発送!
11月12日(火)
昨日、『世界でいちばん美しい』がどかんと納品された。段ボール13箱。血沸き肉躍る。
さっそく発送に取り掛かる。クリックポストのために作った発送先の一覧は、すでにプリントしてあった。
クリックポストで失敗の連続だったことは、もう書いただろうか。書いてももう一回書いておこう。クリックポストは安いけれど、いろんな面で面倒臭く、使う側の負担がでかい。おまけにこっちは初めて使うんだし、プリンターも買ったばっかりだ。僕が勝手に失敗したのもつらかった。
というのも、クリックポストはアマゾンで決算をするのだが、その決算は一件一件やらないといけないのである。お届け先ごとにクリックし、決算準備とかいうものをしなければいけない。予約期間が長かったので、発送先は160件を超える。一件につき3回以上クリックしなければいけない。クリックポストすぎるだろう。
申し込みは一回に40件までしかできないし、印字は一度に20件しかできない。ようやくプリントまでこぎつけて、やりかたも吞み込んで、やっと配達先のシールができたと思って確認したら、150件ほどやったところで僕が、用紙を表裏逆にしてセットしていたことに気がついた。イチから全部やり直しである。インクがもったいない! つらい!
本には1冊1冊サインをする。
いつも思うのだが、サインというのは何冊やっても機械的な作業にはならないものだ。スピードは多少速くなるけれど、要領よくはできない。僕の場合、サインは自分の名前の横に、小さなトリの絵を描くのだが、このトリには毎度緊張を強いられる。それでもいろんな顔のトリができる。受け取ってくれた人が、そのトリの表情を気に入ってくれるといいんだけれど。いつもそう思って描いている。
封筒にクリックポストの宛先を貼り、本をビニールに入れてから、封筒に収める。これはほとんど妻がやってくれた。
アストル・ピアソラをBGMに、二人で黙々と荷物を作っていると、
(こういうのが、本来の「本づくり」なんだろうな・・・)
という思いが、しみじみと浮かんできた。
――古い本の奥付を見ると、検印というのが捺してあることがある。著者の印鑑である。
昔は一冊一冊、著者がその本の発行を許可したのである。もちろん形式的なもので、実際には著者の家族や弟子がぼこぼこ捺していったのだろうが、それでも一応、出版社は本を著者のところへ本を持って行って、検印を捺してもらって、それから問屋に持っていったのだ。
そのことを僕は、あんまり考えたことはなかったけれど、「本来の『本づくり』」と思ったときに浮かんだのは、昔の本の検印だった。
検印の、あの朱色には、ごくわずかではあるけれど、著者と読者をじかにつなぐものが、間違いなくある。あったではなく、現在も瀧井孝作や川端康成と、僕とは、あのちっぽけな検印によってつながっていると感じることができるのだ。
僕の本もそうありたい。そういう1冊1冊を、僕は間違いなく作っている。
あとクリックポストは集荷をしてくれないから何十件あろうと自分で郵便局へ持っていくかポストに投函しなきゃいけないから気を付けてね!!
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