな傷に侵入して感染します。

ヒトパピローマウイルスには200タイプ以上ありますが、尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルスはHPV6型、HPV11型が約90%を占めています。

これらは「ローリスク型」と言われ、子宮頸癌などの発癌性のあるヒトパピローマウイルスとは異なります。


症状について


症状としては、性器や肛門周りにイボができてきます。

まれに、かゆみや痛みが出ることもあります。

アナルセックスがなくても、肛門にできることもあります。

もし、アナルセックスがある場合は、肛門内にも発症することがあるため外側だけでなく肛門内の検査が必要になることもあります。

イボができてくるのが感染してから3週間から8カ月経過してからになるため、いつ感染したか特定できないことも多々あります。


診断方法について


診断方法は、診て診断する視診が中心となります。

切除して診断する病理組織検査のみでは誤診につながることがあります。


Q.なぜ誤診になることがあるの?


その理由について説明します。

コンジローマと似ているけれど病気でない「腟前庭乳頭腫症」というものがあります。 

腟の入口のところに隆起した組織を認めるのですが、これは生理的な変化であり、正常なもので治療の必要性はありません。

この「腟前庭乳頭腫症」は病理組織検査で「尖圭コンジローマ」と間違って診断されてしまうことがあるため、「尖圭コンジローマ」の診断には視診が大切になります。

また、「尖圭コンジローマ」とは別に「扁平コンジローマ」と呼ばれるイボもあります。

これは梅毒による症状になるため、採血による梅毒検査を行う必要があります。

▼梅毒についてはこちらの記事でお話ししています


外陰部にできる腫瘍について


外陰部にできる腫瘍には様々なものがあるため産婦人科専門医だけでなく、状況によっては皮膚科専門医など他の診療科の専門医と協力して診断をすることもあります。

女性の外陰部の診察はどこに行けばいいか悩まれ、産婦人科を受診する方も多いと思います。

必要に応じて皮膚科をご紹介することもありますが、何か心配なことがあれば産婦人科専門医へまずはご相談ください。


▼治療法については、こちらの記事で詳しくお話ししています


▼関連動画はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?